ブラジルでのサッカーW杯はドイツvsアルゼンチンの決勝でドイツが優勝した。今回大会のグループリーグから勝ち上がってのトーナメント試合になってからは延長戦やそれでも決着がつかずにPK戦になることが多かった。PK戦は一番最初に蹴る選手の選択を誰にするか、そしてFW選手の順番も難しい。PK戦に選ばれた選手の心理も大きな試合になればなるほど揺れ動くことになる。巧(うま)くやってやろう!素晴らしい球を蹴り込もう!…なんて考えると失敗するものだ。変に色気を出すとそちらの方にも頭が行って集中力が欠ける。練習時以上に好い球なんて蹴れないのに、試合でそれを期待し祈る。蹴る選手自体も、監督も、他の選手も、応援するフアンや観客までも…。蹴り込む場所も問題だ。2番目、3番目は1番目と同じ右にするのか、逆にするのか、中央にするのか、迷う。フエイントを掛けながら身体と利き足を違う方向に向けて流し込んだり、隅に強く蹴るために小細工をせずに蹴ったりしなければならない。選手には得意とする蹴り方や蹴り込む場所が必ずあるが、いつも同じ方法や場所を選択すれば、ボールを止める相手GKに球のコースを読まれてしまう。相手GKとの駆け引きをするから、さらに迷う。迷いながら蹴っては好い結果につながらない。一か八かの決断力も選手に求められる。1回限りしかチャンスを与えられていない蹴る選手は孤独だ。失敗すればサッカー人生の中でいつまでも悔いが残る。逃げ出したくなるような重圧に耐え、PK戦に選ばれた誇りを持って、チームの勝利を勝ち取るために蹴らねばならぬ。イニシアティブは蹴る選手側にある。失敗を恐れずに運を天に任して…。こうして何事にも動じない度胸がついてくるが、その度胸でさえ一瞬にして消え去ることもある。それが人生なんだ。自身はいつまでも悔いていても、既に周りの人達は過去のこととして忘れている。 PK戦に失敗したサッカー選手でなくても人生の中で悔いることはある。小さな悔いは大きな悔いに取って代わられ、大きな悔いだけが心の隅にシミのように残っている。そのシミを見るたびに溜息が出る。シミがあったからこそ今の人生。シミを無責任に勲章にしてとも言えない。が、善くても悪くても変えられないとしたらシミに拘〔こだわ〕っても仕方ない。
今日の夕食は、
◆ひらめの昆布〆 ◆まぐろのラビッコトソースで ◆丸茄子の味噌葛あん ◆煮物(厚揚げ・大根・人参・三度豆) ◆小松菜の胡麻和え ◆ご飯