こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

五智の光明にやさしく抱かれながら

2014年07月06日 | 仏教

 御母堂さまの人生最後を荘厳にお送りし、菩提得脱を至心にお祈りしましょう。
 

さて、おばあちゃんの遺影の上にはご本尊大日如来さまが祀られています。
その如来さまの御手から五色の糸がツーッとこちらまでのびているのが判りますでしょうか?
この五本の糸は、おばあちゃんの手にしっかりとつながっています。

この糸は、如来のお導きによってこれから密厳浄土へと向かわれるおばあちゃんの拠り所となるものです。

五色の糸は、「五智の光明」を表現しています。仏様、すなわち五智の光明にやさしく抱かれながら、
安らかな境地へと向かっていただきたいと思います。

また、仏様と故人をつなぐこの糸には、いにしえからの習俗習慣も表現してあります。
私たちは例外なくお母さんの母胎の中でヘソの緒につながって成長し、時がおとずれると産声とともに
外界へと生まれ出でて人として歩んでいきますが、人生のお役割を終えた後も、このプロセスと同じように、
大いなる命の根源である大日如来とヘソの緒すなわちこの五色の糸でしっかりと結ばれます。
そして、最終的には、出棺とともにこのヘソの緒は切られて、仏としての新しいお魂のあり方が始まるわけです。

そんないくつかの大切な意味を包含しているのが、この五色糸です。

みなさま、今宵は御母堂様とすごす最後の夜です。たくさんの思い出をひとつひとつ偲びながら、
大切に大切にお過ごし下さいますよう、お願いします。
それが、母堂様の菩提得脱へとつながる道であると存じます。

それと、もう一つおすすめですが、こちらに写仏をするための用紙を何枚か用意してきました。
お母様は戌年生まれでいらっしゃるので、「阿弥陀如来」さまの写仏用紙を準備してあります。
今宵お通夜の時間を利用して、お孫さんやひ孫さん方などご一緒に、
心を込めた写仏をなさってみたらいかがでしょうか。できあがった写仏用紙は、明日のお葬儀にお供えして、
おばあちゃんをしっかりとお守りしていただこうと思っています。・・・おすすめします。

コメント
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