MILE22/ピイーター・バーグ監督
主演は、マーク・ウォールバーグ。特殊捜査に当たる人間としては能力が高いものの、いつもイライラして社会適応性の低い人間を演じている。だいたい眉がつり上がって緊張しているような面構えなので、そのまま演じているというかんじだけど。とにかく戦争でもないのに銃を乱射して、たくさん人が死ぬ。スパイというか、謎の人物を救出したりして、スパイサスペンスとアクションがいつまでも続く展開。緊張感はあるけど、人の命って何だろうな? という感じにはなる。もちろん味方の人間が亡くなるときは、急に人の命の価値が若干高めになるけれども。テンポが早くてなんだかわからないところもあるけど、分かったところでいったいなぜそんな任務が必要なのか、またはそういう必要が今あるのか、やっぱりよく分からなくなるに違いない。アクションのための設定映画なのだろう。
ただし、謎の人物を演じるインドネシア出身の俳優イコ・ウワイスの動きはなかなか良かった。こういう雰囲気のアクションスターはあんまり見たことが無いので、新鮮味があるのかもしれない。
また、特殊任務を支える裏方の動きが、無線を通じていろいろな操作をパソコンで処理し、まちのインフラを自由に操作してしまうという魔法を使う。これが凄いと言えばそうかもしれないが、どうにもなんだか納得がいかないところもあった。これだけのことができるのならば、あんまり人間を使わなくてもできることがたくさんあるんじゃなかろうか。どうしてもそう考えてしまうのだろう。万能すぎるくせにやられるときにはあっさりの多くの人間が犠牲になってしまう。もともと能力が低かったのではないか、という疑いさえ持ってしまった。
多少辛口になってしまうのは、やはり全体的に作り物感が漂ってしまうせいではなかろうか。ゲームの中のようなスリリングさを実写の人がやってしまうと、かえってリアルが損なわれる場合があるのかもしれない。凄すぎて信じられないのだ。漫画だと凄すぎることだからこそいいところなんだが、生身の人間が動く場合は、それなりに生身らしく弱点があった方が、共感しやすく燃えるものがあるのかもしれない。