熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

ハンセン病文学全集9

2024-03-13 00:00:01 | 川柳一般

全10巻をなす『ハンセン病文学全集』の第9巻は大岡信・田口麦彦氏による編集で俳句・川柳の巻となっている。

333頁から473頁まで141頁にわたり、霏霏と川柳が収録されている。掲載句は日本の各地にある療養所内の句会の合同句集や個人句集、記念句集などから引いてある。 病を得て詠んだ句だけではなく、戦争や日常の暮らしを詠んだ句の方がむしろ多いと言える。ここでは筆者がランダムに抄出した句をほんの一部紹介する。

皇軍へ済まぬ銃後の春三日  小山冷月

末席は末席だけの輪ができる  為田北星

夕涼み西瓜へ一家丸くゐる  佐々木歩柳

花の咲く頃の故郷へ遠く病み  米内紫水

菊かほる療舎みんなのほがらかさ  嵯峨悟朗

吾も亦銃後の一人麦を踏む  故 佐々木梅柳

入園をして新しいカレンダー  田根正夫

理髪店明日の希望へ廻る椅子  前山繁一

この島で死ねると冗談では云える  坂田まさる

夫婦舎へ行く幸せな名を呼ばれ  雪原いく代

仮の名で生きるしるしに賀状書く  野上白天外

アリバイのような賀状を書き続け  安倍四郎

一枚の賀状も来ない故郷をほめ  岡 一門

国旗から遠く洗濯物を干し  白露

自尊心薔薇より赤き血を持てり  辻村みつ子

田口麦彦氏はこの本の川柳の収録編集だけではなく、川柳の部の最後に9ページに及ぶ解説を書いている。田口氏は本川柳研究協議会の前身だった熊本県川柳協会の会長を歴任している。改めてその偉業をおもう。

             『ハンセン病文学全集9 俳句・川柳』

          

              大岡信・田口麦彦 責任編集

              二〇一〇年七月二〇日 初版発行

              発行所 株式会社 晧星社

                  全513頁

      この本は、熊本県立図書館、同市立図書館の一般貸出で借りることができる。

追伸

上記掲句の辻村みつ子については、このブログの2024.2.24にUPしている『流花 女性川柳家伝』黒川孤遊に掲載がある。著者が実際に岡山県の長島愛生園に訪問取材して書いた「ハンセン病と戦い詠んだ 辻村みつ子」に詳しい。         (いわさき楊子)


今年も 母の日川柳

2024-03-07 09:42:22 | 川柳一般

            🌺母の日川柳2024 募集が始まりました。

応募は 一人につき1句限りで、自身で創作した未発表のもの。熊本県内在住者に限ります。

主催:鶴屋百貨店

選者:熊本県川柳研究協議会ほか

締め切り 4/5(金)必着

        

上写真は熊本日日新聞2024年3月1日から


会員しろ猫エッセイ

2024-03-01 09:14:31 | 川柳一般

                                                      係 り の 名 称  

何年か前の話ですが、福岡県の玄界灘に面した町に「うみがめ課」があることを知りました。公共広告機構いわゆるACジャパンの環境保全CMの紹介によると、海岸清掃や亀の生息調査など絶滅の危機に瀕してしている種を守り、環境の保全を図っているのがこの課らしいのです。分り易いネーミングで親しみがもてます。似たような発想で「すぐやる課」を設置した自治体もありました。こうして、官公庁から民間まで所掌・担当を表す名称がつけられています。

一般的に官公庁は堅く、法律用語がそのまま使われることが多く、住民課などはその例です。民間会社は随分やわらかそうですが、カタカナばかりで何を担当するところか判然としないものもあります。

以前チューブ入の歯磨を使った後で、洗面台の棚に立てて置いたら、チューブの横から歯磨の中身がはみ出していたことがありました。メーカーに連絡すると「その製品のチューブは既に生産中止だが、破れを点検したいので送り返して欲しい」旨の返答があり、商品の不具合状況調査表が送られてきました。

同封された返信用封筒の宛先は「○○歯磨苦情処理係行」となっていたのです。代替品が送られてはきましたが、せめて宛先は「お客様ご意見承り係」程度にはして欲しかったものでした。貴重な意見を苦情処理レベルでとらえたとの逆効果ネーミングの好例と思ったものでした。

見ることは見られることの裏返し・・・しろ猫

       

その件については善処いたします  Y

松山市  坂の上の雲まちづくり部  文化・ことば課   これは本当に存在する愛媛県松山市の組織の名称です。さすが正岡子規の出身地ですね。Y  


『流花 女性川柳家伝』出版される

2024-02-24 19:29:06 | 川柳一般

本川柳研究協議会の黒川孤遊さんが写真の本を上梓されました。

「川柳くすのき」に連載したものに加筆、編集し直して一冊にまとめたものです。

            

目次から

序文 ー 木本朱夏

河村露村女・山本 乱・森脇幽香里・西村 恕葉・辻村みつ子・近藤十四子・明治新川柳に名を刻んだ 下山岐陽子 阪井素梅女  伊藤政女・  榎田柳葉女・吉田 茂子・三笠しづ子・西岡加代子・宮川 蓮子・戸田 幽子・杉森 節子・児玉 怡子・園田恵美子・久田美代子・        宮本美致代・小出 智子・笹本 英子・桑野 晶子・西郷かの女・八木 千代・早良 葉・大石 鶴子・谷口 岩子・田村百合子・        田頭 良子・渡部可奈子・島 道代・飯尾麻佐子・福島 銀子・林 ふじを・片岡ひろ子・末田 サダ・門谷 たづ子・島村美津子

讃 ー 古谷龍太郎

あとがき 

 

流花(るか)ー女性川柳家伝 

著者 黒川孤遊     2024年4月10日 第1刷発行  発行所 株式会社飯塚書店   

なおこの本は、令和6年3月17日の熊本番傘お茶の間川柳会 創立10周年記念川柳大会にて会場で販売されます。


おだて商法にご注意!

2024-02-18 00:00:01 | 川柳一般

   👿最近「おだて商法」がSNSなどで多く見られます。!!!

SNSで募集のあったサイトに簡単に投句すると、後日「あなたの句がジャーナル〇〇文学大賞に選ばれました。この賞は優れた作品を発表し、その活動が高く評価された作家1名に授与されるものです。今回企画する書籍で受賞したかたの世界を特集紹介します」などと数万円から数十万円を要求するものです。

サンプルのページも華やかで、自句が載ったらだれでも喜ぶような編集がされていますが、本当に冊子が発行されるかどうかはわかりません。

タイトルが「世界〇〇文学大賞」などとでかすぎる主催名は危ないものが多くみられます。

どんな活動であれ、表現活動をしている者にとって、それが評価されたとき嬉しくおもうのは当然のことです。そのことを逆手にとったあくどい商法だと言わざるをえません。

作品を投句するとき、主催団体をよく検索したりして調べて投句するようご注意ください。

                       熊本県川柳研究協議会 黒川孤遊