こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

帰るところ

2010年10月25日 | 仏教



お役目を果たした御霊(みたま)は、
霊地であるお山へと帰っていきます。
「あじのこが あじのふるさとたちいでて またたちかえる あじのふるさと」
日本人は、いのちの循環をこんな風にとらえてきました。
ですので、お寺はお山にあります。
そして必ず山号といって山の名前があります。
ちなみにこのお寺の山号は、「遠海山(えんかいさん)」。
平戸瀬戸を望むお山にあるお寺です。
ついでに寺号は「蓮華寺(れんげじ)」。
ご本尊は観音さまであることから、そのシンボルであります蓮の花が
お寺の寺号です。
で、このお寺の通称は院号で呼ばれていて、「潮音院(ちょうおんいん)」。
御観音さまの活躍を説いたお経「観音経」に説かれる「梵音海潮音」という言葉から
付けられていますし、平戸瀬戸の潮の音にも重ね合わせた名称です。
う~ん、なんてすてきな名称なんでしょう。
うっとりしてしまいますね。

ところで、たとえ海辺に建つお寺でも、
繁華街のど真ん中に建つお寺でも、
かならず山号がついています。(一部の宗派を除きます)

関東平野に建つ神奈川の川崎大師平間寺も、「金剛山」という山号です。
千葉の成田山なんて山号がそのまんま通称ですしね。
浅草の浅草寺は金龍山。
東京タワーの近所にある芝の増上寺は三縁山。
ね、山にあるお寺じゃないのに山号があるんですよ。

お山を霊地と考え、いのちの源へ帰り着くために必要な聖山。
日本人の魂の循環は、聖なる「お山」が基点となっているようです。


コメント
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