エライ寒空の中を目黒までお出掛け、ここのところ毎年この時期に目黒雅叙園にある東京都有形文化財となっている百段階段で雛まつりを開催していることは知ってはいたが何故か見たことが無いと、今年は越後、信州、栃木のひなを展示ということで、それならその土地まで行かなくても見られるからお得と女房に誘われて、僕も百段階段の豪華な和風建築には興味があってお供しましょうと。冒頭写真はそのパンフレットと入場券である。
東急目黒線は目黒駅の方が近いけれど敢えて不動前で降りて昼は安い中華屋で食べてから雅叙園に向かおうと、12時少し前に山手通りに面してある味一という店に、ほぼ満席状態であったがカウンター席に詰め込まれて座ることができた。以前から街の中華屋さんとして美味しいという評判を聞いていたが、こちらも初めての訪問、店の中はそんなには広くなくてどちらかというと手狭なのに厨房には4人も男連中が居て、これで料理を手早く作って客の回転をあげるということでしょう。
炒飯とタンメンが美味しいと聞いていたので僕はBランチのタンメンと豚バラ丼のセットを、女房はセットじゃ多いからと普通の炒飯よりもランクアップの五目炒飯を注文。まずはタンメンのほうだがこのスープが濃厚で通常のものとは違ってトンコツも使っているんじゃないかという感じ、しかしあとで貰った開店7周年のチラシには2種類の鶏ガラを野菜と一緒に炊き出したとあって、鶏だけでもこんな色の動物系みたいな味になるんだと、僕の舌もアテにはなりませんな。タンメンと言うよりも今流行らしい濃厚ラーメンに野菜一杯という感じで、僕は塩味ならもう少しアッサリにしてもらったほうが好み。豚バラ丼はこんなものでしょう、僕でも二つは多かった、後からの客もBのタンメンセットを注文する客がほとんどみたいだったけど、中にはタンメンだけで野菜増しとか大盛りと単品注文の人もいて、このタンメンが好きならそちらにした方がいいかもしれないね。女房の方の炒飯は一口だけ食べてみたが、チラシには炒飯用は専用の米を炊いているという拘りを書いてあったが、これは風味もあって美味しい。付いてきたスープはタンメンと同じものを使用して醤油味にしたようですね、塩味よりもこちらの方がいいかも。しかし女房でもボリュームは少な目というぐらい、エビとイカなどの具材は下処理で揚げてあるなど本格的ではあるが、この位の量なら僕は次には普通の炒飯の大盛りでいきましょうかね。
中華 味一
タンメンと豚バラ丼
五目炒飯
味一からは目黒駅方面に歩いて行けば10分ほどで目黒雅叙園正面入り口にたどりつく。ロケーションは目黒駅側の高台から目黒川に向かっての斜面になっていて、その斜面に百段階段の建物だけを保存して、そのほかは高層オフィスビルと低層ホテル共有部分を組合わせて付加価値を高めたリニューアルをしているんですね。僕はかなり前に一度だけ来たことはあるがその時はあんまり印象は無かったような、女房は初めてだということで、正面に入ってすぐ左手に百段雛まつりの入場受付があったが、その前に右手方向にホテルにつながる共有ゾーンがどんな空間を構成しているかと、その一番奥まで見物していくことに。
目黒雅叙園正面
その廊下には大きな鏝絵の日本画風の額が客を迎えるように片側の壁側に上手に配置されていて、これを見て行くだけでも価値ありのホテル、そういえばこれらの鏝絵は解体した建物にあったものを活用したというこような話を聞いたことがあったが、これはよくぞ残してくれたものだと、これらを見た女房はどこも欧米式のホテルばかりなのにここは違う、外国人はむしろこのホテルのほうが喜ぶわよだと。
大きい鏝絵は浮世絵の世界を
奥はレストランや宴会場に
奥のほうで上階の宴会場に導くらしいエスカレーターには、芸妓さんやら舞妓さんみたいな華やかな一団がやってきて列を作って登って行くところに出くわして、あとで宴会場の案内リストに京おどりの会みたいな表示を見て皆さんは京都からやって来たのかと、それにしても鏝絵の世界が再現したかのようでこのホテルには似つかわしいですなぁ。
エスカレーターで上階の宴会場に向かう一行
ホテルの1F部分だけを見物したあとはまた玄関ホールに戻って、それではと百段階段に向かうエレベーター前の入場受付に、このエレベーターも内部が螺鈿で唐獅子牡丹が描かれていてこれもやはり豪華ですねぇ。
雛まつり会場受付
百段階段の中からは写真禁止ということで入口だけを、これが小さな入口だけの口を開けていてこれから不思議な世界へと誘うかのよう、ホテルの案内には竜宮城になぞらえてあったがこれからどういう空間が広がるかと、むしろこの素っ気なさが逆に期待を呼びますね。ここから続く階段が正確には99段と番号が符ってあって、その途中に七つの和風建築の粋を尽くした部屋が配され、その設えを担当した日本画家などの名前〇〇の間などと付けられている。全体の改築時にここだけが残されたとか、昭和10年に完成の料亭施設で今年で89年となるとか、とにかくここまで贅沢な建築はもう造れないというような建物、末永く維持保存してほしいと誰もが思うんじゃないですかね。
その各部屋の雛まつりの展示内容は下から順次見て行ったがそれぞれのテーマは以下の通り。
・十畝の間 信州・お雛さまのある風景-松本・中野・上田
・漁樵の間 江戸風景・関東地方町家の雛飾り&享保の世界・古今の世界
・草丘の間 新潟・村上 町屋の人形さま巡り
・静水の間 信州・須坂 豪商 田中本家
・星光の間 信州・長野 大本山善光寺大本願-上人ゆかりのお雛さま
・清方の間 栃木 氏家雛めぐり・古香庵
・頂上の間 信州・中野ひな市in目黒雅叙園
百段階段の入口
金曜日と平日だったから女性客がほとんど、それもややご年配の数人連れというのが多いのはこういう催しでは当然ですね、僕を含めて男は連れだって来ていたという輩ばかりでチラホラと、しかし土人形愛好家は男でも多いはずで、今回は頂上の間の中野ひな市では希望の人形に札を入れて、抽選で当たればゲットできるということで早速にも申し込んできたが、中野のひな市でも手に入りにくいというからさてどうなるか。
百段階段手前にはギャラリーショップがあって、会場にも展示もされていた松本ベラミ人形店の押絵雛が販売されていたが、我家にもこれよりやや大き目のものをもう20年以上前に買い求めていてこの時期には飾っているが、こういうもののお値段だけはデフレということはないようですね。
押絵雛
帰りは息が切れるような坂道を登って目黒駅から電車に乗って戻ってきたが、雅叙園のすぐ上の隣には大圓寺という山手七福神は大黒天と案内を掲げた寺があったので、境内に入って見たら五百羅漢の石像がビッシリと並んでこれもお見事、こちらにもお参りして。それと雅叙園とこの寺はかの振袖火事の八百屋お七にゆかりがあるということも初めて知った。
大圓寺内の五百羅漢