カワセミ側溝から

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

愛は金である   後妻業の女

2016-09-03 | 映画

後妻業の女/鶴橋康夫監督

 資産のある男の後妻に納まり、その死後に資産を取るということを職業にしている人々と、資産家の子らが後妻を疑って調査を進めて追い詰めていくお話。基本的にコメディになっていて、危ういながらも境界線上の(もしくはきわめて分かりにくい線)で立ち振る舞う守銭奴の心理戦を扱ったといえるだろう。あくどいながら、どういうわけかこの悪人たちの武勇伝のようなところもあって、普通なら一線を越えているらしいあたりから結末は見えているのが映画的な約束なのだが、それすらも越えてしまうような結末になっている。別に驚きはしないが、そこのあたりはなんとなくあやふやで、結局この仕事は続けられるということになるんだろう。ゆすりを受けながら終わらない悪行を強いられるということでもあって、そんなにハッピーとも思えはしないが…。
 最初の疑問点だが、それなりの資産家の資産を何度にわたってかすめているにもかかわらず、あまり裕福そうな生活をしてないようにも見える。いや、首謀者でもある男についてはそれなりに金を使っている様子があるけれど、結局女に金を貢いでいるということであるらしく、普通に健全である。いや、それというのも、それなりに危ない橋を渡っているのであるから、そもそも残された家族が、簡単にそのような事実を受け入れてきた過去にも疑問があるし、後妻に納まるとはいえ、生活能力は極めて低い女であるらしく、そもそもの結婚生活が破綻しているにもかかわらず、公正証書で遺言状はちゃんと書かせることが出来ているのもきわめて怪しいという感じはする。年を取った男でも、色恋には弱いのだという一点であっても、突破するには相当なハードルの高さなのではなかろうか。だからこそ美人局の首謀者と組んで、時事上殺す必要があって、この一点で、かなり警察の捜査などに引っかかりそうな気もする。この映画では保険金の話は見られなかったが、多額の資産と共にそのような金のとり方だってあるわけで、一回の悪行でもっと稼いでいたら、こんなに何回も後妻を務める必要なんて、そもそもないのではあるまいか。
 お話とは関係ないが、キャストの多くはずいぶんご高齢になられたものだな、という感想も持った。珍しく映画館で観たが、客の高齢率も高かった。ご夫婦で観ている客が多くて、ちょっとチョイスとして良かったのかな、という気もしたが、考えすぎであろう。
コメント
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