この小説の原題は「The Music of Chance」と言い、ポール・オースターにより1990年に書かれました。ポール・オースターはアメリカを代表する現代文学の作家です。1947年2月生まれですので、今年72歳になります。妻と離婚をし幼い娘を姉に世話をしてもらっているしがない男ジム・ナッシュが思いがけない大金を手中にしました。30年以上も音信不通になっていた実父の遺産が転がり込んだのだ。消防士 . . . 本文を読む
倉橋由美子『暗い旅』を読んでみました。わたくしが読んだのは河出文庫版です。
倉橋由美子という作家はは私には懐かしい名前です。学生生活を送っていたころ、『スミヤキストQの冒険』という小説を読んだことがありました。当時の印象では奇妙な小説を書く女流作家と思っていました。
わが国では女性作家としては珍しいタイプだと思っていたのです。『暗い旅』は作者が明治大学の院生の時に発表した作品だという事でした。発 . . . 本文を読む
今は「ハムレット」を読み終わるところです。松岡和子訳、筑摩文庫版です。新しい訳のせいもあってか「ハムレット」が古典という気がしません。現代の人間関係にも通用する普遍的な作品だと思います。
そのほかにここ1ヶ月間で読んだのは、カフカ「変身」、モーパッサン「野あそび」、森鴎外「山椒大夫」、ロブ・グリエ「嫉妬」、ギルマン「黄色い壁紙」、コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」、ミシェル・ビュートル . . . 本文を読む
背骨のフルート (マヤコフスキー叢書)という本を買いました。マヤコフスキーはロシアの詩人です。
いや正確に言えばソ連時代の「ロシア・アバンギャルド」を牽引した詩人です。
以下は巨大辞書からの引用。
ウラジーミル・ウラジーミロヴィッチ・マヤコフスキー
1893年グレゴリオ暦7月19日、ユリウス暦7月7日 - 1930年4月14日)は、20世紀初頭のロシア未来派(ロシア・アヴァンギャルド)を代表する . . . 本文を読む
カフカの「変身」は、ある朝目覚めたら毒虫になっていた男とその家族が織りなす物語です。
この小説の書き出しは、こうです。
『ある朝、グレーゴル・ザムザが不安な夢から目を覚ましたところ、ベッドのなかで、自分が途方もない虫に変わっているのに気がついた。』(白水社版の書き出し)
人間や何かが他の何かに変化したり、させられたりの物語は古今東西多くのものがあります。
神話や伝説・説話などには民族や地域を問わ . . . 本文を読む
こんな本を読んでみた。 浅羽道明著『アナーキズム』である。
この本の中で紹介されているものに、興味を惹かれるのがあった。笠井潔『国家民営化論』である。
国家運営のすべての領域で民間がそれを運営したら、と笠井は思考実験をしてみたのである。
「国家民営化論」についての詳述はここでは紙数の関係で触れないでおくが、かなり大胆な論である。しかも思考実験としても論に説得力があった。
こんな自由な思考実験が . . . 本文を読む
いま、こんな本を読み終わったところです。
著者はインドネシアの著作家、詩人、劇作家、舞台人である「レンドラ」という人です。
彼に関してはわが国では多分、知る人は少ないでしょう。私も最近、この名を知ったばかりです。
インドネシアではその名を知らない人は少ないと言われている人だそうです。
この本の著者紹介によると、生まれた年は1935年です。彼が7歳の時、日本軍がインドネシアに侵攻した。その後、太平洋 . . . 本文を読む
「美術の解剖学講義」という本を入手しました。
著者は森村泰昌(もりむらやすまさ)という人です。美術家です。
森村泰昌氏は独自の美術活動をしている人です。
彼の造る作品を一言で言うならば、古今の名画と呼ばれる絵画の中に自分自身を滑りこませ、彼自身を絵画の中の登場人物とさせ、それを写真に撮り「自画像」として表現しております。
彼はそれを「セルフポートレイト」と言っております。セルフポートレイトとは文 . . . 本文を読む
戦後を代表する建築家で白井晟一と言う人がおります。白井氏は洋風建築と共に和風建築にも独創的な作品を残した人です。
その作品の一つに「呉羽の舎(くれはのいえ)」というものがあります。
その作品の設計図集がある事を知り、入手してみました。
それが表題のものです。
その書籍の名は「木造の詳細 3 住宅設計集」というものです。昭和44年の刊行でした。出版社は彰国社です。
白井晟一が手がけた「呉羽の舎」の . . . 本文を読む
先日、東京に住む二男よりメールがあり、「父の日」のプレゼントに何か欲しいものはないか?
と言ってきました。
しばらく考えた末、次の本を希望しました。
リチャード・ドーキンスの「利己的な遺伝子」です。その本が、本日届きました。
表紙カバーにもあるように「すべての生物は、遺伝子をはこぶための生存機械だ」との見出しがいきなり目に飛び込んできます。
「The Selfish Gene」が原題ですので、これ . . . 本文を読む