冒頭写真は小松在住の女性陶芸家長谷川紀代作の吉田屋風のぐい呑で、箱付で相場の半額以下で購入したのだが、まだ未使用である。もう一つはこういう古い物にてを出し始めた頃に金沢でおずおずと買ったもの。
このぐい呑は骨董市なのに新しいものを多く並べていた富山の業者からさんざん値切って買ったもの、あとでネットで調べたらこの作家は再興九谷の窯元の一つ若杉窯の末裔だということだ。九谷の人間国宝は徳田八十吉が亡くなって釉裏金彩の吉田美統一人、古九谷以来の色絵の作家で浅蔵五十吉以来の認定者は今後出るだろうか。釉裏金彩というのは釉薬の下に金箔を貼っているとかで、この反対に釉薬の上に金箔を貼れば金襴手となるから永楽様式、美統さんの実家はこの様式の窯元だったそうである。
もう一つのぐい呑は金沢に旅行した20年以上前に、街中の小さな骨董屋で買った秋草紋の九谷らしからぬ感じもする焼物。あの当時骨董九谷焼はあまりにも高いので買えず、小さいもので安物の中から雰囲気がいいかなと思うものとしてこれを選んだのだが、こういうものに興味を持ち始めて間もない頃で旅先であったこともあって、思い出深い盃である。
地味だけれど全体の色調はやはり九谷である。