熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

会員エッセイ

2022-12-28 00:00:41 | 川柳一般

          大河ドラマに貰った知恵 📺

NHKの大河ドラマは、観ない部類に属していたのですが、不思議と「鎌倉殿の13人」は最終回まで観てしまいました。次から次と鎌倉殿の地位というより北条の地位を脅かす者は、そのおそれの段階で抹殺されていくドラマでした。

歴史書は後世の者によって編纂されていくので、鵜呑みにはできませんが、没年などは凡そ補足的資料などから推定でます。その没年や時代の状況からこのような最期であったろうと脚本家は腕を振るうことになります。その中であっけらかんと嘘をつき、裏切り寝返りを繰り返しながら生延びていく一族が描かれていたのは、ある種の爽快感さえ与えられました。

賄賂を貰わぬ正直な警官より、賄賂を貰って見なかったことにする警官の方が信用出来るという内容の小説の一文を以前読んだことがあります。人との信頼関係は正論ばかりでは成立たないようです。

ごく最近我家の鎌倉殿ならぬ女房殿が「私がブスだということに、いつ頃気が付いた?」と珍問答を吹っかけてきました。「う~ん、まだ気付いていないかも・・」と答えると、「あんたも言葉を選ぶのが上手になったねえ」と褒められてしまいました。「鎌倉殿の13人」は、鎌倉武士が如何に生き残っていくかのドラマでしたが、私も1年間観ただけの成果はあったようで、生き残りの知恵が少しは身についたようです。

後悔の歌は唄わぬ鳥を飼う・・・しろ猫

 byしろ猫


第45回 全日本川柳2022年富山大会作品集

2022-12-22 00:00:01 | 川柳一般

      第45回全日本川柳2022年富山大会作品集 から

主催:一般財団法人 全日本川柳協会

   第45回全日本川柳2022年富山大会実行委員会

延期や誌上大会への変更を経ての大会でした。5年かけて準備をしてきたという実行委員長の坂下淸さまの巻頭のあいさつにご苦労がにじんでいます。表紙の黒部ダムのたたえる水の青さと遠景の残雪が目に沁みます。(Y)

             

文部科学大臣賞

青空へひとりの自由干している   豊巻つくし(青森)

参議院議長賞

択一を迫る氷河の割れる音     阿部 美葉(兵庫)

川柳大賞

国境を侵し湾曲する平和      菱木  誠(奈良)

 

熊本からは44名が投句しました。以下一般部門佳作から県関係のみ。

「湾」長谷川酔月 選

母の待つ湾は何時でも凪いでいる   山本あかね

湾曲に言っても別れ話でしょ     松村 華菜

水俣の湾に水銀眠らせる       太田 清美

想い出の湾に変わらぬ君が居た    北村あじさい

ふるさとの湾に哀しみ捨てにゆく   いわさき楊子

漂着の湾で明日を組み立てる     道田 佳香

破れた帆繕いに寄る母の湾      徳丸 浩二

「ひとり」大嶋都嗣子 選

ひとりにも慣れて仏間が遠くなる   古閑 萬風

「立つ」高橋みっちょ 選

お喋りの隣に風が立ち止まる     矢村なお美

人前に立つとわたしは失語症     中原たかお

着地点無いおばちゃんの立ち話    野口貴代美

角の立つ話はよそう輪になろう    阪本ちえこ

人という鏡の前に立っている     村上 和巳

「アルプス」上野多惠子 選

溶けてゆく氷河の先に立つハイジ   黒川 孤遊

絶景アルプス恋愛を成就させ     恒松 繁政

小さいぞアルプスに喝入れられる   原  從通

アルプスに南北 土俵に東西     いわさき楊子

「氷河」高鶴礼子 選

背信のあれから氷河抱かされる    松村 華菜

地球史を冷凍保存する氷河      長瀬 狂介

氷河塊何を思って旅に出る      永野 修一

砲弾を氷河に包み流れ来る      太田 清美

あきらめる氷河崩れる音がする    いわさき楊子

今はもう氷河流れる間柄       阪本ちえこ

滔々と氷河地球を抱くように     緒方 正堂

「離れる」伊東志乃 選

父さんと別れていいよ子の瞳     寺中 良好

揺れながら離れ離れになるヒト科   緒方 正堂

良き友も言葉ひとつで距離をおく   徳丸 堯士

「久しい」牧野芳光 選

久しぶり有り難み知る陽の光     高本  梢

半世紀新幹線でありつづけ      村上 和巳


第28回メール川柳句会

2022-12-16 22:15:48 | 句会・大会

    十日メール川柳句会(本研究協議会主催)では2回目のZOOM句会をしました。

              

投句は16名32句でしたが、ZOOMに参加していただく方が7人と少ないのが残念です。研究の名の付く主催の会としてはときどきは今後も開催していきたいとおもっています。

題は「台所(キッチン)」。女と台所という発想はもう古いのではないか。だからこそそこからを詠まなくてはならないのではないか。意味だけで書くのではなく、韻文的なかるい取り合わせの句があったのはよかった。など積極的な意見が交わされました。参加者の句で公開の了解をえられた句を紹介します。(Y)

話したくない日があって台所            静生 9点でトップ

キッチンという名の隠れ部屋がある  楊子

まな板のリズムが合わぬ電子音        和巳

大掃除また出土する塩コショウ        莱浮

もう一人私が欲しい台所         ちえこ

食品高値女の腕の見せどころ            せつ子

消費期限SDGsに叱られる               あじさい


会員エッセイ

2022-12-04 00:00:01 | 会員エッセイ

   🌏宇宙から地球を見るということ

東西冷戦の頃、超大国は核やミサイルの開発競争から宇宙開発競争へと進み、半世紀前には月面着陸も成し遂げました。ロケットも人工衛星も月着陸も世界中の人々は驚きの目をもって空を見上げていたのです。もちろん私も胸をときめかせていた一人でした。やがて後発の国も衛星を保有するようになり、見上げていた空から、今度は雲に包まれた青い地球を見下ろすようになってきたのです。地球というものへの見方が変わった一瞬だったと思います。地球を俯瞰的に見ることで、人々も世界の指導者の意識も変わるのではと思われました。

しかし、現実を見るとその考え方は夢物語だったようです。核戦争の可能性は冷戦当時よりむしろ危機的状況にあると言えるようです。今や核の脅威はそこにあり、宇宙を舞台にした人間同士の戦いも現実のものになりつつあります。

宇宙の平和利用という言葉も、そうした人間の弱さを自覚するゆえに叫ばれたことだったのでしょうか。青く丸い地球を宇宙から眺めた人類の体験は何だったのだろうと思います。丸い有限の地球を映像として眺めながらそれでも変われない世界の指導者とは一体何なのだろう。そうした指導者に異を唱えられない人間の集団とは・・。

人間は神が造った試作品・・・しろ猫

神はまだ完成品をめざしてテスト中なのでしょうか。

                by完成品または試作品