二日目は佐渡観光の本番、昨日の曇りのち晴れから天気が続き朝からの晴天に雪をかぶった佐渡の山々が昨日より奇麗に見える。でも気温はこの時期としては低めで桜まつりが始まったというのに今年はまだ三部咲きという状況らしい。
佐渡自体は対馬海流のお蔭で夏涼しく冬は暖かいという一年を通じて寒暖差が少ない恵まれた気候とかで、雪も新潟県なのにあまり積もらないとガイドさんが言っていたが、厳冬の今年でも東京で例年より桜が早かったのは都市化現象が大きかったのでしょうかね。季節が良くなるこの時期は佐渡各町内の祭りが行われ、地域毎に踊りを変化させるらしいけれど、有名な鬼太鼓が家々を回るという行事が順次各地で行われるそうで、今日はそれらに遭遇しながらの旅になるとか。
8時半出発の観光バス、最近のバスガイドは若い人が少なくて我が団体担当ももうかなりのおばさんの仲間、でもこういうベテランのほうが説明上手で良いこともあるんですよ。このガイドさん、吉田屋観光を辞めて吉本興業に入っても最近の若造より、漫才や漫談の芸で充分にやっていけるほどの役者でしたねぇ、大いに我々を笑わせながらの案内でしたよ。
最初の目的地はすぐ近くの道の駅である芸能とトキの里(佐渡能楽の里)で、流人世阿弥以来の佐渡で盛んだという能についての資料館と能楽館でのロボットが演ずる道成寺の見学(能楽館はオプションで団体料金の630円、内容はダイジェスト版で説明アナウンス付となっている)となる。すぐ道路の反対側には佐渡宝生流家元の本間家の能舞台があって、昭和天皇も観賞されたとの看板があったがこちらは何故か素通り。代わりにというのも変ですが佐渡は牛飼育が盛んで乳製品が自慢だとか、ここ併設のミルク工房のソフトクリームが濃くて美味しいとガイドさんがいうので、女性だけじゃなく皆さんが召上っていましたねぇ。
すべてが人形ロボットによる演技
次は小佐渡中央部にある真言宗長谷寺(本山はハセデラだがこちらはチョウコクジと呼ぶ)で、御住職の説明で仏像や仏画などのほか骨董什器などを見物する。長谷の名前の通り本尊は十一面観音で、3躯のうち2躯は33年毎御開帳の秘仏で明治期に国宝に指定されたが今は重要文化財だそうで、1躯のみが常時拝観できるようになっている。観音経に言うように大和長谷の本山もここも急斜面上部に本堂が建つのは同じ、鎌倉の長谷観音もそうでしたね。現53世御住職は勤めを辞めて寺に戻られ、それまでお蔵入りだった宝物をできるだけ皆に見てもらおうと、改装しながら展示場所を作り一所懸命にやっているそうですが、なんでも檀家が50軒ほどということなので、観光客誘致で寺を維持しようと頑張っておられるのでしょう。花の寺長谷第二回写真コンテストの宣伝パンフレットなども置いてあったが、その意気込みに拍手しましょう。
重要文化財のご本尊の撮影は憚れるので不動明王を、これも古そう
このあと風がやや強くなって小木のタライ舟が出ていないという情報が入ったそうで、そちらの様子見のため予定順を変更して回ることに。こういう場合は島であるため比較的に交通の自由がきくようであるが、ここまでのバス旅行では広々した田畑やバックの高い山の風景(冒頭写真)に、島にいるという感じは全くしなかった。ガイドさんも島というと狭いだろうから、名前だけ言えばどこの人かすぐ分かるのじゃないかと内地の人は思うらしいけれど、それは曽我さんだけ、バカにしないで、佐渡は結構大きいんだからと笑わせていましたよ。今や曽我さんとジェンキンスさんは有名人で、このバス旅行でもこの辺りで拉致されたとか、家はこの近くなどと説明する頼もしい体格のガイドさんが、私も拉致された場合の準備は出来ているからなどとまたまた大笑い。
それで次も小木港近くの同じく真言宗の蓮華峰寺という、南北朝から江戸までの建物が残るお寺に回る。なかなか大きい寺で、梵語のアの字がデザインの円形パネルが金堂の外部にいくつか並び、三十三観音を表現しているというのが面白い。裏の駐車場側にも石に彫られて並んでいた。昔は観光目玉があまりなかった寺なのだが、檀家の一人がアジサイを植え始めて今はアジサイ寺といわれるようになったとか、こちらも頑張っていますねぇ。でも両方の寺ともに周りには人家がほとんど無くヒッソリとしていて、それが佐渡らしくて良いのかもしれないが檀家そのものが少なそうで、建物は風雪に晒されてかなり風化が進んでいるのがどちらとも心配なほど、今後の保存維持だけでなく解体修理となったらどうするんだろう。
境内はこの奥にもかなり広くて、この時期はまだ芽吹いていない木が多い
佐渡の古刹はどこもこんなふうらしく、京都や奈良などの寺院などとは比べるべくもないが、島の中ということを考えるとよくぞ守られてきたものだ。今後も大切にしていってほしいけれどどうなるかと。
そのあとはまた少し北に戻って真野の3蔵元が結成するアルコール共和国の一つ銘柄真野鶴の尾畑酒造に立寄り、僕など聞きたくも無い酒造りの説明ビデオがあってから、裏口までの通路で利酒とお土産販売に付き合う。酒壜は買ってもお荷物だしこういう旅行ではあんまり買う人はいないでしょうからねぇ、酒粕漬なども販売していてけれど我々は買わず仕舞い、土産を買うとしても最終日にしましょうやと。佐渡旅行中にこの真野鶴のほか北雪、天領盃、金鶴と飲んだが、吟醸酒は飲まなかったので一般酒だけで比較すると、金鶴が一番という我々二人の結論でした。
佐渡は銘酒も多い
そしてまた小木港近くで団体の昼食はドライブインでイカ釜飯、あっという間に食べてから土産物を覗いたものの、良い物があればぐい呑ぐらいはと思っていた無名異焼はどこでも同じ窯元の全く同じものがこれまた同じ値段というのに興ざめ。同じ土ものでも備前などは同一窯でも形や焼きが違うのに、こちらはほとんど同じように見える。もう少しバラエティを付けてお値段もいろいろにしてくれませんかねぇ、団体で観光土産屋だけとなると無理なんですかね、隣にあるフェリー駅の売店でも同じようなものであった。鉄分が多い土を1200℃以上の高温で焼くため洗浄作用があって丈夫という焼き物、次回は窯元を訪ねたいものです。次回といえばここ小木の伝統的建物群保存地区の宿根木が見学コースに入っていなかったのは残念でしたねぇ。