九州ではあまり触れることの少ない短律の川柳を紹介します。次のオレンジ字部分は『はじめまして現代川柳』小池正博 (二〇二〇年十月十七日発行 書肆侃侃坊)からそのまま引用しています。
自由律川柳と十四字(じゅうよじ)
自由律川柳についてはあまり知られていないので、少しだけ紹介しておこう。作品としての自由律は明治期から試みられていたが、振興川柳期になって活発化した。本書では川上日車の作品などに見られる。「手」(大阪)「川柳ビル」(京都)「視野」(兵庫)などの川柳誌が発行された。自由律には短律と長律があり、その一部は短詩に解消されていった。
疲れた遮断機の前に立たされている 宮田甫三
捨てられた畳のあきぞら 宮田豊次
十四字は自由律ではなく七七形式の定型律である。『俳諧武玉川』に秀句が多いので「無玉川柳」とも呼ばれている。近代・現代に入ってからも愛好者は多い。
クラス会にもいつか席順 清水美江
うるさいなあとせせらぎのやど 下村梵
無理して逢えば何事も無し 江川和美
監視カメラはオフにしていた かわたやつで
ドミノ倒しへ誰が裏切る 佐藤美文
(※俳諧無玉川の俳は正しくは言偏)
次のような書籍も発行されています。下の解説は本を紹介するwebから。
①
(社)全日本川柳協会内の「十四字詩小委員会」委員長を務める佐藤美文氏が、主宰する川柳雑誌「風」の仲間十八名に呼びかけて、それぞれ五十句ずつ十四字詩作品を掲載したアンソロジーの第2弾。各作家に佐藤氏、久保田元紀氏、津田暹氏が十八名の作品評を執筆し、十四字詩鑑賞の手がかりにも役立つ。《花のうしろの闇を見ている 齊藤由紀子》《負けた馬にも花びらが降る 佐藤美文》他。
編著者: 川柳雑誌「風」発行所
発行元:新葉館 2002.12発行
A5判・ソフトカバー・230頁
②個人の十四字詩句集
十四字詩句集 時の置き文(森吉留里惠) : 新葉館出版 | ソニーの電子書籍ストア -Reader Store
③句会情報