ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

キスリング展を観る

2019年11月22日 22時52分46秒 | 美術 アート
表題の絵を描いたのはポーランド出身の画家のモイズ・キスリング です。彼は1910年から1900年年代半ばにかけて第二次世界大戦の一時期を除いてパリを中心として活躍しました。この絵は『ベル=ガズー(コレット・ド・ジュヴネル)』と題され1933年の作です。
女性の着ているチェック柄のワンピースの色合いの素晴らしさに目を奪われます。
背景に描かれた植物の葉のみずみずしさとチェック柄の衣装との色の対比、女性が持っているユリの花の白さ、それらの色彩の見事な配置に、この絵が描かれたのが今から86年も前であるのが信じられないほどの斬新さを感じます。さて、この絵を見て気になったことがあります。描かれた女性の姿形を見ると今風なのです。小顔美人に思えたのです。そこで会場でもらってきたチラシのこの絵で女性が何頭身であるのかを測ってみました。絵に定規をあてて測った結果は次の通りです。女性の身長は157mmで頭部の長さは22mmでした。それ故この女性の等身は約7.1等身という事になります。現在のモデルさんは八等身美人が条件であるなどと言われますので、この絵の女性はそれには当てはまりませんね。ですが絵を見た瞬間、私はこの絵に描かれた女性は小顔の八等身美人だなと感じたのです。
それではなぜそのように見る人に感じさせるのかをこの絵から解読してみましょう。その原因は女性の衣装にあります。ワンピースの裾が下に行くに従い大きく広がっているデザインは観る人の視点が絵の下半分に行きます。それ故、絵の最上部に配置された女性の顔には注意が行き届かなくなるのでしょう。その上女性の顔の描き方にも特徴があります。顔の頬と顎の部分を意識的に小さく描かれているのです。顔の長さに比べて不自然なほど、それらの部分が顔全体に占める面積が少ないのです。
キスリングが描いたこの絵の女性が実際にこの絵のような小顔であったかはここでは問題にはしません。キスリングという画家はこの女性を美人として描こうとしたのです。その為に採った手法が女性の顔とワンピースの裾広がりだったのです。
この絵画展では全部で62点もの作品が展示されていました。多くの肖像画や人物画がありました。絵はどんなふうにも鑑賞できるのが楽しみの一つだと思っているのです。
最後に貰って来たチラシの裏面を見て、本日はお終い。


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