熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

『柳多留』の樽のこと

2021-06-27 09:32:50 | 川柳一般

初代柄井川柳(からいせんりゅう)の名から題されたとみられる「柳多留」が明和2年(1765年)に発行されました。その後ほぼ毎年発行され続け、現在の川柳の文芸ジャンルの基礎となりました。「柳多留」「家内喜多留」「柳樽」 すべて(やなぎだる)と読みます。縁起の良い当て字もしていたようです。

液体を入れるのに甕や壺に代わって木桶や樽が運搬容器に使用されるようになったのは室町時代からです。白木の柳樽は本来、板の材料が柳材で作った樽のことです。柳は木質が柔らかく、水を吸いこみやすいので、多少の隙間はあってもふやけて液体を通さないのです。しかし運搬するには重量に問題があり、容量は1升~5斗ぐらいまでが限界でした。その後この柳樽の重量の欠陥を克服して大量に運べる杉樽がつくられました。

明治27年の酒造人名簿には熊本県で385もの酒造業者の名前が記されています。それに伴い桶や樽を作る職人が多数いたことが想像できます。仕込みの容器が金属などに替わったのは最近のことです。     (Y)

【参考資料】

『江戸川柳辞典』浜田義一郎 編 東京堂出版 (①の写真)

『桶と樽―脇役の日本史』編者 小泉和子 法政大学出版局(関係部分のコピー) (②の写真)

「熊本縣酒造家推移表(明治~昭和初期)球磨郡を除く」平成13年6月作成 瑞鷹:吉村圭四郎


第49回 濤明賞と令和3年 噴煙川柳大会

2021-06-21 17:17:15 | 句会・大会

本研究協議会加盟の川柳噴煙吟社の大きな活動の二つを紹介します。

第49回 濤明賞 作品募集 7/10(消印有効)締切

当吟社創立の師・大嶋濤明氏の業績を偲び、毎年作品募集をしています。濤明賞一席・二席・三席および佳作十名が選ばれます。どなたでも応募できます。

 

令和3年噴煙川柳大会 8/31(消印有効)締切

投句は事前投句で行われます。参加の方はお忘れなきよう、8月81日までにご投句ください。出席者題の「デビュー」のみが当日会場での出句となります。大会は10月3日(日)午後から熊本市民会館2階大会議室で行われます。久しぶりのリアル大会が開催されることを願っています。


自由律の歴史

2021-06-15 07:25:39 | 川柳一般

〔自由律川柳合同句集1〕昭和十六年一月一日發行 編者 伊良子擁一 發行者 石川捨次郎

序を觀田鶴太郎が書いている。同集の後半にある鈴木小寒郎の「自由律川柳小史」にその歴史を知ることができる。河東碧梧桐などの自由律俳句時代との関連もみられる。大正七年「街灯」創刊以来、第二期といわれる作品群である。自由律川柳は意外にも古い歴史があり、活発に詩性が詠まれていたことがわかる。すべては戦前の情勢により姿を消した。現在は川柳雑誌「風」(編集・発行 佐藤美文)が十四字に力を入れて発行されている。

上記の本は平成5年3月に、〈現代川柳 点鐘の会〉の墨 作二郎氏によって500部限定の復刻版が出された。下記句はそれより抄出。漢字は新漢字に直した。(楊子)

 

「たまむし」作品(昭和3年4月創刊 81号まで発行)

くすぐられるからわらつてやる    道田葉平

かなしい漫画となる顔だ風よ吹け   澄田羅門 

雨あがる蝉のぬけがら        黒木鵜足

 

「手」作品(昭和8年~昭和13年)

鮮人の子を泣かしてふとあたりの視線に怯え  松丘町二

心のすみに押しかたづけたもののぅづき    松盛琴人

蛍脚を縮めて死んでゐた           堤 比古

       

「紫」作品(昭和9年)

わたくしの汽車の影が菜の花      梅田千秋

友へのポストで月をみてきた      橋本魄堂

 

「川柳ビル」作品(昭和5年ごろ)

生きて行くそこに水溜がある      渡邊極堂

石投げても投げても青空が残つてる   橋本白史

捨てられた畳の、あきぞら       宮田豊次

 

「川柳風呂」作品(昭和10年創刊~昭和14年)

しんみりした話が火鉢の火埋める    吾郷夢迷

ひとりぐらしの火吹竹ふく       米江庄介

 

「視野」作品(昭和10年~昭和14年~)

要塞地帯のとんびの輪である      觀田鶴太郎

なにごともない水が煮える       鈴木小寒郎

静かさ、餅がぷすんと焼けた      大野了念

 

「卷雲」作品

器を忘れよと透明のカラクリ       小笹あさの

痴行の汚點に秋風の嫉み         小西貞子

 

「柳詩」作品(昭和8年)

こやつ電球となつて真空を掴み得てゐる  川上為男

鎖をとかれた坑口から冬へ這い出る    廣岡義明 

下記写真3枚は復刻版から。


新しいかたちの大会情報

2021-06-09 21:34:49 | 句会・大会

〈ねじまき句会〉(主催:なかはられいこ)の活動17周年を記念して投句募集があっています。

17人の選者による17題のネット句会〉というサブタイトルがついています。7/31締切。

縮、霜、根、図、修、七、画、刻、無、綿、種、品、潜、茶、黄、流、王 の17題 各1句

紙ではなくて、画面に直接打ちこむ投句方法です。こうすれば後の清記もチェックも不要ですね。従来の川柳大会という名称がふさわしくないイベントのネット句会です。時代はもうすでに変わりました。

詳しくは次のブログをご覧ください。

月刊 ★ ねじまき 

年1回発行の「川柳 ねじまき」#7まで発行されています。


十日メール川柳句会のお知らせ

2021-06-06 16:14:38 | 句会・大会

上記の句会を毎月10日締切でしています。毎回出題1つ。2句投句です。

本協議会加盟の吟社に所属、または熊本県に在住のかたを対象としています。

パソコンメールのみでの参加となります。毎回30句ほどが集まります。6/10締切で10回を数えます。

まだご存知でなかったかたは協議会員の誰にでもいいですからお知らせください。

ただいま投句期間中です。お待ち申し上げます。

主催:熊本県川柳研究協議会

(楊子撮影。お隣のどくだみですが5弁です。縁起がいいことにしておきましょう。)