熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

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自由律川柳と十四字

2022-09-27 08:14:22 | 川柳一般

九州ではあまり触れることの少ない短律の川柳を紹介します。次のオレンジ字部分は『はじめまして現代川柳』小池正博 (二〇二〇年十月十七日発行 書肆侃侃坊)からそのまま引用しています。

自由律川柳と十四字(じゅうよじ)

 自由律川柳についてはあまり知られていないので、少しだけ紹介しておこう。作品としての自由律は明治期から試みられていたが、振興川柳期になって活発化した。本書では川上日車の作品などに見られる。「手」(大阪)「川柳ビル」(京都)「視野」(兵庫)などの川柳誌が発行された。自由律には短律と長律があり、その一部は短詩に解消されていった。

疲れた遮断機の前に立たされている  宮田甫三

捨てられた畳のあきぞら       宮田豊次

 十四字は自由律ではなく七七形式の定型律である。『俳諧武玉川』に秀句が多いので「無玉川柳」とも呼ばれている。近代・現代に入ってからも愛好者は多い。

クラス会にもいつか席順      清水美江

うるさいなあとせせらぎのやど  下村梵

無理して逢えば何事も無し      江川和美

監視カメラはオフにしていた     かわたやつで

ドミノ倒しへ誰が裏切る          佐藤美文

                                   (※俳諧無玉川の俳は正しくは言偏)

次のような書籍も発行されています。下の解説は本を紹介するwebから。

(社)全日本川柳協会内の「十四字詩小委員会」委員長を務める佐藤美文氏が、主宰する川柳雑誌「風」の仲間十八名に呼びかけて、それぞれ五十句ずつ十四字詩作品を掲載したアンソロジーの第2弾。各作家に佐藤氏、久保田元紀氏、津田暹氏が十八名の作品評を執筆し、十四字詩鑑賞の手がかりにも役立つ。《花のうしろの闇を見ている 齊藤由紀子》《負けた馬にも花びらが降る 佐藤美文》他。

編著者: 川柳雑誌「風」発行所 

発行元:新葉館  2002.12発行

A5判・ソフトカバー・230頁

 

個人の十四字詩句集

十四字詩句集 時の置き文(森吉留里惠) : 新葉館出版 | ソニーの電子書籍ストア -Reader Store

 

句会情報

十四字詩句会 – 新葉館出版


第16回北九州文学協会文学賞 作品募集のお知らせ

2022-09-21 00:00:01 | 川柳一般

   第16回 北九州文学協会文学賞 作品募集のお知らせ 

           小説、エッセー、詩、短歌、俳句、川柳の6部門で募集。

        締め切り 2022年9月30日(消印有効)  

                           

主      催  :  一般社団法人北九州文学協会(後藤みな子理事長)                  

協      賛  :  北九州文学館

応募方法 :  川柳は3句1組で応募料自由詠で1枚の紙に3句を列記。何組でも応募可。〒住所、氏名、年齢、TELを明記。

 投稿料   :  一組1,000(定額小為替)を同封。

   賞     :  特選2万円 秀逸1万円 佳作1000円図書カード ほかに特別賞

選考委員:古谷龍太郎 時津みつこ 青木ゆたかの3氏。

川柳投稿先  :  〒801-0882北九州市門司区清見2-3-3 高橋久仁子 宛。

         ※受賞作品は作品集「ひびき」に掲載。応募者全員に配布。


第34回句碑祭り水俣川柳大会

2022-09-15 14:51:57 | 句会・大会

 第34回 句碑祭り水俣川柳大会 が開催

 海を臨む会場から

 歓迎のダンス

 秋晴れの9月11日、水俣市の観光施設「福田農場」バレンシア館にて熊本県・鹿児島県の47名の柳友が参加して開催された。水俣市の水天山公園には、80基の川柳句碑があり、また湯の児温泉のホテルには、川柳噴煙吟社の初代会長大嶋濤明の句碑がある。

 「太陽を満ん中にして皆んな生き 濤明」

 この大会は、句碑建立を機会に始められ、両県の川柳家の交流の場でもあったが、主催者水俣川柳会の初代会長が亡くなってから途絶えていた。12年ぶりの開催となった。

 午前中は、大嶋濤明「太陽を満ん中にして皆んな生き」と水天山公園の80基の句碑を巡るツアーが組まれており、参加者はそれぞれの思いで句碑に見入っていた。公園の一番高いところからは、海が望める。

 パエリア料理の昼食後に大会がスタートし、6人の選者が披講。感嘆の声や笑い声も出て、順調に進んだ。各題の天賞に表彰状が渡された。会場はレストランであり、気楽な雰囲気の、楽しい大会だった。最後に天草を望む不知火海をバックに参加者の記念撮影があり、散会した。

 コロナ禍に、感染拡大予防対策をしながら開催した水俣川柳会(入木田一寸坊会長から、新しく引き継いだ東宗飲会長)に感謝しつつ、また従来より川柳噴煙吟社も主催者になっていて、若干の応援をしたので、心に残る大会となった。

   

川柳噴煙吟社    徳丸浩二 (写真提供:北村あじさい 徳丸浩二)

 

 ※関連マスコミ情報2件 クリックすると見ることができます。

丘の上に建つ謎の句碑80基 水俣と川柳をつなぐ縁と思い | 毎日新聞

(4) 川柳を刻んた石碑見て作者の思い感じる 【熊本】 (22/09/11 18:00) - YouTube


川柳 信濃川 2022年9月号から

2022-09-14 17:07:05 | 川柳一般

   川柳 信濃川 「はく」発表号(2022年9月号)から (新潟県長岡市)

毎年ユニークな題で2句のみの募集があります。共選12名というのもおもしろい企画です。得点により順位が決められます(代表の相田柳峰氏の選は得点外)。713名の参加がありました。

 

一位 告白は朱夏ひまわりの真ん中で  山之内さち枝

二位 ひと眠りするには丁度良い余白  川上 大輪

三位 地下足袋を履くと聞える土の歌  田辺与志魚

四位 立ち向かう気迫に山が動きだす  細田 陽炎

 

熊本県関係(一部を掲載します)

五 客

戦争を見た舶来のお人形    上田美知子 【やまぐち珠美選・西村寛子選・吉道あかね選】

独り旅細かい砂を吐くために  いわさき楊子 【佐瀬貴子選】

〈佳 作〉

チャレンジに気迫みなぎる朝の息   北村あじさい

人は皆少し背伸びの下駄を履く    村上 耕一

白菜漬け亡母のレシピで漬けている  阪本ちえこ

性悪な陽炎だった白昼夢       前田 秋代

搏動を見つめ続けるガラス越し    下野 落椿

嘘をつき外泊をする独り立ち     太田 清美

拍動の音はママへのメッセージ      山本あかね

恥ずかしい一人拍手のフライング   村上 和巳

出演の医師は白衣に権威着る     徳丸 浩二

弱音吐いてもいいじゃない明日がある 森永可恵子

年齢に脅迫される誕生日       矢村なお美

福の神迎えるために庭を掃く     中原たかお

今さらと思うが美白パックする    道田 佳香


秋の七草

2022-09-07 17:16:18 | 川柳一般

春の七草は有名ですが、秋の七草を紹介します。

秋の七草とは、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ下記の2首の歌にちなんでいます。

秋の野に 咲たる花を 指折り かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 (万葉集)

萩の花 尾花葛花 瞿麦(なでしこ)の花 姫部志(をみなえし) また藤袴 朝顔の花(万葉集)

歌の中にある「朝顔の花」については、朝顔・昼顔・ムクゲ・桔梗など諸説ありますが桔梗が有力とされています。

女郎花(オミナエシ)   尾花(ススキ)

  桔梗(キキョウ)   撫子(ナデシコ) 

 藤袴(フジバカマ)   葛花(クズ)  

    萩(ハギ)

                                          写真提供:村上和巳 いわさき楊子  

                                          参考web:秋の七草とは?|秋の七草の由来や種類、覚え方 | LOVEGREEN(ラブグリーン)

ファスナーの悲鳴は秋の季語ですか  丸山 進

季語ひとつすったもんだがありました  山倉 洋子

しばらくはあなたの季語を考える  大友 逸星

季語二万拾える祖国持ちながら  田口 麦彦

             (三省堂 新現代川柳必携 田口麦彦[編]から)