疫病退散の祭りがコロナに負けていいのか? 本来の意味を見つめる時
2020.05.07(liverty web)
写真:Chiharu / Shutterstock.com
《本記事のポイント》
- 新型コロナで、中止が相次ぐ日本の祭り
- 祇園祭や天神祭は「疫病退散」の意味がある
- コロナの蔓延は、日本人の宗教的な原点を見つめる教訓に
中国発・新型コロナウィルスの感染拡大により、全国各地で祭りが中止や延期となっている。
5月の「博多どんたく」をはじめ、6月の「YOSAKOIソーラン祭り」、7月の「隅田川花火大会」、8月の「青森ねぶた祭」・「阿波おどり」・「2020年 長岡まつり大花火大会」など、全国の主要な祭りが中止となった(5月7日時点)。
理由は、祭りの開催により、感染爆発(クラスター)が発生することを恐れてのこと。延期しても、さまざまな費用や調整などが発生するため、早めの判断を行ったところもある。
祇園祭や天神祭は「疫病退散」の意味がある
一方で、神事のみ実施し、祭りを続けるところも見られる。
例えば、7月に京都で執り行われる日本三大祭りの一つ、「祇園祭」だ。祇園祭は、今から約1100年前に流行した疫病を鎮めるために始まった。中止になったのは、応仁の乱と第二次大戦の2回だけ。関係者の間では自粛を求める声もあったが、祭りには疫病退散の本義があるとし、神事は続ける予定だ。
同じく、7月に開催される大阪天満宮の天神祭も、疫病退散の意味があるため、神事のみ執り行われる。
中止となった隅田川花火大会も、公式ホームページによれば、江戸時代の8代将軍・徳川吉宗が、大飢饉の発生や疫病の流行を受け、慰霊と疫病退散の願いを込めて花火を打ち上げたことが始まりだという。
疫病退散の意味を持つ祭りも、コロナをめぐる対応で分かれた形となった。
宗教的な土壌の深みを思い知る
だが、このような背景をみるにつけ、日本の宗教的な土壌の深みを思い知る。奈良の大仏や伊勢神宮も、疫病の大流行を機に建立された経緯がある。先述した祭りや神社仏閣がなくなれば、文化の厚みが失われ、日本人らしさは損なわれるだろう。
それらは同時に、日本人が古来、信仰心が篤かったことも意味している。先人たちが、真剣な祈りを込めて始めた祭りだからからこそ、後世にも継承されているはずだ。
祭りは馬鹿騒ぎするような場ではなく、祈りを捧げる神事であり、地域をつなぐ要でもある。コロナの蔓延は、日本人の原点を見つめる教訓になっている。
(山本慧)
【関連書籍】
大川隆法著 幸福の科学出版
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