*** 社会勉強のため米国で有名な2つのテレビ番組の公開録画の収録風景を見学してきた。(人気公開番組なので1~2ヶ月以上前からの予約が必要。)
(1)"Rita Rocks"
《=リタ・ロックス / ドラマの女主人公のニックネーム》 ノース・ハリウッド(North Hollywood) のCBSテレビスタジオ (CBS-Radford Studio) で制作されているコメディ番組。
日本の公開テレビ番組は沢山見ているので同じような雰囲気かなあと思って行ってみた。驚いたのは、スタジオの中は制作スタッフ中心ではなく、aud (=audience / 観客)なのだ。
当日の制作オフの俳優がオーディエンスの世話をする。収録寸前までスタジオ内はこの「世話係」のマイク音とコントロール室・サウンド担当の音楽でかなりやかましい。この100人余りがザワザワわしている中で制作スタッフ(俳優10名を含む約35名)が演技の打ち合わせ、カメラワークなどなどを話合っている。普通だったら演技に集中出来ないだろうが、そこはプロ。どんなにやかましくしてもスタッフは誰も全く怒らないし嫌な顔もしない。監督の「用意!アクション!」でスタジオ内は瞬時に静かになってドラマの収録が始まる。「カット!」の終了と共に又、もとのやかましさに戻る。これを夕方の4時30分から夜の10時すぎの6時間近く繰り返しされると「劇中劇」を観ている感じに陥る。その間、aud 担当の係り7~8人がトイレへの誘導、スナックの差し入れを手際よく行う。一般人・視聴者を大事にするこの姿勢には頭が下がる。
この長~い時間を飽きさせずにするこの俳優のすごいこと。番組PR用に作ったロゴ入りのTシャツを50~60枚、サイン入りの写真や台本10冊余りを観客の飛び入り演技を絡めて上手に配布してゆく。次から次へと止まることがないジョーク。素晴らしいのひとこと。
リタ役に扮しているのがニューヨーク出身の女優ニコール・サリバン(Nicole Sullivan)で、彼女と夫、2人の娘(9才と反抗期のティーン)の一家を中心としたコメディ。何せ30分番組なので台詞のテンポが速く、30秒ごとに観客の笑いをとるように台本が書かれている。これもすごいのひとこと。「短い会話」のなかでよくもウイットに富んだジョークが出てくるものだ。全米で人気のあるのがうなずける。
(2)"Jeopardy!"
《=ジェパディ / 「危険」という意味》 カルバーシティ (Culver City) のソニーピクチャーズ・スタジオ (Sony Pictures Studios) で制作されているクイズ番組。
間違って行ったソニーピクチャーズの東正門から中に入ろうとすると、守衛に西正門から入るように言われた。「OK」と簡単に納得してえらい目にあった。このスタジオは日本のソニーが1990年に買収した元米映画メジャーのMGM (Metro-Goldwyn-Mayer) で10数メートルもあるかなり高い白壁に囲まれている。東から西門まで永延とこの壁が続いていて京都の御所の周りの道を歩いていることを思い出した... 歩けど歩けど壁のみ。どれだけこのスタジオが大きいか調べてみたら、45エーカー(約55,000坪)、あの広大な御所のざっと5分の1もある。番組の司会者によると巨大スタジオ30棟がフル稼働しているとのこと。ここのソニーは経済不況知らずの感有り。
朝の11時から昼過ぎの2時まで、30分番組の3本撮り。日本の朝日放送(ABCテレビ)制作の『パネルクイズ・アタック25』に似ているが、パネルが「オセロ」ではなく200~1000ドルのキャシュパネルになっていてその裏に隠されている問題の早押しクイズ(5秒間)形式。3人の視聴者参加型番組で、毎回金額を一番多く獲得した参加者が次回も連続して出場出来る勝ち抜き戦。今までの最高が50数回連続で獲得賞金が cume (=cumulative 累積)2億数千万円と言っていた。番組自体は大変シンプルなのだが、問題の出題にかなり神経を使っていて15人の専属スクリプターがいるという。収録スタジオ前部に陣取った問題出題者、弁護士、プロデューサーなどが14~15台のコンピューターを駆使し瞬時の内にあいまいな回答に対して結論を出す。
この番組が視聴率を視野に入れた、かなり緻密に計算されて作られているのが分かった。参加者3人の出身地のテレビ局用に個々のインタビューを含めて、その人物を中心とした編集に変えてビデオを全米に出荷している。だから厳密に言うと、全国用、各参加者地域用の4種類のビデオを同時制作していることになる。
また、映画ファンにとってたまらないのは、このスタジオはあのハリウッド不朽の名作・ミュージカル映画『オズの魔法使い(The Wizard of Oz)』(1939年女優ジュディ・ガーランド Judy Garland が歌った「虹の彼方に(Over the Rainbow)」は未だに世界的名曲として歌われている)が制作された場所だった。
この番組今年が25周年と唱っているが、実は今の司会者であるアレックス・トゥレベック(Alex Trebek) になって25年目であって1964年から続いている超長寿テレビ番組なのである。司会者曰く現在でもコンスタントに全米の1400万人の視聴者を魅了しているとのこと。
*** 百聞は一見にしかずで写真を見たら一発で状況が分かるのだが、どの映画・テレビスタジオ敷地内もカメラ・携帯telなどの規制が厳しく2重3重のチェック体制をとっているので残念ながらここに掲載する写真がない。また、経費節約あるいは桁はずれに制作本数が多い、あるいは版権、配給先などなど、どんな理由か分からないが番組宣伝用パンフレット類を一切作らないので実際の放映時に内容を確認するか、数種類のエンターテイメントの新聞・雑誌あるいはインターネットで情報を得る以外に方法はない。#YS
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