5.展望(14)から続く。
ここでは、前回の「駅前広場の概念図」を参照しながら、駅前広場の機能を説明する。
2)広場の機能
都市機能を集約して徒歩圏内に配置し、その周辺に市街地を自由に発展させる。それが、筆者の描くコンパクト・シティーである。人口が多い現在、その実現は難しいが長期的に計画すれば十分に実現できる。ここでは、長期計画で徒歩圏に集約すべき都市機能を説明する。
A:駅
この駅は地方都市の中心的な駅である。人口が十数万人規模の都市、いわゆる将来のコンパクト・シティーを想定しているので、JRの駅である可能性が高い。もちろんこの駅は、近隣都市と新幹線につながっている。なお、この駅は新設した駅の可能性もある。
もし、路面電車やLRT(ライト・レール:軽量鉄道)があれば、この駅に乗り入れる。駅ビルは3、4階ほど、プラットフォーム(線路)は地上、2階は改札口、2階と3、4階は公共サービスや店舗である。
駅ビルの広場側が正面出入り口、反対側がバス停出入り口である。正面とバス停出側の入り口は2階の中央通路でつながっている。その中央通路に沿って、改札口と「駅ナカ」の店舗が広がっている。
【駅ビルの主な設備】
駅施設、動く歩道(バス停⇔広場)、エスカレーター、エレベーター(乗用、荷物用)
【駅ナカの主な店舗】
行政サービス*、保育所、案内所**、店舗(食料品、コンビニ、ドラッグ、理容、フードコート、飲食店街、書籍・雑貨、etc.)
補足説明
*行政サービス:現行サービスを健保、介護、年金、育児関係に拡張
**案内所:広場の施設利用案内と旅行案内
B:広場
公共・商業施設が並ぶ歩行者専用の広場である。中心に噴水とベンチを配置した公園のように緑豊かな広場である。そこは緊急車両以外の自動車は進入禁止、歩行者と自転車や車椅子が行き交う石畳、またゴルフ・カートのような自動運転の電動車が人や物を運搬する。
広場に並ぶ建物の正面出入り口は噴水側、裏口は外周道路側で物資の受け渡しに利用する。広場とその周辺設備の電気系統と通信設備/セキュリティーは在来技術と最新技術を併用する。
広場に収容できない大きな施設、たとえば学校や総合病院は外周道路の向こう側に陸橋を通じて配置する。
【広場の主な建物と設備】
市役所、郵便局、警察、集会場*、図書館、診療所**、福祉施設、銀行窓口***、レストラン、コンビニ、映画・劇場、地下駐車場、防災/備蓄品倉庫(地下)、発電機(地下)、セキュリティー・センター(地上)、充電設備(地上)****
補足説明
*集会場:多目的ホール、生涯学習教室、アスレチック・クラブ、災害時のボランティア・センター
**診療所:外来専門の簡易診療所・・・外周道路に面した総合病院に陸橋で連結
***銀行窓口:銀行の共通窓口業務を有人で提供、融資業務などは市街地の各銀行本支店で実施
****充電設備:電動カートの充電設備(自走、自動充電)
C:バス停
路線バスとタクシー乗り場、自動車の車寄せである。市街地からの人と物資の出入り口である。
【バス停周辺の主な設備】
路線バス・タクシー乗り場、荷役場(地下道で駅フラットフォームと広場に連絡)、広場地下駐車場出入り口、外周道路と市街地の幹線道路と接続、バス・タクシー・一般車両駐車場
D:外周道路
広場を循環する道路、市街地の道路や幹線道路ともつながっている。路線バスと路面電車が循環、300m位の間隔でバスと路面電車の停留所を設ける。広場の地下駐車場への入口が数ヵ所ある。
【外周道路の車線数】
内側(広場側)=1車線+路面電車(単線一方通行)+車寄せレーン(計3車線)
外側(市街側)=2車線
T字路交差点(外周道路と市街地道路:複数)
陸橋(広場⇔市街地:複数)
E:市街
外周道路の外側は市街地や工業地帯、農林漁業地域につながる。
【外周道路に面した主な建物・・・広場と陸橋で接続】
幼小中高校、総合病院・ヘリポート、大型スーパー・生鮮食品市場、飲食・商店・デパート、冠婚・葬祭場、官公庁・公共施設・消防署
外周道路に面した建物の外側には、住居と商業店舗が混在する形で発達する。大都市周辺のように住宅地と商業地、工業・倉庫地帯に分かれるとは限らないが、人びとはその土地の特性に合わせて何らかの生産やサービス活動を営む。
もしその産物がその土地特有の品物であり、自給自足を越えて外販が可能であれば人口増にもつながる。観光の場合は広告宣伝で人を呼び込むことになるが、これも人口増につながる。もし産物やサービスに特徴がなければ、自給自足に終り、それ以上の発展はない。
いずれにせよ、外周道路の外側に広がる地場産業の特徴が問題になる。地場(ローカル)産業の中には世界が認める製品やサービスを生み出す企業が生まれる。それはブランド・ロヤルティー(Brand Loyalty)を国内外で勝ち取った企業である。また、中に海外で生産する企業もある。それはグローバル企業である。ここで注意すべきは、グローバル企業の製品は必ずしもブランド品ではない。
ここで、ローカルとグローバルについて考える。
続く。
ここでは、前回の「駅前広場の概念図」を参照しながら、駅前広場の機能を説明する。
2)広場の機能
都市機能を集約して徒歩圏内に配置し、その周辺に市街地を自由に発展させる。それが、筆者の描くコンパクト・シティーである。人口が多い現在、その実現は難しいが長期的に計画すれば十分に実現できる。ここでは、長期計画で徒歩圏に集約すべき都市機能を説明する。
A:駅
この駅は地方都市の中心的な駅である。人口が十数万人規模の都市、いわゆる将来のコンパクト・シティーを想定しているので、JRの駅である可能性が高い。もちろんこの駅は、近隣都市と新幹線につながっている。なお、この駅は新設した駅の可能性もある。
もし、路面電車やLRT(ライト・レール:軽量鉄道)があれば、この駅に乗り入れる。駅ビルは3、4階ほど、プラットフォーム(線路)は地上、2階は改札口、2階と3、4階は公共サービスや店舗である。
駅ビルの広場側が正面出入り口、反対側がバス停出入り口である。正面とバス停出側の入り口は2階の中央通路でつながっている。その中央通路に沿って、改札口と「駅ナカ」の店舗が広がっている。
【駅ビルの主な設備】
駅施設、動く歩道(バス停⇔広場)、エスカレーター、エレベーター(乗用、荷物用)
【駅ナカの主な店舗】
行政サービス*、保育所、案内所**、店舗(食料品、コンビニ、ドラッグ、理容、フードコート、飲食店街、書籍・雑貨、etc.)
補足説明
*行政サービス:現行サービスを健保、介護、年金、育児関係に拡張
**案内所:広場の施設利用案内と旅行案内
B:広場
公共・商業施設が並ぶ歩行者専用の広場である。中心に噴水とベンチを配置した公園のように緑豊かな広場である。そこは緊急車両以外の自動車は進入禁止、歩行者と自転車や車椅子が行き交う石畳、またゴルフ・カートのような自動運転の電動車が人や物を運搬する。
広場に並ぶ建物の正面出入り口は噴水側、裏口は外周道路側で物資の受け渡しに利用する。広場とその周辺設備の電気系統と通信設備/セキュリティーは在来技術と最新技術を併用する。
広場に収容できない大きな施設、たとえば学校や総合病院は外周道路の向こう側に陸橋を通じて配置する。
【広場の主な建物と設備】
市役所、郵便局、警察、集会場*、図書館、診療所**、福祉施設、銀行窓口***、レストラン、コンビニ、映画・劇場、地下駐車場、防災/備蓄品倉庫(地下)、発電機(地下)、セキュリティー・センター(地上)、充電設備(地上)****
補足説明
*集会場:多目的ホール、生涯学習教室、アスレチック・クラブ、災害時のボランティア・センター
**診療所:外来専門の簡易診療所・・・外周道路に面した総合病院に陸橋で連結
***銀行窓口:銀行の共通窓口業務を有人で提供、融資業務などは市街地の各銀行本支店で実施
****充電設備:電動カートの充電設備(自走、自動充電)
C:バス停
路線バスとタクシー乗り場、自動車の車寄せである。市街地からの人と物資の出入り口である。
【バス停周辺の主な設備】
路線バス・タクシー乗り場、荷役場(地下道で駅フラットフォームと広場に連絡)、広場地下駐車場出入り口、外周道路と市街地の幹線道路と接続、バス・タクシー・一般車両駐車場
D:外周道路
広場を循環する道路、市街地の道路や幹線道路ともつながっている。路線バスと路面電車が循環、300m位の間隔でバスと路面電車の停留所を設ける。広場の地下駐車場への入口が数ヵ所ある。
【外周道路の車線数】
内側(広場側)=1車線+路面電車(単線一方通行)+車寄せレーン(計3車線)
外側(市街側)=2車線
T字路交差点(外周道路と市街地道路:複数)
陸橋(広場⇔市街地:複数)
E:市街
外周道路の外側は市街地や工業地帯、農林漁業地域につながる。
【外周道路に面した主な建物・・・広場と陸橋で接続】
幼小中高校、総合病院・ヘリポート、大型スーパー・生鮮食品市場、飲食・商店・デパート、冠婚・葬祭場、官公庁・公共施設・消防署
外周道路に面した建物の外側には、住居と商業店舗が混在する形で発達する。大都市周辺のように住宅地と商業地、工業・倉庫地帯に分かれるとは限らないが、人びとはその土地の特性に合わせて何らかの生産やサービス活動を営む。
もしその産物がその土地特有の品物であり、自給自足を越えて外販が可能であれば人口増にもつながる。観光の場合は広告宣伝で人を呼び込むことになるが、これも人口増につながる。もし産物やサービスに特徴がなければ、自給自足に終り、それ以上の発展はない。
いずれにせよ、外周道路の外側に広がる地場産業の特徴が問題になる。地場(ローカル)産業の中には世界が認める製品やサービスを生み出す企業が生まれる。それはブランド・ロヤルティー(Brand Loyalty)を国内外で勝ち取った企業である。また、中に海外で生産する企業もある。それはグローバル企業である。ここで注意すべきは、グローバル企業の製品は必ずしもブランド品ではない。
ここで、ローカルとグローバルについて考える。
続く。