《ニュース》

仏パリの裁判所は21日、パリのオルセー美術館に展示されていた印象派の巨匠モネの絵画「ひなげし」に、血のように赤いポスターを粘着物で貼り付け、器物損壊の疑いで昨年6月に逮捕された環境活動家の女に対し、「表現の自由を行使する行為にあたる」として、無罪を言い渡しました。23日付朝日新聞などが報じています。

 

《詳細》

環境活動家の女は、「持続可能な食料生産」を訴える団体「リポスト・アリモンテール(食の反撃)」のメンバーです。同団体は「私たちは芸術を愛している」としながら、地球温暖化への関心を高めるためとして、芸術作品を汚す行為を繰り返してきました。昨年1月には、パリのルーブル美術館に展示されていたレオナルド・ダビンチの代表作「モナリザ」にスープを投げつける事件を起こしています。

 

女がモネの絵画に張り付けた赤いポスターには、2100年に火災と干ばつに見舞われた風景が描かれていました。女はXに投稿した動画の中で、「もし対策が講じられなければ、この悪夢のような風景が私たちを待ち受けている」と述べています。

 

今回、パリの裁判所は、ガラス板で保護されていた絵画には損害はなく、有罪判決を下すことは「表現の自由に対する不当な干渉」にあたるとして、無罪の判決を下しました。

 

2022年に、英ロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されていたポスト印象派のゴッホの絵画「ひまわり」にトマトスープをかけた環境活動家2人には、有罪判決が下されています。

 

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