作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv1501/
以下、TSUTAYAのHPよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。
=====ここから。
父親にドイツのスパイ容疑がかけられ、売国奴の娘と呼ばれたアリシア(イングリッド・バーグマン)にFBIの捜査官デブリン(ケーリー・グラント)が接近してきた。ナチの残党と思しき人物セバスチャン(クロード・レインズ)が父の友人であったことから、アリシアにその内情を探って欲しいという依頼だった。
舞台はリオ・デ・ジャネイロに移り、アリシアはそこでセバスチャンの求婚に応じるが、デブリンとの連絡も引き続き行われていた。
やがて、彼女は屋敷の酒蔵で組織の秘密を突き止めるが、その事に気づいたセバスチャンは……。
=====ここまで。
“ヒッチコック作品の中では、スリラーの要素よりもメロドラマの色を濃くした作品。”とのこと。
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少し前に見た『情熱の航路』(1942)の感想文で「クロード・レインズがなかなか素敵」と書いたら、コメントでLuntaさんから本作をオススメされましたので、ようやっと見ました。上記にある通り、バーグマンとグラントのラブロマンスがメインなんだけど、クロード・レインズの存在がなければ、ゼンゼン締まらない映画になっていたことでしょう。
……というわけで、感想です。
◆敵役は魅力的でなければならない。
このブログにも何度か書いているけど、私はどうもケーリー・グラントが苦手である。イングリッド・バーグマンはもの凄く美しいと思うけど、好きでも嫌いでもない。この2人のメロドラマ、というだけなら食指が動かなかったと思うけど、クロード・レインズがかなりのキーマンであるということで興味をそそられた。
で、見終わってみて、たしかに、本作の実質的な主役は、クロード・レインズ演ずるセバスチャンではないかと強く感じた次第。
セバスチャンは中盤ちょっと前くらいから登場なのだけど、アリシアに惹かれて、母親に反対されても押し切ってあっという間に結婚までしてしまう一方で、それ以外のことでは母親に頭が上がらず、アリシアにも惚れた弱みか基本言いなり、それでいてナチの残党という闇の顔もあり、、、と、実に多面体に描かれているのである。そしてまた、その奥行きあるキャラをクロード・レインズが硬軟使い分けて素晴らしく演じている。
ワインの瓶の一件から、アリシアがスパイと分かった後のセバスチャンが実に哀しい。うなだれて、こわ~い母親に相談するのだ。アリシアとの結婚を決めたときのような果敢さは微塵もなく、「ママ、助けて、、、」という弱った子犬みたいな感じだった。でもって、怖い母親が、ゆっくり自然死に見せかけてアリシアを毒殺することを提案。
ここで使われる毒が何なのか、具体的に明かされていなかったと思うが、おそらくは古典的な毒薬“ヒ素”だろう。ジワジワ殺すにはヒ素が一番なのではないか。
アリシアが、自分が毒を盛られていると悟るシーンが印象的で実に良い。現実に考えると、あんなヘマはちょっと初歩的ミス過ぎていただけないが、、、。まあ、これは映画である。
そこからラストまでは一気に展開するが、ラストシーンが切なくて残酷。デブリンと車に乗って去ってしまうアリシアを見送り、自身の運命を悟って屋敷に入っていくセバスチャンの背中。きっと、この後、彼はもうこの屋敷から生きて出てくることはないのだろうと予感させる不吉さも感じさせる。
がーん、、、と思った瞬間にエンドマークで、もう、このやり切れなさをどうしてくれる! という感じだった。
……てな具合に、主演2人の印象はほとんどなく、クロード・レインズのシーンばかりが脳裏に浮かぶ映画である。敵役が魅力的であれば、作品の質もグッと上がる、という見本のような映画。
◆スパイという生き方。
それにしても、スパイである。
スパイ映画はいっぱいあって、私の興味の薄いジャンルだけど、たまに見るとやはりハラハラ・ドキドキする。多くは派手なアクションがあったり、なくてもよさそうなベッドシーンがあったりするわけだが、本作はそのどちらもないけど、スリリングではある。
でもさ、私は途中、ちょっとツッコミ入れてしまいましたよ。
だいたい、あんなに度々FBIの連中とアリシアが会っているのってどーなのか? それも、かなり無防備な会い方である。事務所に直接訪ねたり、公園で昼日中から会ったり、、。特に、デブリンはセバスチャンらに顔が割れている存在なのに、公園で堂々と会っているってどーなのか?
映画で描かれるFBIもCIAも結構マヌケだよね。実際もマヌケっぽいニュースも見聞きするけど、ここまで無防備って、いくら何でも、、、という気はする。
おまけに、スパイだからって、仕事として結婚までしちゃうんだからね、、、。そら、本作では相手がクロード・レインズみたいな歳は離れていても素敵な男性だからイイけど、あんな素敵なオジサマはそんじょそこらには転がっていない。……でも、ロ〇アとか北〇鮮くらいの国なら、そんくらいのこと平気で国民にやらせちゃいそうだけどね。アメリカでもそうなのか、、、? まあ、これは映画だけどさ。なんかいろいろ想像しちゃうわ。
アリシアも、デブリンも、スパイという仕事に公も私も全て浸食される人生を、積極的にか否応なくか、ともかく選んでいるという点で、私には理解不能な人たちだ。……けど、よく考えたら、そんな人はいっぱいいるよなぁ。スパイだから特殊に見えるけど、今何かと目に付く政治家(屋)にしてもそうだし、カルトの信者もそう。もっと卑近な例で見れば、オーナー企業の経営者たちとか。彼らだって、結婚相手は仕事がらみで、私情は二の次三の次、、、どころかない人だっているだろう。
映画に話を戻すと、アリシアとデブリンはあの後どうなるのだろうか。命がけ(?)でアリシアを救出したのだから、やはりデブリンは彼女を愛していたということかね? 仮に2人が結ばれても、あんまし上手く行かなさそうだけどね、、、。
ワインの瓶に入っていたのはウラン(核兵器作るつもりだったってこと?)
ヒッチコック作品って、意外と観てないんですよね~。イングリッド・バーグマンは好きな女優なのに、この作品はなぜかスルーし続けちゃってます。なんでだろ?いつか私も観たいと存じます。
クロード・レインズって、名前も素敵ですね~。情熱の航路も観ねば。古き佳き映画祭りもまた一興ですね。
スパイとは無縁な私ですが、いつか国家を揺るがす事件に巻き込まれて、ヤニヴみたいなスパイと恋&冒険したいです(^^♪
私も、ヒッチ作品は積極的に見て来なかったので、あの「サイコ」さえ未見です(+o+)
本作もLuntaさんのオススメがなければ見ていなかったかも、、、。
クロード・レインズの出演作、他にも見たいです。
バーグマンの方が背が高く見えるので、小柄みたいですが、品があって敵役ながら好印象しかありません。
スパイって、良くも悪くも目立つとアレなんで、ヤニヴみたいなイケメン過ぎだとリアルではスパイに向いてないかもですね、、、(^^♪
ロシアとか中国とかは、日本でその辺にスパイいっぱい放っているらしいですよ(*_*)