熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

第1回薩摩川内こころの文芸大会

2022-10-27 00:00:01 | 句会・大会

 NPO法人薩摩川内市文化協会文化祭  第1回 薩摩川内こころの文芸大会

  主催:薩摩川内こころの文芸大会事務局   とき:2022年10月25日(火)   ところ:SSプラザせんだい 多目的ホール

             

新幹線の川内駅東口の一角にある真新しいホールで開催された。2015年に国民文化祭かごしまが開催されてから続いてきた「薩摩川内こころの川柳大会(この数年は誌上大会)」がリニューアルされて画期的な大会となった。〈川柳〉〈短歌〉〈俳句〉〈さつま狂句〉の4ジャンルを一枚の応募用紙で投稿するというもの。会場でも4ジャンルの投稿者100人ほどが一堂に会するという大胆な大会となった。最後の特選1作品が選者の文芸ジャンルとちがう応募者の作品もいくつかあり、発表の場も盛り上がった。披講されるすべての作品はパワーポイントで1作品ずつ大写しになり、声からも文字からも内容に引き込まれた。

応募数は川柳248、短歌206、俳句198、さつま狂句135作品。題は「友」「雑詠」各1作品を4つのジャンルに応募できた。

県関係入賞の一部

川柳

「友」  馬場ナオミ 選  友の名が出てこないままお開きに    若松 節子

「自由題」麻井 文博 選  きらきらとあなたが生きているビデオ  松村 華菜

短歌

「友」鶴田 直樹 選

薬にも毒にもならぬ友がいいそう詠む友がひとりいておかし      阪本ちえこ

一晩を泊めてと言って二三日過ぎて友から恋人になり         落合 洋人

生涯の友だと思う痩せた背へ別れがたくて送る五百歩         松村 華菜 (佳作③)

「自由題」本屋 敏郎 選

西郷どんも龍馬お龍訪れし里の出湯に蜩を聞く            若松 節子

自販機に急かされて押すコーヒーは濃さも甘さも中を択びぬ      西村 楊子

臼庭に小さき窓を開けて待つ初音の主の稚けなきふし         下野 落椿

俳句

友」丸山 眞 選

友と泣き子と泣き知覧晩夏光       若松 節子

星月夜友の訃報を友に告ぐ        西村 楊子(佳1)

「自由題」鈴木 守 選

背丈より伸びてピーマン青青し      阪本ちえこ

降り立てば薩摩の群像秋の雲       若松 節子(佳2)

さつま狂句

「友」福冨 河童 選 戦場で銃を向け合ちょっ昨日の友     下野 落椿(客四席)

       (いっさばで じゅをむけおちょっ きにゅんどし )

  

   ・・・・・・・・・・・・・・・以上県関係の一部

【特選・各選者1作品】 

川柳

「友」  馬場ナオミ 特選   聞きつけて友が一本提げてくる      大良 定雄(薩摩川内市)

「自由題」麻井 文博 特選          砲弾に地球の五臓えぐられる          小園 逸郎(千葉県)

 短歌     

「友」   鶴田 直樹 特選 

傷癒えてリハビリ小屋に鶴の舞ふ友ら飛来の予感なるべし      大重 淳一(鹿児島市)

自由題」本屋 敏郎       特選   

遠泳の声援遠く聞こえ来て母待つ岸が波のまにまに       今井 誠(鹿児島市)                                                                        

俳句 

「友」  丸山 眞 特選   流星やノートに宿る知友の詩          川野 順子(薩摩川内市)

「自由題」鈴木 守 特選   戦没の児等の慰霊碑虫すだく          永里 厚子(鹿児島市)

 さつま狂句       

「友」 福冨 河童 特選   玄関(フンゴン)に朝露(アサチ)が光(ヒカ)っ友達(ドシ)の野菜(ヤセ)  永谷 勝(霧島市)

「自由題」金井 一馬 特選        九面(くめん)太鼓(でこ)コロナ退治(たいじ)ん暴れ打(う)っ      藤﨑 秋太(鹿児島市)

 

特別賞 】 

こころの文芸大賞  下野 落椿   (熊本市)全ジャンル8作品提出 7点入選 うち佳作1作品             

準こころの文芸大賞 いわさき楊子(熊本市)狂句以外6作品提出 6点入選 うち佳作1作品

こころの文芸賞     若松 節子   (熊本市)狂句以外6作品提出 5点入選 うち佳作1作品  

こころの文芸賞     太田ちかよし(宮崎市)狂句以外6作品提出 5点入選     

      2022.10.25の右のブログもご参照ください。紅雀川柳ブログ (exblog.jp)       

                               (レポート いわさき楊子)               


川柳「湖」第十五号・二〇二二年十月

2022-10-21 08:28:50 | 川柳一般

  川柳「 湖 」 ふるさと川柳15回大会報告 

     

       課題「乱」

投句者464名、579口、1158句の投句がありました。

選者は12人(伊藤寿子、渡辺松風、加藤ゆみ子、岡本 聡、興津幸代、米山明日歌、中山恵子、吉崎柳歩、赤松ますみ、石橋芳山、梅崎流青、浅利猪一郎)による共選。清記選。

  熊本から11名参加。県内関係者の入選句の一部は次のとおりです。

乱切りのナスに激論しみ込ます   中山 和

世の乱れ問うようにくる逆走車   森永 可恵子

字の乱れ母のローソク消えかかる  中原 たかお

団塊がそろそろそろそろそろそろ  阪本 ちえこ

大根を乱切りにする裏の顔     宮本 とも

時空超え太鼓は人を狂わせる    上田 美知子

  上位句は次のとおり。

最優秀句  積乱雲だったね二人若かった    北海道 高橋みのる

優秀句一席 観覧無料 戦争を見ていきなさい  愛知県 柴田比呂志

優秀句二席 生きている乱のかたちを変えながら 石川県 岡本聡

優秀句三席 一線を超えた葦ではいられない   秋田県 鈴木祐里

 

1年に2回の大会です。「海」の会員である私は句とエッセーを発表しています。入選句はそれぞれ個性的な句が選ばれるようです。私が出した「団塊がそろそろそろそろそろそろ」の句は以前〈十日メール川柳句会(本研究協議会主催)に投句した句です。誌上大会に出すのは2回目。ということは1回目は没でした。そのときの題は「そろそろ」でした。

今回の湖の題は「乱」。乱を入れずにそのまま出して、2人の選者に入選しました。大会の傾向と選者で違うものだなと再認識。毎月の〈十日メール川柳句会〉は勉強の場と位置づけているので、真新しい感じの句をとなるべく意識したいところです。

この湖のふるさと川柳はどちらかというと、見慣れた着想ではなく手垢のついてないような新鮮な句が好まれるようです。今回投句されてない方は是非とも次回の投句を。

          第16回「ふるさと」川柳募集案内

    題 「縁」  浅利猪一郎 他11人の共選・複数口応募可・清記選

    締切  2023年1月31日 消印有効  一口2句1,000円

    投句用紙はちえこまでどうぞ。                  (レポート 阪本ちえこ)


「壺」30号発行される

2022-10-08 08:03:41 | 川柳一般

「壺」30号(2022.10.10)が発行されました。  熊本番傘お茶の間川柳会   

                 

◇巻頭言   代表 黒川  孤遊 

  日本の文字文化と川柳人の覚悟

川柳は日本独特の短詩文芸の一つであり、表意、表音文字を使い意とすることを表現している。表意・表音という日本独特の文字を守り、育てることは川柳人の責務だろう。AI社会にあって、これまでと違った表意方法が出てくるだろうが、日本の文字文化が化石にならぬよう努めたいものだ。 

◇壺の詩   黒川孤遊 選

四捨五入生きるためだとまた捨てる    坂本 一光

笑いなさい心が恋をするように      上田 美知子

うんうんと医者パソコンに逆らわず    村岡 義博

身から出た錆だと影も知っている     小川  清隆

野生化し草に戻ったシクラメン      杉野 羅天

◇私の川柳創世記     宮崎へちま座 藤井 英坊

◇てくてく前号29号鑑賞        栗山 芳彦

◇各月句会        7月、8月(休会)、9月

◇流花 女性川柳家伝   川柳界の純文学者 飯尾麻佐子    黒川孤遊

◇私の好きな川柳     川柳塔の杉野羅天さん(熊本)が、森中惠美子さんら著名な女性作家の知られていない句を紹介している。

◇川柳の教科書      岸本水府の「選者心得・作者心得」より

◇エッセイ        私の書棚から① 川柳、法律、司馬遷など大家族   古閑萬風

※ 句集『親父の独り言』奥村 田子作(私家版)発行  ~妻と長女から父の日に 

◇お茶の間の団欒     私とウクライナ  落合  洋人 「第九の怒涛」写真添付

             月に想う     潮﨑 紀美代

             川柳との出会い  山上 テルヨ

                                                (レポート:草間呱呱)

*購読の申し込みは黒川孤遊(kuromieta@yahoo.co.jp)まで。