「切らずに治す脳卒中」日本脳神経血管内治療学会前々会長ブログ
第31回日本脳神経血管内治学会学術総会会長のブログ
会期:2015年11月19日~21日(無事終了しました)




山陽新聞の夕刊コラム「一日一題」の第二回目が昨日掲載されました。2月から3月にかけての2ヶ月間、毎週火曜日の連載です。
今回は、世界で最も盛んなスポーツ・サッカーと、私の人生を捧げる地元岡山のフットボールクラブ・ファジアーノ岡山についての話題です。
サッカー好きがよく使う表現「私の身体には〇〇色の血が流れている!」(〇〇には自分が応援するクラブのチームカラーが入ります)
と言うわけで、私の身体にはワインレッドの血が流れています!

それでは、昨日(2015.2.10)の拙文をご紹介します。


Challenge1

 皆さん、スポーツはお好きですか? 私は高校時代にサッカーを始めて以来、35年続けています。Jリーグ以前のスタジアムは閑古鳥が鳴いており、日本代表のワールドカップ(W杯)出場は夢のまた夢という時代から、自分がプレーするだけでなく、日本代表を応援してきました。そして、Jリーグが発足しサッカー人気も急上昇しました。
 日本代表が初めてW杯出場を果たした1998年フランス大会には、当時留学していたスイスから日本の3試合の応援に行きました。ヨーロッパ在住中は、大好きなバルセロナをはじめとして多くのサッカー観戦をしてきました。帰国後も、日韓、ドイツW杯やクラブ世界一決定戦(トヨタカップ)などビッグゲームを生で見てきました。
 でも、何かが自分には欠けていました。そうです。自分たちのチーム、「おらが街のチーム」です。そこへ登場したのが、ファジアーノ岡山でした。2004年のチーム結成後トントン拍子に地域リーグを勝ち上がり、09年にはJリーグ昇格を達成しました。私は試合中に頭部を強打して脳しんとうになった選手を診察したことから、08年からチームドクターの一員となり、同時に熱烈なサポーターとなりました。
 ファジアーノ岡山の理念は「子供達に夢を!」です。昨年は「100年続くクラブのDNAのために」をスローガンにJ1昇格を目指して闘いました。結果は8位と目標には届きませんでしたが…。今年は「Challenge1」。スタジアムで1万人のサポーターが一つになり、岡山の皆さまと共に「次の1」、つまり「J1」にふさわしいクラブとなることを目指すという思いが込められています。
 皆さんも、わが街のチーム「ファジアーノ岡山」をスタジアムに応援に行きませんか? チームを鼓舞し、後押しするスタンドの一体感は素晴らしいですよ!



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2015.2.7の続きです、写真は2014年春に新築移転した新香川県立中央病院です、きれいでいかにも機能的な新病院という外観ですね。

「香川脳神経カンファレンス」終了後、高松市内で先輩方と会食の最後の締めのうどんを食していたところで、香川県立中央病院に脳卒中の急患が入ったとの一報が来ました。
香川県立中央病院はその名前から容易に想像がつくように、長年に渡って香川県内の医療の中心的役割を果たしてる基幹病院です。
脳卒中診療に関しても、通常の日常診療に加えて、昼夜を問わず緊急で多くの患者さんを受け入れて最新治療を行っている忙しい病院です。
私自身も1996年にこの病院で1年間、大変忙しく、かつ濃厚な時期を過ごした思い出の深い病院です。
その後も、治療困難な症例があればご依頼を受けて、岡山から瀬戸大橋を渡って血管内治療の出張手術に来ていました。
しかし、最近はその頻度も減り、新病院になってからは、病院にお邪魔したことはありませんでした。

そこで、これは良い機会と、患者さんの状態を見に行くという河内部長にお伴して、真夜中の新病院に向かいました。脳卒中センターに到着すると、クモ膜下出血を起こした破裂動脈瘤の患者さんに脳血管内治療(コイル塞栓術)がスタートするところでした。てきぱきと働く医療スタッフ、そして治療の中心に私の後輩である勝間田篤医師がいました。
彼が、香川県立中央病院に赴任して数年、着実に腕を上げて、もはや私が海を越えて治療に来る必要がなくなったと言うわけです。
この日も日中に緊急でコイル塞栓術を1件無事に終えて、講演会に参加した後にまた病院に呼ばれて、急患に対応していました。
久々に、弟子である勝間田先生の治療の片鱗を見て、私は安心してホテルへの帰路につきました。
(真夜中でもう眠かったので、最後までお付き合いできずに帰った、という説もあります)

翌朝、治療がうまく行ったとの報告を受けて、私はすがすがしい気持ちで高松をあとに、岡山に帰ってきました。
最新治療として自分が研鑽してきた脳神経血管内治療が普及し、後輩達がさらに良い成績をあげてくれているのを目にすることは本当に嬉しいものです。

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昨日は、兵庫医科大学脳神経外科教授吉村紳一先生に岡山に講演に来て頂きました。
吉村先生は私より1歳若い同世代のホープで、脳血管内治療の同士として、切磋琢磨してきた仲です。
私は血管内治療を専門として、開頭術は最近はしていませんが、吉村先生は手術と血管内治療の両方を手がける「二刀流」の第一人者です。
「大型動脈瘤に対する挑戦」という演題で、治療が難しい大型脳動脈瘤に対する治療に関して多彩なお話をしていただき、大変勉強になりました。
当科の若手も大いに刺激を受けたことと思います。

そして、吉村先生は「脳卒中をやっつけろ」という有名なブログを展開されており、この点では私の大先輩と言うことになります。
また、2016年度の日本脳神経血管内治療学会会長であり、私の次の会長と言うことになります。
これからも切磋琢磨して、日本の医療の向上を目指したいと思います。
吉村先生、忙しい中、ありがとう!



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昨日は「香川脳神経カンファレンス」にお招きいただき、香川県の脳神経系の医療従事者(医師、看護師、理学療法士)の皆さんの前で特別講演をしてきました。
タイトルは「脳卒中における脳血管内治療の現状」で、最近進歩が著しい脳梗塞急性期の血栓回収療法と、脳動脈瘤に対する最新の血管内治療のお話をしてきました。
香川の皆さんは上品で大人しくて、講演中にはあまり手応えを感じなかったのですが、終了後に美人の看護師さん達から「今日は面白くて、ためになりました」と声をかけていただき、ほっとしました。

会終了後は岡山大学脳神経外科の大先輩である、香川労災病院副院長(脳神経外科部長)吉野公博先生、香川大学脳神経外科教授田宮隆先生、香川県立中央病院脳神経外科部長河内正光先生、三豊総合病院脳神経外科部長正岡哲也先生らと会食しました。(先輩方、ご馳走様でした!)
私にとって、”うどん県”高松市は、ジュネーブ大学に留学する前に1年間住んでいた懐かしい地です。
1996年ですから、20年近く前になりますが、香川県立中央病院で働いていました。
当時は脳神経外科の専門医取得3年目で、若さに任せて手術に没頭していた時代です。
また血管内治療もどんどん取り入れて、忙しくも充実した日々を過ごしていました。
先輩方と当時の懐かしい四方山話に花を咲かせて大いに楽しみました。
瀬戸内の美味しいお魚をいただき、香川ではお約束の締めのうどんを食べているところで、香川県立中央病院に脳卒中の急患が入ったとの一報が入ってきました。
続きは・・・また次回に。



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岡山ローカルの山陽新聞の夕刊コラム「一日一題」に、この2月から3月にかけての2ヶ月間、毎週火曜日に執筆することになりました。2015.2.3がその初回でした。
自分の専門分野である「脳神経血管内治療」について、一般の方々にも理解しやすいように書いたつもりです。
折角ですので、このブログにも、原文を載せて、皆さんにご紹介したいと思います。


「脳神経血管内治療」
岡山大病院脳神経外科・IVRセンター准教授
杉生 憲志

 「脳神経血管内治療」をご存じですか? カテーテルなどの特殊な器具を使用して、レントゲン(X線)透視下に、血管の中から脳や脊髄など神経の病気を治す最新治療です。
 従来、脳の病気はわれわれ脳神経外科医が開頭術を行って手術的に治療していましたが、血管内治療であれば、開頭することなく、切らずに脳の病気を治すことが可能です。
 最新治療と書きましたが、日本でも通常の治療が難しい病変に対して、1980年代から苦肉の策として行われてきました。90年代後半になり、器具や機材の開発・改良に伴って、治療の有効性・安全性が格段に進歩し、2000年代以降急速に普及しつつあります。
 私自身は1987年に脳外科医となり、91年から血管内治療に携わってきました。当時は、一般脳外科診療の中の一部門として開頭術の片手間に血管内治療も行うような状況でした。歴史的にみると、日本では脳外科医が行うことがほとんどですが、欧米では放射線科の中で神経疾患を専門に扱う「神経放射線科医」が主流でした。
 私は幸運にも、ジュネーブ大神経放射線科に3年間留学し、世界最先端の知識と技術を学ぶことができました。帰国後は、血管内治療を専門として岡山大脳外科と関連病院で多くの患者さんの治療に当たってきました。「血管内治療」は患者さんの体に優しい最新治療ですが、最新機器が必要であり、医師にも高度の技術と経験が要求されます。私はこの治療を天職と考え、教育と普及に尽力していく所存です。
 ◇筆者紹介(すぎう・けんじ)専門は脳卒中治療、中でも脳血管内治療。久留米大医学部を卒業し、岡山大脳神経外科入局。1997年からスイス・ジュネーブ大に留学。帰国後岡山大に勤務、2012年から現職。15年度日本脳神経血管内治療学会会長。08年からサッカーJ2ファジアーノ岡山チームドクター。総社市出身、岡山市在住。51歳。


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岡山大学脳神経外科の杉生憲志(すぎうけんじ)と申します。この度、「ブログ」なるものを、開設しました。
これは、第31回日本脳神経血管内治療学会という学術集会を岡山市で平成27年11月に開催することから、また、私が脳神経外科領域の中でも特に専門として取り組んでいる「脳神経血管内治療」に関して広く情報発信をしたいという想いから、スタートしたものです。
医療関係者の皆様には専門知識の交換の場に、また、一般の皆様には脳卒中(脳血管障害)という病気に関する一般知識の交換の場に、このブログがなれば、幸甚に存じます。
まだまだ手探りの状態ですが、微力ながら社会貢献ができるよう、少しずつアップしていきたいと考えておりますので、何卒よろしくお願いい申し上げます。


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