熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

会員エッセイ

2022-05-28 07:38:02 | 川柳一般

        どなたでしたっけ

先日のこと、江津湖畔の遊歩道を歩いていたら、突然走って来た自転車が私の横で急停止。 

「やあ、久しぶり」

と大声でマスクを外しながらのご挨拶。私としては、相手の顔を見ても判然とせぬまま

「やあ」

と曖昧に誤魔化しつつ記憶データと顔認証システムをフル回転。相手はそんな私に頓着せず、システムの出力を待つ時間も与えず

「以前、何度かこの付近を歩いている君を見かけたが、似てるなと思ったけど声を掛けられなかった、やっぱり君だったねえ」

と、嬉しそうな大声は更にテンションアップ。 更に

「元気だったかい?どこも悪いところは無いんだろう?」

と追討ちを掛けられる。

「はい、まあまあ歳相応に元気ですよ」

と、相手の喋りの隙間に答えを挟むのがやっとでした。

相手は、私の心の揺らぎを知ってか知らずか、一方的に話した挙句

「じゃあ」

と元気に手を挙げ、自転車で去っていきました。 しかし、最後まで私の顔認証システムでの検索は出来ないままでした。 昔の思い出話でも出てくれば、その内容から関係性が掴めると注意力を集中しても、今の生活を語るばかりで、とうとう私も

「じゃあ」

と手を挙げて別れるまで、何者かは不明のままでした。

さてさて、「ところで、あなたはどなたでしたっけ?」と、何故あの場面で質問できなかったのか、ただ今自己分析をしている始末なのです。

どうにでも取れる言葉で危機管理・・・しろ猫 

 byしろ猫


第2回 熊本県川柳研究協議会川柳大会開催なる

2022-05-23 21:05:31 | 会員エッセイ

さる5月22日、くまもと県民交流館パレア(鶴屋東館9階)にて本研究協議会(黒川孤遊会長)主催の大会を開催しました。一昨年の2月開催の第1回大会が直前に誌上大会に移行せざるを得ない状況となったあと、久しぶりのリアルな大会開催となりました。九州各地、大阪、和歌山などから選者さんを含めて93人が集い楽しみました。

熊本出身の八代亜紀さんの歌をバックに、熊本県の川柳の歴史や活動状況の映像が5分程度流れた後、徳丸浩二の司会で会長の黒川孤遊の挨拶から始まりました。

  

  落合さん差し入れの天草枇杷

■初めに川柳「塔」副理事長・木本朱夏さんに「私の川柳」の題で講演をいただきました。朱夏さんは幼いころから本に触れ、詩作、童話、日記など書くことが大好きな少女でした。高校生の時は国語の先生との出会いが大きく、短歌も深く学ばれました。その後も詩や小説を書くなど、常に文学と寄り添いながら歩まれています。40歳代に新聞やミニコミ誌に俳句や川柳投句を始めて、川柳「塔」の指導者との出合いが川柳の道に入るきっかけだったそうです。講演の後半は選者のお一人である森中惠美子さんの句集『水たまり』から数句を挙げて鑑賞されました。

■披講 (上位句のみお知らせします)

「パレード」 北村あじさい(熊本)選

準特選2 パレードの最後尾には兵馬俑 真島久美子

準特選1 武者行列お触れ太鼓にある矜持 杉野 羅天

特  選 張り詰めて期待昂るファンファーレ 田中 賢治

「そこそこ」 古谷龍太郎 (福岡)選

準特選2 そこそこの罪は持ってる背の丸さ 間瀬田紋章

準特選1 阿と吽の呼吸仲良くやってます 木本 朱夏

特  選 腹八分あたりで今日を舞い終える 小川 清隆

「抜  く」 小代千代子 (大分)選

準特選2 修飾語抜きで吉報跳んでくる 平田 朝子

準特選1 栓を抜く私はいつも終い風呂 髙尾 乙女

特  選 核心に触れたページが抜いてある 間瀬田紋章

「究 め る」 間瀬田 紋章 (宮崎)選

準特選2 透明人間の車が町走る 森永可恵子

準特選1 哲学を究め尻尾をかじる蛇 古閑 萬風

特  選 つきつめてみれば孤独な葦である 木本 朱夏

「自 由 題」  森中惠美子 (大阪)選

準特選2 人生とは人生とはと寝ています 矢村なお美

準特選1 薬にも毒にもならぬ友がいい いわさき楊子

特  選 色をなくしたウクライナのひまわり 井芹陶次郎

「 緑 」(字結び)出席者全員1句提出。全句発表誌に掲載。

 

3月19日から開催されていた花とみどりの祭典「第38回全国都市緑化フェア(くまもと花博)」もこの日に閉幕しました。

心よりお礼申し上げます。 一同


響(とよ)むまち・豊見城(とみぐすく) 川柳の祭典 

2022-05-21 21:45:37 | 句会・大会

美ら島(ちゅらしま)おきなわ文化祭2022

第37回国民文化祭 第22回全国障害者芸術・文化祭 が開催されます。

10月30日(日)豊見城市立中央公民館  大ホール

事前投句応募期間 令和5月1日(日)~8月1日(月)

本研究協議会の徳丸浩二選があります。JTB沖縄内からツアー申込もできるようです。

 

 


第45回 全日本川柳2022年 富山大会 誌上大会へ移行

2022-05-09 08:38:01 | 句会・大会

来たる6/12に予定されていた富山大会は誌上大会に移行しました。

2022年7月15日(金)当日消印有効締切です。

 

上記とは別件ですが『令和柳多留』第3集 通巻24号が発行されました。

令和四年四月一日発行     発行所 一般社団法人 全日本川柳協会

熊本県からは42人が投句しています。各選者による選は秀句3句、佳句10句、入選200句が掲載されています。ほかに全投句者自選句1句と日川協加盟柳社推薦句各3句が掲載されています。

「データ」三上博史 選

佳句 データから地球の青が褪せていく  北村あじさい

以下は入選句の一部。題と選者は略させていただきます。

上弦のジャンボオムレツ空に盛る  山本あかね

イエローカード財布の中に持ち歩く 中田ひろし

偏差値ではわかりません子の未来  吉岡静生

データから喜怒哀楽が見えますか  上田美知子

国境の地図は持たない渡り鳥  寺中良好

冷徹なデータ涙を切り捨てる  前田秋代

気象データから初鳴きが消えている  徳丸浩二

データ改ざん大本営の甦り  太田玉流川

取り巻きが去って自分が見えてくる  矢村なお美

カタツムリ賞罰なんか気にしない  緒方正堂

クレヨン画に二本の角が生えたママ  村上哲子

青筋がくっきりここは一歩退く  古閑萬風

国連が口も出せずに旗を巻く  村上和巳

その先に掛ける夫の絶頂期  平田朝子

そろそろ来るかなポツンと一軒家  中原たかお

裏切った期待は屋根に干しておく  いわさき楊子

期待してください今日からのわたし  阪本ちえこ