熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

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第44回全日本川柳2020年 秋田大会作品集

2020-11-29 17:47:33 | 句会・大会

誌上大会となった秋田大会の作品集です。三賞と県関係のみ掲載します。

一般部門

【文部科学大臣賞】

歌いたくなるさこんなに青いんだ  秋田 荒川一滴

【参議院議長賞】

しゃぼん玉の中を独走したくなる  青森 千島鉄男

【川柳大賞】

ふるさとは僕の漬け物石である  青森 岩崎雪洲

 

以下全部佳句

「田」山形県 山口 まもる 選

カメラには棚田の汗は映らない  中原たかお

田植する昭和の腰は痛かった  中田 博

インバウンド棚田が招く日本の美  馬場秀敏

「重い」鳥取県 新家完司 選

故郷は遠く重たく墓じまい  松村華菜

方舟に乗せたい人が大すぎる  矢村なお美

重たいなバーベルよりも日章旗  伊萩柳市

いしぶみに刻んだ人の名が重い  緒方正堂

災害のたびに翼が折れていく  阪本ちえこ

馬鹿だなとつぶやいている重い酒  黒川孤遊

「拓く」東京都 安藤波瑠 選

法人化明日の農業拓く村  村上耕一

火星にも開拓団の近未来  山本あかね

忖度で出世の道を切り拓く  福田遊心

深海を拓け資源は無限大  伊萩柳市

「あふれる」奈良県 大楠紀子 選

アドレナリン溢れるばかりカーチェイス  徳丸浩二

生き甲斐は両手あふれる好奇心  北村あじさい

ペン先があふれる色を文字にする  阪本ちえこ

ラガーマンあふれる闘志ワンチーム  徳丸堯士

掛け声のあふれる浜の地引き網  福田遊心

情報の海にさ迷う羅針盤  杉村かずみち

人が好き人を愛して人を詠む  村上哲子

「歌う」秋田県 大石一粋 選

風に立つライオン平和歌うのだ  落合洋人

コロナ禍の世界を歌は救えるか  津下 良

御詠歌は届きましたかお母ちゃん  道田佳香

「好奇心」兵庫県 矢沢和女 選

ステイホーム動画で試す新レシピ  塔ノ上 成

好奇心まで奪いとる新コロナ  中田美保子

好奇心のタクトで埋まるカレンダー  古閑萬風

「発見」東京都 いしがみ 鉄 選

満天の星にもあった嘘一つ  黒川孤遊

銭で解く方程式もありました  寺中良好

父親に無いもの持っている息子  辻 弘喜

城壁の下に城壁眠ってた  徳丸浩二

問題は門外漢が見つけ出す  村上和巳

遠花火違う二人を見てしまう  安永理石

 


晩秋の肥後熊本

2020-11-25 19:50:50 | 川柳一般

いつもブログをご覧いただいてありがとうございます。

ハードな内容の更新記事が続きましたのでほっとする晩秋をどうぞ

1 熊本県庁プロムナードの黄落

  肥後五十四万石にちなんで銀杏54本が植えられています。


2 熊本市営 桃尾墓園の山茶花


3 Aさん自宅の千両

   今年は実の色づくのが早いらしい。


4 熊本駅前の森都心プラザ2Fの肥後菊展

          江戸中期、大名・細川重賢により栽培を推奨されました。細い花弁が特徴的で美しい。


憂国忌

2020-11-20 10:57:13 | 川柳一般
三島由紀夫が亡くなったのは11月25日。今年で50年となります。テレビニュースで報じられた映像はまだ昨日のようによみがえります。
その三島由紀夫について熊本で最も詳しいのが本川柳研究協議会参与の永田満徳氏です。満徳氏は俳人協会熊本県支部長でもありながら川柳にも深く関わる活動をしています。

三島由紀夫は『豊饒の海』全四巻を書き終えたあと市ヶ谷で割腹事件を起こしました。
その全四巻中の第二巻『奔馬』は熊本の神風連が核となっています。
永田満徳ブログのカテゴリー:総合文化誌「KUMAMOTO」にある「はじめての三島由紀夫と神風連」2017.12.15にもUPされています。
https://blog.goo.ne.jp/mitunori_n/e/cc1c4d203efc8d1c17f0a80b9676807f

2020.11.20の熊日新聞朝刊12面にも三島由紀夫が熊本で取材した様子が詳しく載っています。市ヶ谷での事件の後、桜山神社境内(熊本市東区黒髪5丁目)に神風連資料館が創設されました。 

三島由紀夫は俗を嫌い老を怖れました。歌舞伎より能を佳としました。俳句や、まして川柳などは縁のない分野だったでしょう。すべての人間を詠む川柳としてはむしろ興味のあるところです。
俗人の筆者は、今年版権の切れる50年を迎える三島由紀夫の作品がwebの無料配信〈青空文庫〉で読めることを待ち望んでいます。
興味のあるかたは〈永田満徳ブログ〉のコメント欄にお書き願います。    (Y)

写真は満徳氏提供
追伸と訂正
著作権は50年から70年に伸びたようです。

国語便覧のすゝめ

2020-11-15 07:59:32 | 川柳一般

 手許にある「国語便覧」は、20年以上前の発行。川柳ほか、ものを書く時に重宝しています。B5サイズ。

 カラー刷りの写真、図表など豊富で、古典、近代、外国文学、漢詩・漢文、文法、文字解説・用法。日本の四季、植物、年中行事ほか、古事記や萬葉集・和歌などから近代詩、短歌・俳句・川柳に及びます。 

 210ページをこえるのに廉価。一度手にしたらもう手離せません。一読の価値ありだと思います。(K)

 

  

 

 芥川賞作家の又吉直樹氏も「国語便覧」が大好きで、「国語便覧は内容の濃さと比べて値段が安過ぎる物の日本代表」と語ったのだとか。

 学校の教材だから安いのでしょうが、反面、一般書店では手に入りにくいという不便さはあります。

 各出版社によって、一般販売をしていないところ、出版社から例外的に直接購入できるところ(出版社のホームページより問い合わせ)、アマゾンで購入できるとこなど対応は様々のようです。(R)

 

   

 あくまで一例ですが、上の画像は、『国語便覧』熊本県版  浜島書店

 2015.12/14 309ページ 690円  

 

 

 


川柳のアンソロジーについて

2020-11-09 09:07:07 | 川柳一般

個人が川柳句集にして残していくことも尊いことですが、川柳文芸として体系的なものを形にして後世に伝えていくにはアンソロジー(選集)の存在がなくてはなりません。下記にいくつかあげていますが、取り組んでこられた編者の多大なご尽力には敬服するばかりです。古川柳では『誹風柳多留』『誹諧武玉川』などがあり、明治からの歴史的川柳家のものも篤志によりかなりまとめられています。それらとともにいま現代の川柳アンソロジーが必要なのです。(ここでは定義があいまいな〈現代川柳〉ではなく、より広い意味の〈現代の川柳〉という表現にしました)

そうしなければいま私たちが詠んでいる川柳は文芸のなかのジャンルに存在しえないでしょう。興行的傾向のある一般的な川柳大会は川柳の始まりに鑑みれば肯定されるものです。しかしそれだけではなく、もう一つの柱として体系としての保存収集が大切だと感じています。表現されたものは研究されたり論じられたりして存在が確かなものになります。そして研究には広く収集されたものの塊が土台として欠かせません。間口の広い川柳を、流行の言葉で言えば総合的俯瞰的に編集されたアンソロジーは100年後も川柳の歴史として残っていくことでしょう。一番下に紹介したものは編者の主張がはっきりとした編集で、これからの川柳のゆくえにも焦点をあてたものになっています。冊数はこれくらいしか把握していませんが、まだあるかもしれません。(文責 いわさき楊子) 

『現代川柳の精鋭たち28人集』 編集協力・樋口由紀子 大井恒行 北宋社 2000年発行 (2800句)

『現代川柳必携』 田口麦彦 編 三省堂 2001年発行 (約7000句)

『現代女流川柳鑑賞事典』 田口麦彦 編 三省堂 2006年発行 (約2500句)

『現代川柳のバイブル』 黒川孤遊 編著 飯塚書店 2014年発行 (1000句)

『新現代川柳必携』 田口麦彦 編 三省堂 2014年発行 (約5000句)

『金曜日の川柳』 樋口由紀子 編著 左右社 2020年発行 (333句)

『はじめまして現代川柳』 小池正博 編著 書肆侃侃房 2020年発行 (2660句)

本研究協議会ブログについてのご意見をお待ち申し上げます。コメント欄にどうぞ。

追加

『大人になるまでに読みたい15歳の短歌・俳句・川柳』 (ゆまに書房)全3巻