コロナ禍の中の開催で、ゆとりある座席が用意されていました。全員マスクというのも記録になったのではないでしょうか。この景色が今年だけになることを望みます。
コロナ禍の中の開催で、ゆとりある座席が用意されていました。全員マスクというのも記録になったのではないでしょうか。この景色が今年だけになることを望みます。
第66回熊日川柳大会(主催:熊本日日新聞社)が10月25日(日)午後1時から熊本日日新聞社 本館2階ホール(熊本市中央区世安町)で行われました。例年と違いすべて事前投句方式で催されました。投句者は173名で、ここ10年で最も多い投句者となりました。なお当日参加者は約50名でした。4つの課題の8選者の披講は例年通りに行われました。詳しくは11月2日に熊日朝刊に掲載されます。得点の総合一位は原萬理さんでした。下記は萬理さんの句の中の1句。大会代表句と大会優秀句も各選者の選んだ天地人の中から次のとおり選ばれました。おめでとうございます。
総合一位者
歩かねば老いが足から這い上がる 原 萬理
大会代表句
リーダーの資質雑音まで拾う 道田佳香
大会優秀句
水引いて頬に流れるひとしずく 貞島みずえ
暗合句や類句をうっかり詠んでしまうことは誰にでもあることです。人間の思っていることにはそう違いはないものですから。公募などの投句前に似た句がないか検索してみるのも一つの方法でしょう。ここに2つの検索方法をご紹介します。ただし一部の川柳だということはご理解ください。
①このブログの下の方のブックマークのなかに〈川柳データバンク〉があります。2019年12月25日に川柳データバンクβ版がスタートしました。「川柳マガジン」新葉館出版の協力のもと随時句が加えられています。公募の題や選者もわかります。同出版社が発行している「川柳ベストコレクション」シリーズは載っている人といない人があります。
本研究協議会会員の句も多数ヒットします。自分の名前を検索してみたらいかがでしょう。当ブログ筆者も気づいていなかった自句が2句(毎月募集されている懸賞川柳2020の下位句は新葉館ホームページで発表されない)UPされていました。発表句になりますから要注意です。
②〈おかじょうき川柳社 オフィシャルサイト〉の中にも検索できるバナーがあります。これはこの川柳社関係に投句されて発表された句だけのようです。
※歴史上の大家の句や句集、古川柳などは個人がUPしているホームページやブログ上で様々な形式で見ることができます。
※俳句関係では現代俳句協会「現代俳句データべース」があります。
2つの川柳投句のお知らせです。大きいところが主催するカラーのちらしはインパクト大ですね。
熊本県玉名市和水町のコンテストは投句無料。和水町の特産品が当たります。投句フォームからの投句が簡単です。
下のNHKふじみ川柳大会は有料。
どちらもweb検索で詳しい情報がえられます。
「壺」は熊本番傘お茶の間川柳会が年4回発行する柳誌です。「壺」16号から「私の川柳創世記⑪」を転載します。著者の肩書は現在の本研究協議会の前身の組織名です。なお、原稿は縦書きで、改行も原稿どおりではありません。写真も新たに挿入しました。
◆◇ 私の川柳創世記 ⑪ ◇◆
熊本県川柳協会会長 古閑 萬風
川柳とは無縁だった私が川柳を始めた動機は、年を取ってからでもできる俳句、短歌、肥後狂句のいずれかを趣味の一つにしたいと考え、NHKの趣味の講座の短歌で、数回、添削をして貰いましたが、その後、すぐに挫折してしまいました。
五十二歳の頃、職場の激務のためにストレスが溜まり、体調を崩しそうになった時、一人の川柳作家と出会い、ストレス解消のためにと思い、川柳を始めました。その人は、私の川柳の師匠であり、父のようであり、兄のようであり、時には、友人のような存在だった故人の寺本隆満さんでした。
寺本さんから、柳誌「川柳ふんえん」の購読を勧められ、半年ほど購読した後、川柳噴煙吟社に入会し、一回目の句会で、いきなり三才を頂いた記憶があります。これを機会に川柳の虜になり、殆んど欠席することなく、楽しんで句会に出席しました。そこで、多くの川柳仲間と出会いましたが、この出会いこそが、今の私の川柳の原点であり、宝になっていると言っても過言ではありません。
平成十一年四月からは、地元の近見公民館で、師匠寺本隆満さんと川柳句会「声」を立ち上げ、平成二十三年八月までに、楽しい句会が、百四十八回、十二年四か月続きました。寺本隆満さんが体調を崩されたのを機に休会し、現在は、熊本川柳会「火山灰」に引き継いで貰っています。この句会には、いつも二十名を越す当日参加者に加え、一五,六名の投句者があって、毎回、楽しい和やかな句会でした。また、交通センターホテルでの毎年の忘年会も懐かしい思い出となりました。
十年前に、私は職業奉仕を行う熊本南ロータリークラブに入会しましたが、その時の私の職業分類は、全国で初めての「川柳作家」でした。ロータリークラブは、全国に沢山のクラブがありますが、広報誌「ロータリーの友」の文芸欄に「柳壇」がありました。それに入会当時から退会するまでの七年間、毎月投句して、ほとんど入選し、熊本県内のロータリークラブの皆さんから大変喜ばれました。投句を続けたことは、私の川柳の成長に肥やしになりました。
私の川柳人生の中で、もう一つ、大きな節目がありましたが、それは、熊本県川柳協会の会長を、前会長田口麦彦さんの後任としてお引き受けしたことです。何も解らないままに会長引き受けましたが、多くの皆さんの協力により、川柳大会や川柳句集『熊本地震の記憶』(熊本県川柳協会 編)を出版して、熊本県内の川柳界のために頑張ることができました。
現在、私は、二つの教室の講師と幾つかの広報誌などの選者を務めていますが、これらを通じて、熊本県内の川柳の普及・拡大ために努力を惜しまないつもりです。
最後に、二十二年間、川柳を嗜んできましたが、川柳大会などで入選した幾つかの中から、私が気に入った句を紹介します。
課題「赤」松村 華菜 選
赤い爪痩せた男を飼っている
課題「すっきり」田口 麦彦 選
少年の宣誓空を突き抜ける
課題「あたたかい」松村 華菜 選
出直せばいいよと夕陽あたたかい
課題「湯」泉 談亭 選
ぬるま湯に慣れて海馬が老けてゆく
雑詠 赤松ますみ 選
地球儀を回す戦の音がする
著者の古閑萬風さん 2019.9.23「日奈久de川柳句会」にて