熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

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女流

2021-07-23 10:40:09 | 川柳一般

女が書いたら女流、男が書いたら男流。こう書いてみると矛盾がわかりやすい。

「川柳スパイラル」第12号で編集人の小池正博氏が明治以降1978年までの主な女性作家を網羅している。その時代の男性の視点で女性をとらえた考え方から女性作家に要求するものがわかる。

「明治・大正・昭和前期まで…中略…「恋愛」「抒情」「情念」などであった。人間の知情意のうち主として「情」に関わる部分であり、理知的な部分は副次的となる。…後略」と小池氏。

記載されている名前だけあげると、

伊藤政女、下山京子(岐陽子)、三笠しづ子、井上信子(井上剣花坊の妻)、井上鶴子、吉田茂子、近藤十四子、片岡ひろ子、長谷川時雨、時実新子、林ふじを、福島真澄、飯尾マサ子。

これ以上人形らしくなり切れず  三笠しづ子

機械的愛撫のなんと正確な    林ふじを

窓の長さは一秒間だ 鳥の影   福島真澄

さて私たちがみないなくなってから、現在活躍している女性川柳家たちはどのように描かれるだろう。たぶんとりたてて女性だからとして描かれることは考えられない。つぎのように小池氏は締めている。

「ジェンダー論から現代川柳が本格的に論じられるようになるのはこれからのことである。」

                                         (いわさき楊子)                                                               

 (コガネグモ 楊子撮影)

 


『青年』柿山紘輝川柳作品集 再発行(私家版) 

2021-07-17 13:50:53 | 川柳一般

  鮮度を失わぬ 青春の一句 ー

 

 青空が陥落地点からも見え   紘輝

 柿山紘輝 第一句集『 青年 』 1965(昭和40)年発行 より。


 川柳仲間とはありがたい。私の手許には、紘輝句集第一から第十二句集「儲からぬ店」まである。

 川柳歴62年の句は数知れないが、敢えて一句を選ぶとなれば、私は躊躇なくこの一句を選ぶ。

 

 16歳のとき兄陽一氏の縁で川柳を知り、17歳で「噴煙」句会に参加。

 22歳で、会長 大嶋濤明氏による表紙題字と序文の第一句集を発行。

 編集兼発行実務の七谷虹桟橋氏の計らいで、交換誌交流のあった50社ほどの吟社にも送り、時実新子、斎藤大雄氏他多くの感想をいただいたと、紘輝さんから聞いた。

 

 中学卒業時の進路決定で、家庭の事情もあり進学が適わず、家業の手伝いに忙しい日々を過ごした、十代後半の実感句である。

 自転車での配達の日々、陥落地点からの希望を探る、切ない青春の日々が、句に凝縮されて鮮度を失わぬ。紘輝青年の心情を我が身に置き替えても、ぐっとくる。

 

 同じく『 青年 』より 

 青年のもう思い出に縋りつき

 尾灯見送って世界が二つある

 青春万歳百円のゼニがない

 

                                      嶋本 慶之介

 写真は最近再発行された表紙


第35回国民文化祭・みやざき2020川柳の祭典

2021-07-12 23:00:07 | 句会・大会

「太陽と緑あふれる神話の源流 みやざき 川柳の祭典」と銘うった大会が2021年7月11日に開催されました。昨年5月開催予定が新型コロナウイルス感染拡大防止のため延期されての大会。熊本からは選者として平田朝子、黒川孤遊が、ほかに2名が出席しました。前日の九州南部の集中豪雨の影響に加え、当日投句も事前投句に切り替えられたためか、出席者は二百人弱。静かな大会でした。熊本からは「高千穂」で池島元子さんが「高千穂は寝台列車夢運ぶ」で準特選、一人気を吐いてくれました。大会賞は以下の通りです。(孤遊報)

 

文部科学大臣賞

 少しずつ忘れて朝食がうまい    宮崎  中武   弓

 

国民文化祭実行委員会会長賞

 もう誰も憶えていない花吹雪    大阪  赤松 ますみ

 

宮崎県知事賞

 お砂場に太陽がある森がある    栃木  萩原  鹿声

 

第35回国民文化祭宮崎県実行委員会

第20回全国障碍者芸術・文化祭実行委員会会長賞

 趣味の掌にいのちの欠片遊ばせる  岩手  小田  治朗

 

宮崎県教育委員会教育長賞

 還暦の少年が飼うカブトムシ    岐阜  喜多村 正儀

 

宮崎市長賞

 高千穂の霊気がくれた立ち直り   宮崎  藤井  英坊

 

第35回国民文化祭

第20回全国障碍者芸術・文化祭宮崎市実行委員会会長賞

 人間の煮凝りでした神でした    青森  岩崎  雪洲

 

宮崎市教育委員会教育長賞

 牛舎からぴかぴか光るイヤリング  鳥取  川上  澄子

 

一般社団法人日本川柳協会理事長賞

 伝説を裏返したら愛がある     愛知  佐藤  陶猿

 

宮崎県現代川柳協会会長賞

 伝統の神楽を親子継いで舞う    大分  佐々木 憲道

右が文部科学大臣賞の中武 弓さん
 
やはり会場はソーシャルディスタンスで少なめだったようです。これも歴史の記憶としておきましょう。
お世話をされた宮崎のみなさまお疲れ様でした。
今年はもう1回11月に和歌山県有田市で国文祭があります。7/31投句締め切りをお忘れなく。 (Y)

第67回熊日川柳大会開催決まる

2021-07-10 08:21:25 | 句会・大会

2021年10月31日(日) 熊日本社においての開催が決まりました。要項や投句用紙はできてからUPします。

課題と選者はつぎのとおりです。事前投句方式で9月30日締切となります。

 

一般の部

 「  予  約  」  井芹陶次郎・道田 佳香 選

 「  洗  う  」  落合 洋人・松村 華菜 選

 「ぐんぐん」      徳丸 浩二・阪本ちえこ 選

 「 細やか 」     森永可恵子・平田 朝子 選

ジュニアの部

 「   足   」    宮本 とも 選

 「(自由題)」   田中 賢治 選

 ヒメヒオウギ(写真提供:あじさい)