熊本県川柳研究協議会(熊本川柳研)

県内の川柳団体・個人会員が加入しています

会員しろ猫エッセイ

2023-11-30 00:00:01 | 川柳一般

           送り手と受け手の言葉 

最近、気にするほどのことではないにもかかわらず、やはり気になるフレーズに出合うことがしばしばあります。その一つに「癒し」という言葉の使い方があります。本来は、病気や傷をなおす、飢えや心の悩みなどを解消する、といった文脈の中で使われるのが一般的でした。ところが最近は、癒やし空間、癒やしを体感、癒やしを感じる、そしてとうとう「癒やされてみませんか?」まで登場するようになってしまいました。癒やされるは、あくまで自分の心身の状態に対する個人の主観であるはずなのに、何故癒やされてみませんかと勧められるのか不思議でなりません。

これと似たような言葉使い方に「四度泣けます」という新刊書などのキャッチコピーをよく見かけます。4章あるいは4つの短編から成っていて、四回はあなたの涙を絞ってみせますというのでしょうか。それこそ泣こうが泣くまいが個人の感性が尊重されるべきで余計なお世話もいいところです。

こうして、情報を与える側の論理ばかりがまかり通って、受け手の主体性が軽んじられた状態は枚挙にいとまがありません。

そうかと思えば、素晴らしい成果を上げたことに関してどう思うか?との質問に「これが生き甲斐じゃないかなと思っています」などと、応える場面も散見します。送り手の厚かましさと受け手の当事者意識の希薄な言葉使いが際立つ昨今です。

 戦争を勃発という無責任・・・しろ猫

          

 ゲル状の猫ふところに国防論  Y


川柳つばさから

2023-11-12 00:00:01 | 川柳一般

                          「川柳つばさ」2023年11月 第185号

     編集発行:入来わくわく番傘川柳会   事務局:鹿児島県薩摩川内市入来町 石神紅雀 

                

○会員の句から

マンネリにならないように拗ねてみる  だいら さだお

ごみ箱が四日分の食語る  永田 りりこ

マイナンバー得か損かがわからない  西岡 南風

次の世はしっかり磨く心と歯  本田 道太郎

転んだら何も掴むな甘えるな  間瀬田 紋章

世相切るペン一本の一行詩  村永 チトセ

そうだよね一度お腹で考える  石神 紅雀

このワタシ図太い骨を残します  大園 やす子

息切れと弾切れを待つ和平案  小園 逸郎

二人三脚加齢も愛も蝶結び  しも 小巻

AIの喋るニュースに大欠伸  下村 天星

過去は過去上書き保存忘れよう  園田 野歩子

○第12回 入来温泉川柳大会から

小学生・中学生・高校生の部大賞(順に)

ぼくはもう女ぶろからそつぎょうだ  日高 朝陽

宿題のことも忘れて温泉へ   下川原 幸

温泉の温度はいつもお母さん  田口 りく

一般の部上位から抄出

かみさまもおしのびで来る入来の湯  栃原 寿子(大賞)

九分九厘美人になれる入来の湯  藤本ゆたか

うたせ湯に神経痛の大欠伸  楠根はるえ

美肌の湯シーラカンスが茹で上がる  青木 薫

温もると答がすべて割り切れる  渥美 さと子 

県内関係

AIのお勧めの湯はこちらです  津下 良

武器を置けみんな裸で野戦風呂  下野 落椿 

                          (紹介 いわさき楊子)


第69回熊日川柳大会開催される

2023-11-06 00:00:01 | 川柳一般

          第69回熊日川柳大会開催されました。

          令和5年11月5日 熊本日日新聞社 本館2階ホールにて

       

大会には欠席投句者をいれて122人からの投句がありました。

今回の題は「エール」「眩しい」「とんとん」「カード」「残」「やっと」、当日に出された出席者題は「つなぐ」。

ジュニアの部「水」と自由題の表彰もありました。 

各題の入選句は20日付の読者文芸面に掲載されます。総合一位、大会代表句、大会優秀句は次のとおりです。

 

総合一位 引きこもり連れ出す友の応援歌 など 川口 健次郎

      image 健次郎さんの写真は熊日のネットの記事から

大会代表句  平和とはこうも眩しい空がある  井芹 陶次郎   

         

大会優秀句  ドナーカードぼくの部品が生き延びる  中原 たかお 

          


会員しろ猫エッセイ

2023-11-01 00:00:01 | 川柳一般

               ○○○ 幸せの輪 ○○○     

かなり以前のテレビの中で、「みんなで広げよう幸せの輪」と唱えながら出演者が一斉に頭上で腕の輪をつくる番組がありました。番組の内容は忘れたものの、あの一斉に唱えながら頭上で輪をつくる動作はおぼえています。さて、この幸せの輪を同調圧力だなどと話を展開するつもりは全くありません。

個人的にあれもこれもと輪を広げて、挙げ句どっと疲れるというわが家のみで通用する言葉の一つに「幸せの輪」があります。

例えば、郵便物を取りに庭に出たついでに草花に水遣りをしていて雑草に気づき、引き抜きながら見上げたバラの枝の徒長が気になって剪定まで手を出し、とうとうツツジや槙の新芽まで剪定してしまうのです。

除草や剪定の枝葉などは、庭の隅に穴を掘って埋込み堆肥にしています。穴はほぼ1年くらいで満杯になるので、直ぐ横に別の穴を掘りながら、その土で埋めもどすのです。これを3年ごとに繰り返すと初めの穴は堆肥になっているというあんばいです。

庭の水遣りから穴掘りまで進むまでの間は、郵便物は門柱の上あたりで忘れ去られた状態になるのです。穴掘りの状態まで飛躍するのは年に1回程度ですが、もののついでは日常のことで、当初の目的を忘れ去ることもしばしばです。

妻「えらく時間がかかったねえ」

夫「幸せの輪が広がり過ぎてね」

妻「やっぱり」

という会話が成立するほど、我が家では幸せの輪は重宝する言葉になっているのです。

幸せの輪はお疲れと同じ意味・・・しろ猫  

            村上和巳さん撮影

朝昼晩いっしょに食べるいい夫婦  Y

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※本川柳研究協議会ブログが300回を越えました。みなさまご覧いただいてありがとうございます。(ブログ担当 いわさき楊子)


彼岸

2023-09-21 00:00:41 | 川柳一般

           写真は和巳さんから

春分・秋分の日を中日として、その前後7日間をいう。河の向う岸。生死の海を渡って到達する終局・理想・悟りの世界。涅槃。

ちなみに俳句では「彼岸」は春の季語。秋は「秋彼岸」として詠む。「彼岸花」は秋の季語    (電子辞書の広辞苑、俳句大歳時記調べ)

川柳データバンクから

どんな罪犯してきたか彼岸花  福村今日志

霊柩車きて整列の彼岸花  清水照一

見果てない夢の死角に彼岸花  橋本裕子

悲しい赤ですね 土手の彼岸花  相馬まゆみ

赤すぎる自分を嫌う彼岸花  吉野成子

向こう岸妻が手を振る彼岸花  府中三三男

現代俳句データベースから

つまずくに丁度いい石彼岸花  奥山和子

彼岸花ぽきぽき折って亡夫恋  五島瑛巳