ある年の正月。
沼津に住んでいた兄。
仙台に住んでいた私。
休みを合わせて
帰省した兄弟は
杯を交わし
互いの元気を喜んだ。
その帰り道。
兄は私に、
今後どうするのか
を聞いてきた。
会社員を続けるのか。
やめて家業を手伝うのか。
親からは会うたびに
早く戻れと促され
自分にも望郷の念はある。
でもいま
会社の仕事は面白く
やりたいことはまだ多い。
そもそも私は三男坊。
心は揺れた。
兄の問いに返事が
出来ずにいると彼は続けた。
オレは電気だから
家業には合わない。
健三は食品だから
家業の仕事に通ずる。
親を安心させてやれ。
初めて兄弟で
互いの進路を語った
プラタナスの枯葉舞う
「真冬の帰り道」。
その翌月、兄は
病魔に倒れたのだった。
いまもその時の
兄の言葉が胸に残る。kyokukenzo
沼津に住んでいた兄。
仙台に住んでいた私。
休みを合わせて
帰省した兄弟は
杯を交わし
互いの元気を喜んだ。
その帰り道。
兄は私に、
今後どうするのか
を聞いてきた。
会社員を続けるのか。
やめて家業を手伝うのか。
親からは会うたびに
早く戻れと促され
自分にも望郷の念はある。
でもいま
会社の仕事は面白く
やりたいことはまだ多い。
そもそも私は三男坊。
心は揺れた。
兄の問いに返事が
出来ずにいると彼は続けた。
オレは電気だから
家業には合わない。
健三は食品だから
家業の仕事に通ずる。
親を安心させてやれ。
初めて兄弟で
互いの進路を語った
プラタナスの枯葉舞う
「真冬の帰り道」。
その翌月、兄は
病魔に倒れたのだった。
いまもその時の
兄の言葉が胸に残る。kyokukenzo