熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

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読みました。

2021-01-28 21:15:08 | 川柳一般

『川柳人が楽しむ エモい 漱石俳句』を読んで

  先般、川柳も俳句も嗜まれるいわさき楊子さんの本が刊行されました。夏目漱石を俳人として、また「人間漱石」として身近に感じられる作者ならではの本です。漱石先生を愛してやまない尊敬の念と、日頃の作句においての作者独自の世界観が文章の随所に見られます。軽妙なタッチの文脈に引き込まれ、一気に読み上げました。 

 哲学的思考とも言われる漱石文学の中から、川柳的な俳句に目を向けられたのは発見ではないでしょうか。時に漱石小説に見られる笑いを誘うユーモアもファンとして魅力のひとつだからです。

 川柳や俳句の基本的な「ミニ知識」挿入の欄も見のがせません。

 漱石の俳句に対し、楊子さんが詠まれた句を紹介します。

行 春 や 紅 さ め し 衣 の 裏

          玄 関 で こ っ そ り ぬ ぐ う 春 の 泥    Y

朝 貌 や 惚 れ た 女 も 二 三 日

          夕 貌 の ど れ も わ た し を 見 て い な い    Y

か ん て ら や 師 走 の 宿 に 寐 付 か れ ず

          温 泉 を つ な ぐ と で き る 日 本 地 図    Y

菜 の 花 の 隣 も あ り て 竹 の 垣

           ど こ に 住 ん で も 回 覧 板 に は さ ま れ る    Y

君 が 名 や 硯 に 書 い て は 洗 ひ 消 す

           空 に し か 書 け な い 文 字 が あ る 好 き だ !    Y

行 く 春 や 知 ら ざ る ひ ま に 頬 の 髭

                                      鯰 髭 さ わ る 最 終 局 面 へ    Y

  「菜の花の」の句を詠まれた漱石六番目の北千反畑の家は、当時句座が開かれたという忍法寺の門前を横切り、私が小学校へ通った道筋に建っています。文中や写真で紹介されている熊本での漱石ゆかりの地や句碑、旧居を訪れ、文豪漱石に想いを馳せるのも意義のある、楽しいことではないでしょうか。

    過去に熊本県民文芸賞一席2回、熊日俳句大会天賞受賞という実績のあるベテランならではの著書です。ぜひ一度手に取って読まれることをお勧めします。

   本著が第42回熊日出版文化賞の候補作に決まりました(1月28日付熊日朝刊に掲載)。本選考会議は2月24日だそうですが、受賞されることを心から願っております。        北村あじさい                                                           

『川柳人が楽しむ エモい 漱石俳句』 いわさき楊子    飯塚書店 2020.12.9発行

        

   ※ 書店やネットで購入できます。


1月からの投稿募集

2021-01-14 22:55:44 | 句会・大会

リアル川柳大会開催はむずかしい状況ですが、今のところ開催が予定されている大会と誌上大会をご紹介します。投覇してみませんか。詳しくは主催へ問い合せ、またはwebで検索願います。

                       

◆第9回卑弥呼の里誌上川柳大会       

 【主催】卑弥呼の里川柳会 【締切】2021年1月15日(消印有効)

川柳ふんえん誌850号記念誌上川柳大会

 【主催】川柳噴煙吟社 【締切】2021年1月20日(消印有効)

番傘フェスタ2021誌上大会          

 【主催】番傘川柳本社 【締切】2021年1月29日(必着)

第4回 水の都まつえ誌上川柳大会           

 【主催】松江川柳会 【締切】2021年1月31日(消印有効)

第12回「ふるさと川柳」 題「天」 

   【主催】川柳『湖』(うみ) 【締切】2021年1月31日(消印有効)

第17回川柳「信濃川」新春誌上大会 題「あう」

   【主催】川柳『信濃川』【締切】2021年1月31日(消印有効)

第23回全日本川柳誌上大会(令和柳多留)

   【主催】全日本川柳協会 【締切】2021年2月2日(消印有効)

第1回大宰府天満宮 春の川柳まつり

    第9回福岡県川柳大会

     (大会開催か誌上大会になるかどうかは未定)大会日は令和3年3月20日

 【主催・主管】大宰府天満宮・福岡県川柳協会 【欠席投句締切】令和3年3月10日締め切り

第35回国民文化祭・みやざき2020「太陽と緑あふれる神話の源流 みやざき 川柳の祭典」 大会日は令和3年7月11日

主催】全日本川柳協会 【事前投句応募締切】令和3年3月31日

第69回蟹の目誌上大会

   【主催】 蟹の目川柳社 【締切】2021年4月20日(消印有効)

第36回すずむし全国誌上川柳大会

   【主催】川柳すずむし吟社 【締切】2021年4月30日(消印有効)

 

以上はわかっている分だけです。

 


牛を詠む

2021-01-10 21:30:48 | 川柳一般

今年は丑年。牛の句を川柳データバンクの中から拾ってみました。(Y)

       

言い訳は言わぬ牛歩の坂を越え  間瀬田紋章

牛の抵抗はしずかにくそをたれ  尾藤三柳

飛騨牛にこだわるうちのフライパン  山本光輪

非常口を出たら 牛が待っている  青田煙眉

セシウムの草も巻き込む牛の舌  次井義奏

コトコト煮込む牛スジの正義感  筒井祥文

うつ向いて並とつぶやく牛丼屋  真鍋心平太

牛丼の玉ねぎに似た夫です  猫田千恵子

牛肉を食べるしかない捕鯨基地  津田 暹

よだれとはかくありたしと牛がいる  大野風柳

草千里牛にも春の舌ざわり  吉岡龍城

天下り牛の涎が止まらない  佐藤美文

川柳データバンク 川柳作品検索サービスより引用 https://senryudb.com/search.php