安倍首相3選 「世界のリーダー」として、「ウイグル問題」に異議の声を【寄稿・幸福実現党及川幸久】
2018.09.23(liverty web)
《本記事のポイント》
- 安倍首相が3選。世界のリーダーとして、「ウイグル問題」に声をあげてほしい
- アメリカは、国として、中国の人権弾圧に経済制裁を科そうとしている
- 日本が「戦後日本外交の総決算」をするために、リーダーシップが必要
安倍晋三首相が自民党総裁として3選を果たし、通算の首相在任期間が歴代最長となる可能性が高まってきた。米ニューヨーク・タイムズ紙なども、「安倍晋三首相、史上最長の日本首相に一歩近付く」という見出しで報じた。
各国の首脳と関係を密にする安倍首相に求められることとは何か。幸福実現党外務局長の及川幸久氏による寄稿を掲載する。
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自民党総裁選挙で、安倍総裁が3選を果たされました。総裁選で訴えられた政策の一つが、「今こそ、戦後日本外交の総決算を行おう」。日本がリーダーシップを発揮して、新しい時代の平和と繁栄の礎を築くという、世界に向けてのメッセージであり、公約でした。
そこで、安倍首相に是非ともお願いしたいことがあります。
中国のウイグル人弾圧に声を上げてほしい。
理由は2つです。まず、3選となった安倍首相は紛れもなく世界のリーダー国のトップであるという点です。
もう1つの理由は、ウイグル人弾圧に誰よりも強い関心を持たれていたのが、安倍首相だったからです。「日本ウイグル国会議員連盟」という、ウイグルで行われている人権蹂躙の実態を明らかにし、ウイグル人の人権を守ることを目的とした会があります。安倍首相は以前、その会長をされていて、ウイグル人団体から中国による弾圧を直接聞かれていました。
中国の人権弾圧に声を上げるアメリカ
中国の新疆ウイグル自治区に「再教育キャンプ」という事実上の強制収容所がつくられ、拷問が行われているニュースは、現在、世界中に広がっています。
そのきっかけをつくったのは、トランプ米政権でした。7月26日、トランプ政権がワシントンで主催した「宗教的自由推進会議」で、ペンス副大統領がこの問題に言及したのが最初でした。
その直後の8月6日から開催された、スイス・ジュネーヴでの国連人種差別撤廃委員会にNGOが多数参加し、私もそのうちの一つとして、中国批判のスピーチを行いました。
それに合わせるかのように、米議会が素早い動きをしています。中国に対する経済制裁を課そうとしています。
議会の標的は、ウイグル自治区を支配する陳全国・党委書記です。陳氏は2016年にウイグル赴任以来、全域に再教育キャンプと、住民監視カメラを設置しました。これは、反政府分子に対して厳しい対応をするという習近平・中国国家主席の方針に忠実に従ったものです。
陳氏は本来、胡錦濤派なので、習近平体制では出世できないと思われるのですが、ウイグルでの弾圧の実績により、昨年、共産党政治局25人の中に大抜擢されました。
米議会のマルコ・ルビオ上院議員をリーダーとする超党派17人は、陳氏をはじめ当局者7人と中国の監視カメラ製造会社2社に制裁を求めています。
日本が「戦後日本外交の総決算」を行うために
ルビオ議員たちが訴える法的根拠が、「グローバル・マグニツキー法」です。
グローバル・マグニツキー法とは、人権侵害を行なっている外国政府の責任者に対して、アメリカへのビザ発給を拒否したり、米国内の資産凍結をする権限を大統領に与えたりするものです。
日本の国会でも、同様の法律の制定を検討する価値があると、私は考えます。
ルビオ議員たちは、米政府だけでなく、国際社会にも、中国に対して強い姿勢で臨むよう訴えているのです。この訴えに日本が応えるべきではないでしょうか。
安倍政権が現在、中国との関係を改善する方向に努力されているのはわかります。来月には訪中され、30兆円規模の日中通貨スワップを結ぶことになっています。
しかし、トランプ政権と米議会は、制裁を断行することで中国の全体主義的な行動を座視しない姿勢を示しています。
戦後、日本は世界への発信力を失っています。総裁選で訴えられた「戦後日本外交の総決算」を実行するために、安倍首相のリーダーシップに期待したいです。
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