熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

会員しろ猫エッセイ

2023-02-28 00:00:01 | 川柳一般

             😓   感     言       

違和感をおぼえる言葉が、最近多い気がします。例えれば切りがありませんが、「赤ちゃんポスト」もその一つです。熊本市の慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」のことですが、テレビも新聞も「こうのとりのゆりかご、いわゆる赤ちゃんポスト…」と、必ず註釈を入れます。所謂と入れた註釈の方にむしろ違和感を覚えます。慈恵病院はポストは誤解を招く不適切な言葉として修正を求めていますが、まったくひるむ様子はありません。

最近では、物流の向こうを張って「人流」、蔓延防止法を「まんぼう」、コミュニケーション能力の「コミュ力」など何でも略して表現を簡単に済まそうと、珍短縮語が横行していると思います。

ごく最近、ウッ?と首を捻る言葉に遭遇しました。それは「ガクチカ」という言葉です。「デパ地下」も当初は意表をつかれましたが、もうすっかり市民権を得たようです。この「ガクチカ」は、就職時の面接などで「貴方が学生時代に力を入れていた事は?」という質問項目を短縮したものらしいのです。

ガクチカの質問に堪え得る答弁のために、何等かの活動をせねばと模索する学生も多いそうで、珍短縮語と笑ってばかりはいられないようです。

もっとも、デイケアとか通所リハとか若者が首を捻る短縮語もありますが・・。 

ほろ苦い記憶もいつか甘くなる・・・しろ猫

 byしろ猫

ナウい レスカ 脳トレ コミュセン は高齢者ならOK

ソツアル メンブレ スパダリ おつ フロリダ り   ・・・ネットから拾いました。(Y)      

 


他県の柳誌から

2023-02-17 00:00:41 | 川柳一般

  川柳「つばさ」第176号(2023年2月)から

                       編集発行 入来わくわく番傘川柳会(鹿児島県薩摩川内市)

                   

ドロにとられ這い上がるコツ模索中   大園やす子

初孫に初めてもらうお年玉       河田すみれ

豆球を点けてひとり寝至福どき     クリスティーヌ貴美子

新春のタスキ母校を自慢する      小園 逸郎

ハイと言い頭下げればすむものを    しも 小巻

やさしいねひらがな語るいばあちゃん  下村 天空

欲捨てず物も捨てずに歳をとる     下村 天星

元日に諭吉の子分飛んで行く      鈴木 一朗

添え書きで余白なくなる年賀状     園田野歩子

見たいものあって眼鏡を替えました   だいら さだお

捨て切れぬ昔の服がよく似合う     田口いさ子

願いごと仏だのみと神だのみ      種田 雅遊

淋しいといわねばならぬ未亡人     堂下モクレン

カラコロと枯れ葉も歩くおい速い    島澤 祐輔

ご来光いつも家から見えてます     中畝地 光心

気づかいを感じさせない見舞い品    永田りりこ

三社参り一社で済ます省エネで     西岡 南風

コケコッコー訳も解らず処分され    野元まこも

ふわり浮く長い助走もいいじゃない   春田あけみ

執念がその一秒を削り出す       東 弦一郎

わかってる着ないけれども譲れない   平川とよ子

あれ、これ、それ、記憶の蓋が開かない 平田まりん

捕まってワタシの口に入る鯵      外園ピアノ

間にあった植えて八年柿実る      本田 道太郎

薄めればチューハイだって倍飲める   真永城 千矢子

離れても切れない縁の宝物       前田 洋子

年齢を嘘つく人は若返る        間瀬田 紋章

ヘルパーの味に醤油を匙二杯      松本 清天

プーチンよ君にも愛する子はいるか   村永チトセ

欠点も込みで将来性を買う       渡邉 浪漫

アップルパイ私への拍手ではない    青柳かえる

お雑煮に命をつなぐ老い二人      安達ヒトミ

後期高齢これも終活年賀状       有村あゆむ

鏡餅まるまる まるで雪だるま     石神 紅雀

初詣小さき神社も同じ神        石原 夢修

言の葉が飛んで誰かの眼に留まる    伊藤のびた

人は人我が道を行く米寿坂       入木田一寸坊

                               (抄出 いわさき楊子)


超シルバー川柳のご紹介

2023-02-11 00:00:41 | 川柳一般

            90歳以上のご長寿傑作選

       超シルバー川柳 笑顔がいっぱい編

          二〇二二年九月三〇日 河出書房新社

 

 

ソックスが立って穿けたは昭和まで 96歳

間に合せの造花供えるご仏前  100歳

ボリボリと音たて食べる嬉しさよ  95歳

風呂上りいっときだけの若返り  97歳

今はもう歩けるだけで感謝です  95歳

骨と皮まだ頑張るぞスジが有る  96歳

遺言書大事にしすぎ行方不明  92歳

婆遺し電化製品先に逝く  90歳

スニーカーちょっと可愛い老い二人  92歳

白内障手術で顔のしわふえる  93歳

母の味今は息子の味で生き  95歳

車から見る花見だが服えらぶ  94歳

子や孫の猫撫声には要注意  93歳

家族増え「家族葬」でもにぎやかだー  90歳

 

※名前もちゃんとありますがここでは省きました。

2023年1月に第20弾が出ているようです。20弾とはすごい。60歳以上なら出してみませんか。

ペンネームはダメというところは真面目な川柳本です。

川柳の間口は広いなあとあらためておもいました。わたしも書きそうな句がありました。    (Y)


「湧水」30号から

2023-02-05 00:00:01 | 川柳一般

「壺」(熊本番傘お茶の間川柳会発行)に4回(24号~27号)にわたって嶋本慶之介さんが執筆した「熊本の川柳 歴史散歩」が、内容を凝縮のうえ、「湧水」(ゆうすい)第30号(くまもと文学・歴史館友の会 令和4年12月発行=発行年1回)に掲載された。

 

「壺」に掲載したときにあった写真は省かれているが、四章からなり、6ページ半にわたっている

その一

熊本川柳のスターター田中辰二(鳴風)。熊日の前身・九州日日新聞に川柳壇を開設、熊本に川柳の種を蒔いた旧制五高教授・田中辰二から、川柳噴煙吟社を設立することにつながる吉岡五竹、龍城、茂緒の三兄弟について。そして昭和25年の大嶋濤明を迎えての噴煙吟社設立から今日に至るまでをまとめている。

その二

戦後、熊本の川柳会の統合、発展に務めた大嶋濤明について。

その三

大嶋濤明の後、川柳噴煙吟社を率いた吉岡龍城と、脇を固めた川柳仲間たちについて。

その四

新しい動きをはじめた柿山陽一が創設した「川柳真風吟社」や、川柳に関する本(アンソロジーなど)の出版を続けた田口麦彦、熊本番傘お茶の間川柳会の誕生などの最近の動きをまとめている。

 

熊本県の川柳史が豊富な資料と取材によって活写されており、貴重な資料となっている。

「くまもと散文月評」古江研也令和5年1月30日熊本日日新聞)でも「文学・歴史館と友の会の来し方を次世代へ語り継ぐための記録といえる」と評している。

「湧水」はくまもと文学・歴史館〉(中央区出水、県立図書館横、電話096-384-5000)で入手可能。1.000円

                                       (レポート 黒川孤遊)