ヒメヒオウギと四つ葉のクローバー
ひらりひらひらひらがなでちるさくら 新家完司 (川柳データバンクから)
こちらでは短かい”さくらどき”でした。
写真は今年の4/3の熊本県美里町の緑川ダムあたりの桜の木の下の様子です。
前日の雨で花筵(はなむしろ)がさざ波のようです。(Y)
さくら満開きのうを嘘にしてしまう 宮本美致代 (句集 新町四丁目 宮本美致代 から)
ピアノにはない音で散るさくらさくら 〃
なにごともなかったことにするさくら 〃
朝刊のコラムを読んでいて、ちょっと引っかかる文章に遭遇しました。
「・・・SLも頑張ったけど、整備に当った技術者の熱意があってのロングランだったに違いない。」という文中の「頑張ったけど」と「れ」抜きの文章になっていたことです。以前「ら」抜きの「食べれない」や「食べれる」等の言葉が話題になった時期がありました。最近はすっかり市民権を得た言葉となって若者から年配の人まで使用しまくりの感があります。
最近の投句の中では、十七音にまとめるために「ら」抜きはもちろん、「れ」抜きから果ては「い」抜きも目立つようになりました。
「持っている」→「持ってる」「している」→「してる」のたぐいです。誤用であったり不適切な短縮語であったりしても、日常生活の中で自然に溶け込み、誰もが軽易に使うようになれば、やがて辞書にも用法の一つとして認められ掲載されて市民権を得た言葉として、誰はばかることなく使用できる時がくるのです。ただ抜くと不自然になる例もあるようで、「抜けられない」を五音にして「抜けれない」などとし、音数を合わせたりした句は、上五の取っかかりとしても下五の座りとしても落着きがないように思えます。無理な音数合せの短縮より、字余りを自然に読ませる技のほうに軍配をあげたくなるのですが、いかかでしょう。
原理主義心の幅を狭くする・・・しろ猫
食べれないけどもやっぱり瘦せれない Y
( ゚Д゚) まず次の句をお読みください。
「年金」
年金の話などして春休
年金の使ひ果たして冬ごもり
年金受くこともなくて二三日
約束の年金受けたメロン切る
夏痩せて年金利子を思いけり
「嘘」
唐辛子真赤な嘘を聞いてをり
十二月八日というは嘘ばかり
いろいろの嘘いろいろの秋の暮
寒紅をひきしばらくは嘘を言ふ
男にも嘘がありさう原爆忌
毛糸編む妻にときどき嘘を言う
以上の句はサイトのAI一茶くん(えいあい いっさくん)に「年金」「嘘」と検索したら出てきた俳句のほんの一部です。
AI一茶くんとは、北海道大学大学院調和系工学研究室が開発した自動で俳句を生成するサイトです。一つのお題につき数千以上の俳句を作成できるとあります。ちょっと前に実際にAI一茶くんと俳人が対戦して話題にもなりました。
将棋や碁の世界もAIを取り入れた試みがなされています。なんと短詩文芸だけでなく小説も書けるらしい。
少し入力検索方法は違いますが、川柳でも〈川柳自動作成〉というサイトを見つけました。川柳のカンタンな作り方を紹介しているサイトです。「公募川柳入選の目指していきます。」とあります。もう脅威としかおもえません。
大量のデジタルソースさえあればなにごとも可能になる時代がきました。
さて今日、あなたの心に響いた句はほんとうに人間がつくった句なのでしょうか?
(いわさき楊子)
熊本番傘お茶の間川柳会 創立10周年記念川柳大会
令和6年(2024年)3月17日、県民交流会パレアにて上記の大会が開催されました。参加者113名、欠席投句48名という大勢のかたからの投句がありました。九州はもとより関西方面から11名の参加があり、代表の黒川孤遊さんの交流の広さで県や九州を越えた大会となりました。つぎのそれぞれの課題に秀1、佳句2、作者吟1、平抜き46が披講されました。
事前投句「未完成」黒川孤遊 謝選
課 題「 十 」真島久美子 選
「 岸 」坂本一行 選
「 火 」間瀬田紋章 選
「創る」梅崎流青 選
「結ぶ」古谷龍太郎 選
「刻む」森中惠美子 選
場所を移した懇親会会場・ホテルメルパルクでは70人ほどの参加があり、盛会となりました。
『流花ー女性川柳家伝』著者 黒川孤遊 2024年4月10日発行 飯塚書店 も会場で販売されました。
(レポート いわさき楊子)