この本は「名画」に描かれた世界史上での大きなトピックをとり上げたものです。いわば、名画を通して世界史を通観してみようという本なのです。全体は五章からなっています。以下に全章の目次を紹介します。
ⅰ. 古代文明と地中海世界の形成
Ⅱ. ヨーロッパ世界の形成とイスラム勢力の拡大
Ⅲ. 近代ヨーロッパの夜明けと絶対主義
Ⅳ. 国民主義の発展と国民国家の形成
Ⅴ. 帝国主義の台頭
このような構成になっていますが、残念なことが一つ。それは5章がお粗末であることと5章以降の歴史、すなわち第一次、二次の世界大戦やスペイン内戦などに関する絵画に全く触れられていない事です。本書の価格から言えば致し方無い事なのかもしれませんが、もし改訂版の予定があるのなら、ページ数が増えて値段が高くなってもぜひそれ等にも触れるべきだと思います。
さて、最初に悪口を言ってしまいましたが、決して良くない本だと言っているのではありません。中学、高校の授業以外では美術や世界史に触れたことがないような大人にとっては、世界史を復習するには適しているかと思います。何より世界史を「名画」から探る試みをわたくしは知りませんでした。どんな内容なのかと思い買って見たのです。
最後になりますが、この本のキャッチコピーが帯にありましたので、それを観ていただいて、今日はおしまい。
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