熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

会員エッセイ

2022-01-31 09:51:49 | 会員エッセイ

       🌹 優しい日本人が集まると

パトカーの直後を走行中に横断歩道に差掛かった。たまたま歩道には老婦人が立っていたが、私には横断の意志はない素振りに見えた。

パトカーも同様に捉えた走りだったが、対向車がパトカーを見て反応し横断歩道の直前で停車したため、模範となるべきパトカーも停止し、全ての後続車が停止し婦人の横断を全面支援する態勢が整った。 が、婦人は立ち尽し三すくみ状態が発生した。

たまたま立っていた場所が、横断歩道の近くだった老婦人は、一斉に停まる車の異様さに自分の取るべき行動を忖度し、弱った脚で横断を始めた。

渡り終えると、優しい車は一斉に動きはじめたが、50mばかり動いた後パトカーが右折のため停車したため、対向車がパトカーに道を譲までの間、私以降の車も再度停止した。その時、私はバックミラーで見てしまったのだ。

先ほど横断歩道を渡ったばかりの老婦人が、横断歩道の前に立ち、元の場所に戻るために、キョロキョロと左右の車の有無を確認している姿を・・。

人も車も必要なら、とんでもなく優しくなれる。この忖度の精神が、時々は過度に発揮されて失敗もする。およそ優しい日本人のする忖度の発露の現場に、奇しくも居合わせ、思わずごくりと唾を飲むはめになってしまったのだ。

人は星相手のために光あう・・・・しろ猫

  byしろ猫


変化あり

2022-01-25 11:05:22 | 川柳一般

熊本日日新聞の「読者文芸欄 川柳」の選者が森中惠美子さんから木本朱夏さんへ変わるようです。写真は今日(2022.1.25)の熊日新聞から。

新しい春には新しい発想が浮びそうです。奮ってご投句ください。

※ 木本朱夏さん近詠から紹介します。

原点は焼け跡でしたアッ蛍 (第32回 国民文化祭・なら2017奈良県教育委員会教育長賞)

 

川柳塔 2020年12月本社誌上句会秀句から

コロナ終息ドアを開けば新世界

ちちよははよ雲の階段降りて来よ

バラ百本もらう私の絶頂期

ときめいた最初があってまだ夫婦

ふり出しに戻って縄を綯っている

 

川柳塔 2021年5月本社誌上句会秀句から

さらさらと茶漬けで済ます旅帰り

ミジンコで生まれなかったのが奇跡

一枚の紙に斬られた過去がある

スタンバイしている三色ボールペン

 

川柳塔 2021年11月本社誌上句会秀句から

バイオリズム乱れたままに夏が逝く

アスパラの青は少女の日の匂い

 

第九回 春の川柳塔まつり誌上大会特選句

春の絵で飾るおひとりさまの壁


川柳人小史 

2022-01-20 13:41:28 | 川柳一般

川柳人小史(昭和中期~昭和40年代まで)

一般に川柳の六大家(ろくたいか)と言われている作家がいます。おもに昭和中期、30~40年代に活躍した6人の川柳人をさします。数字は生年と没年。「 」内は主に活動した柳社。

その6人のなかのひとりの川上三太郎は伝統と詩性をあわせもつ川柳を詠みました。熊日新聞の読者文芸欄選者をつとめていました。

写真は川上三太郎の川柳と単語抄』(新葉館ブックス)表紙

川上三太郎(かわかみ・さんたろう)東京 1891(明治24)年ー1968(昭和43)年 「川柳研究」

泣き寝入り二三度動く咽喉仏

雨ぞ降る渋谷新宿孤独あり

生きてゐるやうに踏まれる栗のイガ

前田雀郎(まえだ・じゃくろう)埼玉 1897(明治30)年ー1960(昭和35)年 「みやこ」「せんりう」

音もなく花火のあがるよその町

腕組めばわが影法師も腕を組む

村田周魚(むらた・しゅうぎょ)東京 1889(明治22)年ー1967(昭和42年) 「川柳きやり」

掌に運があるとは面白し

二合では多いと二合飲んで寝る

岸本水府(きしもと・すいふ)三重-大阪 1892(明治25)年ー1965(昭和40)年 「番傘」

人間の真中辺に帯を締め

壁がさみしいから逆立ちをする男

椙元紋太(すぎもと・もんた)神戸 1890(明治23)年ー1970(昭和45)年 「ふあうすと」

電熱器にこっと笑うようにつき

知ってるかあははと手品やめにする

麻生路郎(あそう・じろう)広島-大阪 1888(明治21)年ー1965(昭和40)年 「川柳雑誌」

太平洋へ向って僕は馬鹿でした

俺に似よ俺に似るなと子を思い

【参考資料】

・『新・川柳への招待』楠本憲吉・山村 祐 共著 日貿良書15 昭和55年発行

・『はじめまして現代川柳』小池正博編著 書肆侃侃房 2020年発行

・川柳本アーカイブ ・ウキペディア ・コトバンク 

                                           (Y)


2月の大会のご案内

2022-01-14 08:57:32 | 句会・大会

1/14にUPしました下記の大会は来年に延期となりました。ご注意くださいませ。

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◆第49回 南日本女流川柳大会 のご案内

 

もちろん女性のみの参加に限ります。男性の方はお近くの女性におすすめください。無事開催されることを祈るばかりです。欠席投句はありません。下のブログにも紹介されています。

第49回 南日本女流川柳大会のご案内(案) : 紅雀川柳ブログ (exblog.jp)

九州にはもう一つ女流大会「卑弥呼の里女流川柳大会」があります。毎年夏に催されていましたが昨年は中止でした。今年は実施されるといいですね。


「壺」27号発行

2022-01-08 00:00:01 | 川柳一般

あけましておめでとうございます

熊本番傘お茶の間川柳会は「壺」27号(2022.1.10)を発行。今年もご愛読よろしくお願いします。

       

壺の詩から5句

八十路来て楷書のままで死ぬつもり  慶之介

金婚ペディキュアは赤紅も赤     繁 美

散骨にプランクトンが手を合わす   勝 則

車椅子乗ればプライド通せんぼ     福

衣食足るふと足元を確かめる     千恵子

 

流花 女性川柳家伝 黒川孤遊が「日本の底辺」に生き日常の苦難を詠んだ笹本英子紹介しています。島根の寒村に嫁ぎ、病人と子供ばかりの大家族を支えた壮絶な生涯に心が打たれます。

  豊年と騒いでみても五反五畝

  病む人へ稲の穂尺を持ち帰り

  過去みんな忘れて花の数をよむ

 

私の好きな川柳 は「不倫という恋の形」のタイトルで林ふじをの句を昨年亡くなった瀬戸内寂聴の恋愛観と対比させながら草間呱呱が読み解いています。

  ひとりだけかばってくれて好きになり

  身を引けばみじめになってくるばかり

  ベッドの絶叫夜のブランコに乗る

 

熊本の川柳 歴史散歩② 嶋本慶之介 

熊本の川柳界の発展に尽力した大嶋濤明の人間性、業績が語られています。

吟社の壁を越えて読んでいただきたいと思います。                            編集人 陶次郎

                       (ご購読の申し込みは陶次郎または孤遊まで)