高速道が滝桜渋滞を起こすことで有名だからなるべく早くと早朝4時半頃に我家を出発、ただひたすらに三春をめざし、朝食などは昨日買っておいた惣菜パンなどを車中でパクつきながら一目散。なんと7時半には船引三春ICに到着したら、この時間でも出口はもう渋滞で、ETC出口が一つしかないから両方からの車が合流するのにノロノロとなっているんですね。こちら常磐側からは高架で高速道本線を跨ぐから左右両方向を見てみたらドンドン出口からの渋滞が伸びている様子。こりゃー大変だ、先んずれば人を制すですな。
ICを出てから暫くはまともに走り出したものの滝桜近くの駐車場手前2kmからは渋滞で2時間ぐらいかかるという、その手前で右折した先の町営グランドの駐車場からシャトルバスを利用したほうが早いとハンドメガフォンで案内していたからそちらに。我々が入った8時半少し前まではスムースに駐車できたが、シャトルバス待ちの行列はもうかなり出来ていておとなしく並ぶ。数台待って乗ったバスは交通規制で専用に走れるコースをとって目的地には9時ちょうどに到着。確かに滝桜近くの大型駐車場はもう満車で、駐車待ちの車が並んでいる、さすが満開の日曜日だものね。
滝桜は今回が二回目で前回はもっと遅い到着でもこんなには渋滞ではなかったのに、その最初のときは8分咲きぐらいだったと記憶するが、さて満開の今年はどうなんだと。出店テントや道沿いの農家が桜苗木や農産物、お土産などを並べているのを横目に通り過ぎれば、やや登った先の空地に1本だけで立つ滝桜が勇姿を現した。この大樹には一箇所だけ近づける場所があってそこだけは天に広がる姿を見上げることができ、観衆が数珠繋ぎ。そのほかは周りを一周する見物コースを歩くことになる。満開の滝桜の花のボリュームは圧倒的で、日本三大桜のなかでは樹勢が一番、推定樹齢は1000年というのにまだまだ花の滝を見せてくれている。この太くて複雑な襞を見せる幹の古木は何か神がかった雰囲気を感じてしまう。こんな時期に満開に巡り合うとは幸運だったね、やはり渋滞をものともせずに皆さんが来るわけだ。現地では予定より1週間延期してこの土日に夜のライトアップをすると案内があったが、団体ツアーではそういう企画もあると思うけど、今年は先週までのツアーがほとんどだっただろうからガッカリだったろうね。この日にも観光バスの姿は見えなかったからもうツアーは終了、例年だと今は角館、弘前ツアーが中心の時期で、そちらでは見頃にはまだまだで、今年は大型連休後半あたりだろうから思惑がはずれた人が多いはず、早くから予定をたてて名所の桜に巡り合うのは運も必要なんだね。
滝桜の勇姿・花が滝の如く 見上げた滝桜
滝桜裏手の高台にもソメイヨシノなどの桜が咲いていて、そこからは安達太良や吾妻連峰の眺め(冒頭写真)も楽しめるが、シャトルバス発着場で見えた近くの三春ダムのさくら湖はここからは見えない。湖や雪山全てをバックにして一度に見られたらなんて、それはちょっとばかり贅沢、滝桜が選んだ場所はこの日当たりがいい斜面に守られたところなんだから。
1時間半弱ほどでまたシャトルバスで戻って次は高柴デコ屋敷に向う。ICから滝桜までも、またこちらからデコ屋敷までも今が桜の真っ盛り、特に滝桜と同じエドヒガンだと思われる枝垂桜が各所にあって、樹高だけなら負けないような大きさの見事なものも各所に見られた。実際、三春浪漫紀行という観光パンフレットには町内の大樹マップがあって、桜で町おこしをしている様子、そもそも三春の名は梅と桜と桃の花の三つの春が同時に咲くということで名付けられたと書いてあったが、梅の花はもう見られなかった。
高台の農家の周りにも見事な枝垂桜が 三春さくらマップ
デコ屋敷でも桜に迎えられて駐車場に、ここは伝統工芸の三春駒や張子人形を製造販売する家が5軒(内1軒はやや離れて)集まる民芸の里で古民家も懐かしい雰囲気を感じさせる場所、東北地方は土人形がおおいのだがここは張子で京都から元禄時代にこちらに移り住んだ職人の末裔が今も受継ぐという。ちなみにどの家も橋本さん、看板にデコとは方言で張子のことと書いてあったが、木偶からデコとなったとすると木彫り人形が本来だからあくまでもここだけの方言ということか、これはよく分からない。
高柴デコ屋敷前の駐車場にも桜 中で一番立派な造りの彦治民芸
ここにはもう3回目でこの前は干支の子の人形を買ったと女房が記憶していたから、前回来たのはその前年の亥だから3年前で、その時にも滝桜見物のあとだったのを思い出した。こちらの張子は似てはいても木型(各店に古い木型を展示している)が家々で違うからよく見れば違いが少なからずあり、今回も来年の干支の卯を買おうと見比べ歩いて本家大黒屋のものを選んだ。ここの張子人形はどれもユニークな姿や表情がなんとも微笑ましい、ここの兎人形はコロコロしているから玉うさぎというんだそうだ。その大黒屋本邸は3年前には製造販売の古い店だったのが古民家再生で若返り、体験教室の場として子供達で賑わっていて、販売そのものは下のほうの家に移っていた。
手前は作りかけの張子、奥には木型を展示 縁先にも張子を乾かして
一軒だけ少し離れた場所にある恵比寿屋(店名エビスは本家恵比寿屋、分家えびす屋と三つある)には資料館も、こちらにも作りかけの張子を天日で乾かしていたりのどかな風景、大きな桜も背景となる小山にあって日本っていいなぁと。
恵比寿屋も桜に迎えられ トイレの男女表示の絵
帰りがけに見たここのトイレには男女別表示に手描きの絵があって、張子の絵付と同じ面白い顔には微笑んじゃうぞ、愉快だねぇ。