作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv75568/
以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
1943年、第二次世界大戦のさなか、連合国軍は劣勢を強いられていた。
そこで英国諜報部(MI5)はチャーチル首相に、ナチスを倒すため、偽の機密文書を持たせた偽の高級将校の死体を地中海に放出するという奇策を提案する。
ヒトラーをだますことを目的としたこの作戦は、真実と嘘が表裏一体となった戦時中の世界で、MI5の諜報員やヨーロッパ各国の二重三重スパイたちを巻き込むだまし合い合戦へと発展していく。
=====ここまで。
実話の映画化。
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実話モノは、ジャンルによっては見る気がしない(特に難病系)のだけれど、戦争モノは興味を惹かれる作品が多く、本作も見たかったので、先日ようやく劇場に行った次第。
架空の人物(ビル・マーティン少佐)を創作し、その死体を敵に拾わせて偽情報を掴ませる、、、なんて、奇想天外だ、、、と思ったけれど、偽の死体を敵に拾わせるという諜報作戦は、それまでにもなかったわけじゃないらしい。とはいえ、やっぱし凄いこと考えるな、と思ってしまう。
その架空の人物の創出過程は、さながら、映画やドラマの人物造形の過程にそっくりで、ちょっと笑ってしまった。脚本を書く際に、登場人物の詳細な履歴書を作れとはよく言われることだが、本作でマーティン少佐という人物の実に細かな履歴を作っていくのも、それと同じ。見合った死体を用意したり、所持品を揃えたり、、、映画の現場と同じで、本作のスタッフたちも面白かっただったろう。
でも、敵に信じ込ませるには、細部に齟齬があってはならないのだ。これは映画やドラマも同じ。小さなところで矛盾があると見ている者は一気に白ける。
それにしても、スパイ稼業は本当にストレスフルだ。同じチーム内の仲間同士でも、常に「こいつはもしかしたら二重スパイなんじゃないのか?」とか疑いの眼差しで見なければならない。どこから情報が漏れるか分からず、常に緊張を強いられる。実際のスパイ事件でよく聞くのは、捕まえたスパイが「あまりにも普通の人に見えた」とか「全然スパイに見えない」とかの言であるが、スパイがスパイに見えたらスパイ失格なわけで、誰がスパイか分からないから疑心暗鬼にならざるを得ない。この精神的な負荷は、想像を絶する。
……というわけで、スリリングな展開は、最後まで興味を持続させてはくれたのだけど、如何せん、シナリオがイマイチ整理されていない感じで散漫な印象がぬぐえない。
特に、コリン・ファース演ずるモンタギューと、海軍省で共に働く女性ジーンの間の恋愛感情は、ハッキリ言っていらんと思った。ジーンとモンタギューのそれらのシーンは、見ていても心動かされるシーンになっていなかったし、マシュー・マクファディン演ずるチャムリー大尉と微妙な三角関係っぽい描写とか、正直なところ「どーでもええわ」としか思えなかった。何であんな要素を入れたんだろう、、、。
で、監督がジョン・マッデンというので、ちょっと納得したのだった。この人の映画は、『恋におちたシェイクスピア』しか見ていないが、『恋に~』を見た後の印象と、本作の鑑賞後感が実によく似ているのだ。内容は盛りだくさんで、扱っているネタは面白いはずなのに、何かピンと来ない。本作の方が『恋に~』よりはマシだけど、エンドロールを見ながら「うぅむ、、、」という感じは同じ。
あと、字幕もイマイチだった気がする。セリフ劇で情報量が多いので、こちらも理解が追い付かなかった部分もあるのだが、これは、DVD等で見るときは吹替えで見た方が理解しやすい映画かも知れない。セリフが多い作品は、どうしても字幕では厳しいものがあるのは否めない。吹き替えより字幕が良いという暗黙の流儀みたいなものがあるのか、子供向け映画以外は、吹替え版が公開されることは少ないけれど、映画の性質によっては、字幕or吹替えは使い分ければよいと思う。本作も、吹替え版を作っても良い作品の一つだと思う。
なので、ソフトが出たら、もう一度吹替え版でじっくり見たいと思った次第。
それにしても、チャーチルという人は、エニグマ解読しても極秘にして自国の損害を敢えて避けなかったとか(『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014))、このような一見無謀に見える作戦にゴーサインを出すとか、何度も映画に描かれるのも納得。
要するに戦争とは情報戦である。
マシュー・マクファディンの横恋慕はもっと邪魔だし、彼の演技がシリアスすぎるのがこの映画をつまらなくしていると思いました。
この映画全体、もっと軽いコメディータッチにすればずっと面白い映画になったのにね。
コリン・ファースなら大真面目な顔してコメディーを演じられるのに。もったいない。
確かに、マクファディン、シリアスでしたね。
ブラックなコメディを想像していたので、ヘンなロマンス要素が入って、何だか中途半端な感じを受けました。
やはり、監督の力量ではないかと感じます。
コリンは歳をとっても素敵でした。
イギリスの男たちは、やはり襟の高いシャツとスーツが実によく似合う。めっちゃカッコ良かったです。