ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

コロナウイルスに対する戦いは、今初めてはじまった戦争なのか?

2020年03月24日 05時37分59秒 | コロナ
世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルスにたいして、欧米諸国には「これは戦争である、私たちはこの戦争に勝たなければならない。」と発言した首脳がいる。
これまで、自国の存在が危うくなるとそれを非常事態であると言い国民に活動の制約を促すことはたびたびあった。確かにイタリア、スペイン、フランスなどを見れば、今や戦時と言って良いような状況である。この戦争は一般に言われる戦争とはかなり様相が違っている。その第一は敵の姿が見えないことである。どこに敵がひそんでいるかが判らないという点では、ゲリラ戦のようでもある。正規軍が姿を現さないゲリラ兵に立ち向かうことの困難さはベトナム戦争を思い起こせば分かる。当時のアメリカ軍は容易に姿を現さないゲリラに苦しめられ、結局はベトナムから軍を撤退せざるを得なかった。
そして、今のコロナ戦の極めて難しい第二の点は、世界のどこにも、軍を撤退させる場所が無いことである。世界の至る所にコロナ兵が息を潜めているからである。そしてコロナ兵に栄養と住処を供給する人間が世界のどこにでもいる事がコロナウイルスの活動を裏から支えているとも言える。

さて、そんなことを考えながら、標題の本を読んでみた。この本には人類と細菌との果てしない軍拡競争史が書かれている。そこで述べられている視点の一つに、人類は細菌の攻撃に見舞われながらもそれに打ち勝つ方法を、そのたびに発見してきた。しかし人類が忘れてはならないのは細菌もまた、自らの生存をかけて自己改造をしてきていると、いうことなのである。20万年前から文明を発展・進化をさせてきた現生人類の子孫である私たちと同じように、現在の細菌も度重なる人類からの攻撃をかわし生き延びてきたモノの子孫であるとこの本の著者は言う。細菌は自らの力で移動・拡散することはできない。しかし交通の地球的規模の発達は細菌の行動範囲を広げるのに役立ってしまっているのだ。しかも悪い事に人類よりも細菌の方が地球上で暮らしている歴史が長いという事である。
世界中に自分の子孫を残し繁栄させたいと願う細菌は、鳥や哺乳類を宿主とすることにより、自分が持っていない移動能力を手に入れた。おそらくこの能力は細菌たちが手に入れた子孫繁栄のために自らを進化させた結果なのだろう。

彼らとの闘いは、困難を極めるだろう。
ただ、言えることは人間だけが彼らの天敵になることが出来るのだ。

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