電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

「龍拳」ビデオ修復

2012-05-25 00:00:00 | 成龍的電影

今日は久々に登場の「龍拳」です。(いつものバージョンについてなどのお話がメインです。興味がある方はどうぞ。)

昔のテレビでやってた「龍拳」は確かに心躍るものがあった。
しかし、広東語のレコードでセリフを散々擦り込まれたこともあって(汗)、日本語でも英語でも北京語でもない広東語バージョンが好き!(こんな事ってありませんか?)

今夏、吹替収録のブルーレイが発売されるということで、いろいろ思い出して、何か書いてみようと思いました。「龍拳」日本版の全てがここに・・・。(但し、評判悪すぎるショートバージョンのBW版を除く)

日本語吹き替え版には2種類あって、日本ビデオ映像のビデオソフトとテレビのヤツがありました。
そう言えば「龍拳」のビデオって、どこにでも置いてなくて、なかなか見れなかった記憶があります。ビデオソフトは中古でもかなり高価だったのは確か。 (そもそも本数が少なかったのかな?)

ウチに残ってるテープだと(確か水野晴郎の解説が入ってたから金曜ロードショー??)録画日付は1989年3月22日と書いてある。
デッキにセットして巻き戻ししてみると、げげっ。テープが切れちゃった!
市販ソフトなら多少は丈夫かもしれないけど、家庭用のテープだとこんなこともよくあります。(テープ切れても妙に落ち着いてる自分に笑える~。)
過去何度か同じことやって失敗してたのにすっかり忘れてました。。
でも、ドライバーとハサミ、長いえんぴつがあれば何とかなるはず。
ネジをはずして、ハサミで背ラベルを真っ2つに切り込みを入れて、フタを開ける。
見事に透明な部分で切れてました。
えんぴつはストッパーを下から押すのに使って、黒いテープの部分は触らないように慎重にして、テープを伸ばして右側のリールに挟むのだけど、この栓はどうやってはずすんだっけ?
何か細い針金のようなものが要るな。そうか。クリップの先がいい。
この栓が厄介だ
クリップで真ん中の白い小さな栓をはずして(画像)、切れたテープをはさみ込む・・・。

これがなかなかうまく入らない!(やったことある人なら分かると思いますが。)

そして、20分が経過。
やっと、入った!
 
ありゃ、黒い方のバネがはずれてる。。
これはえんぴつを使って直せた。
ちょっと疲れたけど、これで修復完了!(ホッ)

数年ぶりに見てみるとこれはこれでいいではないですか。吹き替えも惚れちゃいますね。
(金曜ロードではなくて深夜の特選シネマの方でしたね。スミマセン)
初回のフジテレビの時と違って放送局が変わったことで
トリミングが違っていて、フジよりやや大きめのサイズに変わっているんじゃ?
(これはうれしい!)

石丸さんいいね~。
やはり8月のブルーレイ発売前に吹き替え声優&キャストを整理しておかねば。(龍拳という映画を完全に把握するにはこの作業が必須!経過を見たい人はコチラ

今や龍拳もいろいろありますが(多すぎて把握できないほど・・・。)、取りあえず劇場やテレビでカットされているシーンを中心に解説してみようと思います。
大きな違いはオープニングと後半部分の2つ。

オープニングは台湾ロケで、『少林門』や「拳精」でも使われた行天宮。
このオープニングには様々なバージョンが存在し、

・英語版(および仏語など)
・台湾版
・現在のDVDなどで見られるもの(おそらく香港)

などなど。

日本版(要するに字幕や音声が日本語になっているもの)ということなら
CS放送版も日本版となる。
こちら↓

『神拳』
音声は英語でした。日本語字幕つきの「龍拳」はこれが初だったのかな。
 
ロングバージョンからなぜか後半のシャオシー殺害後からの約5分がカットされて
劇場版は正味90分ということになりますね。

今回、注目すべきは日本ビデオ映像の方で、上記の5分間のシーンの吹き替えが入っています!国内DVDなどは、96分のノーカット、ロング・バージョンですので、ここのシーンは含まれていますから、映像と同期を取ることも可能でしょう。

8月のブルーレイだと、この5分間は字幕に切り替わってしまうのかも・・・。
(というか、別物だから絶対そうなるね。。。)
とにかくいろいろ覚悟しないといけません。

一応整理しておくと、日本語版は
(1)90分の劇場版(広東語)に石丸さんが吹き替えを入れたもの・・・オンエア版
(2)カットの5分を含めたロングバージョンに石丸さんが吹き替えを入れたもの・・・日本ビデオ映像版(劇場と同じ90分だがオープニングやラストの編集などが異なる)

どちらが先かと言えば、
テレビ:1984年1月7日(土)放送
ビデオ:1984年2月21日(火)発売
ということで、テレビの方が1ヶ月以上早いということになりますね。(つづく)

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巨人三重唱が歌う『飛渡捲雲山』

2012-05-17 00:00:00 | 成龍的電影

巨人三重唱 - 飛渡捲雲山 1977

「空飛ぶ十字剣」と同じ頃に製作されたもう一つの立体映画。その主題歌がこちら『飛渡捲雲山』です。

 

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成龍拳

2012-04-27 00:00:00 | 成龍的電影

最近、劇場での予告編にハマっているのですが、この「成龍拳」の予告はなかなかいいですね。
ただコピーがとってもキザで、最後の「散るか、成龍。」なんて言い回し、よく思いついたなぁと思いますね(笑。
(ラオウの声でおなじみの内海賢二氏がナレーション担当。)
意味なんてどうでもいいのでしょうけど、コピーというのはコピーライター(コレ最近あまり聞かなくなった。。)が考える、人を引きつける宣伝文句なのだからキザでも何でも“その気”にさせられればいいんじゃないかと思います。

脚本は先日の「キラードラゴン流星拳」と同じく古龍が書いていましたが、映画としての完成度は少々難ありだったか???
「龍拳」に続いて、東映の主題歌&独自オープニング戦略に乗ってはみたものの、あまりにも不評で正月公開が先送りになり、他の映画(ジミーさんの「ドラゴン特攻隊」!)に変更、その後のテレビ放送は一回だけという散々な結果に…。(年末に公開されなかったのは仇討ちが正月映画には合わないという理由ですが、この公開延期の理由については立川健二郎氏がキネ旬84年5月下旬号に記事を書いていましたのでそちらも参照してください。)まさに散ってしまった。。

そういえば、「成龍拳」のパンフは表紙が黄色のと黒のバージョンの二種類がありましたね。
30年以上も映画が公開し続けてればパンフにあってはならないバージョンの異変だってあるのです。(他にもいくつかありますが。)ただ黒いのは、パンフ収集家以外は不用なアイテムですので無理に入手する必要はまったくありません。
昔から日本という国はグッズの類が多過ぎてマニア泣かせではありましたがパンフだけは何とか継続していただきたいものです。(最近は映画グッズなんて出ませんからね。)
アイテムを入手するなら「成龍拳」東映から出ました紙パッケージ入りのビデオの方がいいと思います。(これならなんとかすればまだ手に入るかも!)東映のビデオは予告編つきで贅沢といえば贅沢だったんですけど、うれしい配慮だったと思います。
そして周辺を見てれば必然的に公開直後の当時の状況が気になって来ます。要するに観客の反応のことです。これは当時の資料を調べてみると、興収も総合で200位を下回る程度で、やはりイマイチであったようです(苦笑。
やっぱり古龍の世界にはジャッキーは似合わないのかも知れない。ただ、これはけして残念なことではなく次に繋がる通過点であっただけのことでしょう。(つまり、呉思遠的電影世界へ足を踏み入れ、コメディ路線へついに開眼。その「蛇拳」で見い出されて一つ階段登ってステップアップ。そして「酔拳」で大ブレイクまでの流れ。結果論になりますけど。)
いくら古龍の武侠小説の映画化が流行りだからといっても似合う俳優をまずは厳選してもらいたかったなぁと思うのです。

 しかと見よ、ジャッキーの醜い姿を。

内容が暗くて全体的に爽快感が無かろうが見る人が連続するアクションシーンの中などに面白さを発見できればよしとなるのかも。(たとえば特殊な兵器、武器なんかも効果的でいいんじゃないかと思います)
父親の仇の息子を愛してしまった悲しい女盗賊のドラマでどうしても受け入れがたくなってしまうのもすべて古龍の設定です。こんな話をあまり考えてもこっちの気分まで暗くなってしまう。。

そうそう。前回気がつかなかったんですが、今ふと感じたのは最初のキラードラゴンも公開が出来ない理由があったのではないかと思うのです。
ジャッキーが人気があってお客さんはそれ目当てなのに、ジャッキーが最後に死んでしまう映画なんて公開したら…。
考えてみれば、そりゃ躊躇するはずですよね。まぁそんな事が思えてくるのでありました。成龍拳が「散るか、成龍」なら、キラードラゴンが「今度こそ、散ったか。成龍。」となったかどうかは分かりませんが(笑。

今回はくだらない単なる独り言でしたー。 さらっと流してください。

次回はちょっと脱線。チャールズ・ヒョン主演『紮馬』(これはサツバと読むべきなのかな??)について書いてみる予定です。


 

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少林寺木人拳

2012-04-24 00:00:00 | 成龍的電影

ジャッキー・チェンが口のきけない役(つまり、セリフほとんど無し!)だった「少林寺木人拳」です。

テレビでは東映の劇場版プリントがそのまま使われていた様でしたが、ビデオがなぜか東宝からリリースされたりしてましたね。(当時の権利関係なんて今となってはさっぱり分からないですが。)数年前、普通にデジタルリマスターDVDが登場し、劇場ではカットされたラストシーンも全部見れます。(あの頭を剃るシーンは本人なのかなぁ・・?? )

日本語版は二つあって、いわゆるブロードウェイ版(ノン石丸ボイス)とテレビの時の計2種類です。
テレビの時はジャッキーがしゃべらないから誰がアテてもそう変わりませんが 、金剛とか他の声優さんが良かったから、まぁいいかな。 (金剛はこの悪役のイメージが強いけど、ほかの映画で善人の役やったりするとまたとても引き立って見えるのでいいですよ!)

「木人拳」はTBSで放送されることが多かったけど、テレ東の木曜洋画で少なくとも一度は放送されたことがありました。日本語版も現在は動画サイトで容易に月曜ロードショーのバージョンを見ることが出来るので、これでいつでも聞けますね!!

強くて、優しい。そして困難に耐えるジャッキーの姿はいつみても素晴らしい。
本当に良い作品でした。あと、ユン・ピョウが珍しく羅維時代の作品に登場してるのはポイント高いですね!(笑。

思えば、金剛や苗天の顔を覚えたのもこれが最初。いろいろ勉強になった映画でした。

そういえば、この木人(木人巷)というのは昔から題材としてよく出て来てました。
いくつか紹介してみたいと思います。 題して、”映画の中の木人巷”。

まずは、60年前の古い映画から。

 元祖!木人巷。

こんな木人がいたら怖くて逃げちゃうかな~(笑)。

続いて、子役スター・ファン・ボーボーの68年版『方世玉三打木人巷』。

  さすがにモノクロっす!

 なかなか頑張ってます。
 

そして、フー・シェンも苦戦した『少林寺』(76)です。

 高速回転で一番手ごわそう。

よーし、突破するぞ!

あと、こんな作品もありました。葉飛揚の『真假功夫』(78)。
もうちょっと長くみたい。

これはちょっとパロディ入ってるかな。


でも、やっぱり、コレが一番カッチョエエー!!!

 さぁ、いくぞ!!!


ということでおしまいです(笑)。また次回もおたのしみに!

        


【作品DVD】

日本語吹き替えです。出番少ないですが、是非とも石丸ジャッキーをご堪能ください!!

少林寺木人拳 (日本語吹替収録版)
パラマウント
パラマウント

【作品ブルーレイ】
永久保存版の劇場公開テレシネ・バージョン。一家に1枚どうぞ。

少林寺木人拳 日本劇場公開版 [Blu-ray]
ジャッキー・チェン,クム・カン
パラマウント
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キラードラゴン流星拳

2012-04-22 00:00:00 | 成龍的電影

今回はこちら「キラードラゴン流星拳」(原題:『風雨雙流星』)。最近の映像ソフトでは「ファイナル・ドラゴン」のタイトルに変わっています。

 

オープニングはモノクロの「キングコング」より。元は早回しだったのをピッチを変えてゆっくり再生したようなアレンジになってます。(でしたっけ??>Aceさん)

そもそも『風雨雙流星』というのは、なんだろうと考えてみればこれは登場人物から取ったものなんでしょうね。
“風”は、タン・リンが演じた風七の“風”を表し、“雨”は、ジャッキーの相手の夫人役、花雨から。そして“雙流星”とは、必殺兵器“奪命流星”のジミーさんともう一人の流星、ジャッキーが演じた“天魔星”こと花無病の二人を指していると思われます。

それから『新精武門』以降(76年以降)、「○○拳」と名の付くジャッキー作品の中で唯一、日本語版が無かったのがこの「キラードラゴン流星拳」です。
コレだけ吹き替えが存在していないというのはちょっと不思議な話です。

これってビデオが出る前はテレビの地上波で放送されることもなく、BSでの字幕放送に終わってしまったのです。(BSでの放送はかなり衝撃的でした!)未公開だった映画が次々と公開されていた頃に劇場公開されていれば良かったんですが、入ってきたのがあまりにも遅すぎたんですね。
結局タイミングを逸し、現在までビデオやDVDなどが発売されても日本語版は作られることはなく、これだけが残ってしまったという訳です。とても残念でなりません。
あと、「キラードラゴン流星拳」のビデオが出た当時、リリースは東映ビデオ(発売元)からだったので、もしかしたら劇場公開するなんて話も実はあったりして・・・。

それにしてもジミー・ウォングとジャッキー・チェンの二人が対決するこの映画!
日本語版の制作が忘れ去られるのは実にもったいない話です。
旧作ファンがビックリするような企画で見てみたいなぁ。例えるなら、石丸さんと赤い彗星シャアでおなじみのアノ人を使ったベテラン声優による新規録音とかね(笑。
映画の方も次々と現れる多彩なへっぽこキャラクターが魅力で(笑、物語が進むにつれて旅の拳士ジミーさんの意外な正体が露わになってきます。これは説明不要ですが古龍の小説が原作となっています。(一説によれば『七殺手』というのがその小説らしい。)
そして脚本担当が古龍になっていますので小説をベースに映画のシナリオを書いたのかも知れません。
古龍の作品では中期に当たるようですが、この映画や「成龍拳」も古龍のファンタジーの世界が展開されていて当時の台湾で相当の古龍ブームだったことが分かります。
日本でもジャッキー人気と古龍ブームがうまく重なっていたりしたらこの劇場未公開(香港でも!!)という悲運な映画の状況も大きく変わっていたと思いますね。
出版界では2006年ぐらいにもちょっとした古龍ブームがあって何冊か出版されたようです。とにかく古龍の小説はいっぱい映画化もされてますから国内で出版されたら映画と併せて読んでみるのも面白いでしょうね。



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風呂場で白フンドシの陳星が大暴れ『新精武門』

2012-04-19 00:00:00 | 成龍的電影

ジャッキー・チェンが羅維監督のもとで最初に撮った映画「新・怒りの鉄拳」(原題:『新精武門』)。

ブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」で悪役を演じた俳優はそのまま日本人でした。この『新精武門』では陳星(チェン・シン)が日本人の岡村を演じています。
ヘアースタイルもカットして実に日本人っぽくなってマッチョで貫禄あるところを見せていました。

テレビの放送ではこのチェン・シンの声を吹き替えていたのが実は青野武さん。チェン・シンの声というのもなかなか合ってる気がしましたね。青野さんは主役ではなくて悪役ということで本領発揮したのかもしれないですが、この配音は個人的にはかなり好きですね。これだけ長く声優やってるといろんな役が回ってくるのでしょうけど、悪役もウマかった青野さん。青野さんの声というのは一度聞いたら忘れない程の力強さがあったと思うのですが、強い人間をやらせたら途轍もなく強いキャラになってイメージを膨らませてくれる。そんな特徴があったと思います。

当の陳星はこのジャッキー最初の羅維プロ作品『新精武門』だけで、その後の相手はジミーさんや鹿村氏、韓国の申一龍、台湾で活躍してた人。例えば金剛とか。そして、任世官に変わってしまいましたので(といっても凄い顔触れです!)、この時期にジャッキーと一緒に共演して欲しかったなぁと思います。まぁふんどしファイトは要りませんけどね!

ちなみにジャッキーとチェン・シンの対決と言うと軽めのものが何度かあるのですが、『新精武門』より前だとちょっと古いところでは未公開作品の『蕩寇灘』。そして、アンジェラ・マオの「レディ・クンフー密宗聖拳」の2本があります。

顔付きの紹介ページを見れば俳優さんの名前を覚えられますね。70年代のジャッキー映画見るなら『新精武門』と同じ時期の台湾ロケの映画などに出演している俳優さんの顔も覚えておいて損はないと思います。名前は知らなくても顔を覚えていると次に別の映画を見たときに「前に見た顔だな」となりますね(笑)。名前は後からでも覚えられると思いますのでまずは顔を覚えてみましょう。

『新精武門』のDVDも既にリリースされています。(タイトルは「レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳」)
短縮版ですが、DVDなら安価で容易に見ることが出来ます。いまは古い映画に興味がなくてもそのうちきっと見てみたくなりますよ(笑)。

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ジャッキー・チェン自伝本の研究

2012-03-24 00:00:00 | 成龍的電影

最近は海外でも、「これは!」と思うジャッキー関連のブログサイトも登場しているようですね。

そんなサイトでは、『秦香蓮』のかわいらしい子役のシーンの紹介や『大酔侠』では、なんと出演場面の画像が何枚かついています! 

他にも『合気道』の出演シーンとか、邵氏の『香港過客』についても書いてあってちょっとビックリしますが、ビルに侵入する窃盗団の一人で、パンストをかぶった人には笑ってしまいました。
余所のサイトでこんなジャッキー研究があると勉強になりますね!
(すみません。。ジャッキーネタ。もう少しだけ続きますので。)

『香港過客』より
湯錦棠、ジャッキー(?)、梁龍 

さて、先日「伊賀忍法帖」についての記事を書いたのですが、他のタイトルも実際にどこがジャッキー自伝本でしか書かれていない内容なのかと気になってしまっていました。そこで前回、個人的な研究ノートを作ってみたというわけです。

共著者の方も流石に新しいことを勝手には書けないと思いますので、2つの書籍を比較してみて本人による新たなコメント部分を浮き出してみるという試行です。(引用箇所は、明らかに同じ言い回しで怪しい記述の箇所をピックアップしています。参考になれば・・・。)

その前に引用元と思われるソースブックについて補足しておきます。

このソースブックの著者はポップカルチャーに精通したアメリカ人の男女2人で、この本が書かれたのは97年。前年「レッドブロンクス」がヒットし、ジャッキーがアメリカで注目されはじめて続々と主演映画が公開された頃の本です。

ただ"Ninja Wars"のような根拠のない情報を載せている事で全体が怪しくなっていたのは明らかで 、例えば81年に"Drunken Fist Boxing"とか84年の"Two In Blackbelt"とか、自伝に載る以前に排除されている作品もあります。
気になるのはこの本の情報源についてなのですが、その殆どは明記されておらず信用できません。 (これはソースブックの中で、発刊当時出来る限りの情報を掻き集めていることや、ジャッキー映画のタイトルが何通りもあることで正確なリスト作成が困難であると打ち明けていることからも分かります。)


では、作品毎に順を追って見てみましょう。(とりあえず82年の「伊賀忍法帖」まで)
たまに私のつぶやきも入れてます(註の箇所)。これは流していただいてかまいません。

・Big and Little Wong Tin Bar
ソースブックからの引用箇所: カッコ内の記述
自伝追記箇所:京劇学校時代のエピソード

・The Love Eternal
ソースブックからの引用箇所:なし
自伝追記箇所:李麗華と共演の記述

・Story of Qiu Xiang Lin
ソースブックからの引用箇所:なし
自伝追記箇所:子役の記述

・Come Drink with Me 【自伝のみ】

・A Touch of Zen 【自伝のみ】

・Fist of Fury
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、別題、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:スタントダブルの記述
(註:)チェン・ズヘン(Chen Zhen)って陳真の事??

・The Little Tiger of Canton
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、別題、キャスト/スタッフデータ
編集部分:「刀手怪招」のデータ
自伝追記箇所:なし

・The Heroine
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、別題、キャスト/スタッフデータ、ローウェイの主張の記述(ベイ・ローガンのHong Kong Action Cinemaより)
自伝追記箇所:なし

・Police Woman 【自伝のみ】

・Hapkido
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:アンジェラ・マオについての記述

・Not Scared to Die
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、別題、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:学院の思い出

・Enter the Dragon
ソースブックからの引用箇所:別題、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:ブルース・リーとの共演、サモハンについての記述

・The Young Dragon【自伝のみ】

・Golden Lotus
ソースブックからの引用箇所:なし
自伝追記箇所:チョイ役の記述

・The Himalayan
ソースブックからの引用箇所:プロット、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:なし

・All in the Family
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:セックス・シーンについての記述

・The Dragon Tamers【自伝のみ】
(註:)これは自伝のみに書いてあるタイトルだからもしかして・・!?

・Hand of Death
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、別題、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:ジョン・ウー監督デビューについての記述

・New Fist of Fury
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:ノラ・ミャオについての記述

・Shaolin Wooden Men
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:5つのクンフーの型についての記述

・Dance of Death(1976)
ソースブックからの引用箇所:製作年度、プロット、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:なし

・Iron Fisted Monk
ソースブックからの引用箇所:プロット、キャスト/スタッフデータの一部
自伝追記箇所:なし
(註:)これは問題ありそう。どこからこんな話があがって来たのか全く分からない。羅維にこっそり隠れて協力するなんてことが有り得るのだろうか??

・Killer Meteor(1977)
ソースブックからの引用箇所:製作年度、別題の一部、プロット、キャスト/スタッフデータの一部
自伝追記箇所:なし

・To Kill with Intrigue
ソースブックからの引用箇所:別題、撮影のエピソード、相手の役名とスラングの記述(Oriental Cinema magazineより)
自伝追記箇所:なし
(註:)このスラングの話も違ったんだ(笑)。言われてみればいかにもアメリカ的な表現だなぁと思う。

・Half a Loaf of Kung Fu
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:オープニングの解説

・Magnificent Bodyguards
ソースブックからの引用箇所:プロット、テーマ曲、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:映画の一場面についての記述

・Spritual Kung Fu
ソースブックからの引用箇所:別題、プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:なし

・Dragon Fist
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:なし

・Snake in the Eagle's Shadow
ソースブックからの引用箇所:別題、プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:好きなセリフについての記述

・Drunken Master
ソースブックからの引用箇所:別題、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:映画の内容についての記述

・Fearless Hyena
ソースブックからの引用箇所:キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:映画の内容、成績についての記述
(註:)訳者は石天をシー・キエンと書いてしまう傾向にあるようです。

・The 36 Crazy Fists
ソースブックからの引用箇所:別題、プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:タバコについての記述

・The Odd Couple
ソースブックからの引用箇所:プロット、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:なし
(註:)こんな記述があったら誰だってそう思ってしまう。例えば、"彼は"となっているのが"僕は"に書き換えられているんですから困ったものです。。

・Fearless Hyena II
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:映画の内容についての記述

・The Young Master
ソースブックからの引用箇所:キャスト/スタッフデータの一部
自伝追記箇所:映画についての記述全部

・Battle Creak Brawl
ソースブックからの引用箇所:キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:映画についての記述全部

・Cannonball Run
ソースブックからの引用箇所:キャスト/スタッフデータの一部
自伝追記箇所:映画についての記述全部

・Dragon Lord
ソースブックからの引用箇所:キャスト/スタッフデータの一部
自伝追記箇所:映画についての記述全部

・Fantasy Mission Force
ソースブックからの引用箇所:プロットの一部、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:ジミー・ウォングについてと映画の内容など

・Ninja Wars
ソースブックからの引用箇所:プロット、キャスト/スタッフデータ
自伝追記箇所:なし

90年代以降は(「プロイー」のあとぐらいから?)メディアの発達などにより、不確定な情報は無くなってきていると思います。全体的な傾向としてはキャスト、スタッフのデータはソースブックからの引用。映画のプロットも要約して記載し、各映画のエピソードや印象深い内容の記述がおそらく本人のコメントであると考えられます。
映画の中のセリフや共演者のことはよく覚えているようですね。もう一つ言える事は、「ヤングマスター」以降、それまで少しだったのに猛烈に語りだしていることでしょうか。やはり羅維時代までのことはあまり語りたがらないんでしょうね。

以上、2つの本の違いをざっと書いてみました。
私の書いている記事は仮説に過ぎませんが、古い作品も今後一層見直されて、より詳細のジャッキー年表が議論され、もっと広まってほしい。そんな思いで書いています。
やはり70年代(特に前半)は、ずっと闇の中でした。大して役に立たず私には何も出来ませんが、少しでも光を当てられればいいかなと思っています。

 

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死闘!香港のゴッドファーザー

2012-03-22 00:00:00 | 成龍的電影

今回は、金振八主演「死闘!香港のゴッドファーザー」(原題:『満洲人』。以下、『満洲人』と記します)の魅力について少々書いてみたいと思います。 

この映画は73年に製作され、同年に「カラテ愚連隊」を監督することになるジョン・ウーが副監督の一人として参加していて(出演も兼任)、「カラテ愚連隊」より少し前に関わった作品になっていたと思います。

8ミリフィルム発売時の邦題がついてます(これは英語タイトルを直訳したものですね)コッポラの洋画「ゴッドファーザー」(1972)の影響により製作されたのかどうか分かりませんが、オリジナルのゴッドファーザーは香港でも『教父』として73年秋に公開され大ヒットしてますから当時、流行っていたのかも知れません。

この映画が香港映画として、どういう位置付けであったのかを分析するには、まずは会社がどこでとかプロデューサー、監督は誰?というのも把握しておく必要があります。
この映画の監督は「カンフーエンペラー」(1983)を監督したパオ・ホッライの奥様で、チン・シューメイという女性でした。(プロデューサーはカイファ・フィルムの陸正行と兼任。)邵氏で夫の監督作品のシナリオを担当していましたから映画を夫婦で作っていることになりますね。
この夫婦は会社をいくつも転々としていたのですが(威靈公司もその一つ。詳細は後述)、数年後には先日書きましたチェン・カンタイの『LAYOUT』 や少し後になってからティ・ロンの「カンフーエンペラー」を製作していたという事です。(未公開作品なら『風流殘劍血無痕』という武侠片もあるのですがこれはなかなか面白いのでおすすめです!)

『満洲人』を作った製作プロ、世界影業はパオ監督が邵氏から独立、起業し陸正行と折半で出資して作った会社だったと思いますので、『満洲人』はおそらくこの夫婦によって作り出された映画ということになるでしょう。通常なら監督になるはずなのに何らかの事情で(夫の方が多忙とかで?)妻を監督という立場にさせて、実質はジョン・ウーら副監督たちに仕切ってもらったとかそんな話かもしれないですね。

最近の記事の流れからいくと、73年前後の作品に集中して来てますが、この時期というのは詳しいことがあまり知られていない事が多いので、実際の映画がどんなものだったのか想像してみたり、製作者が誰を使って何を描きたかったのか等々、考えてみると次から次へと興味が湧いてきてキリがありません。実際ネタの宝庫ですので、自分で調べてみるといろいろ分かるので本当に面白いと思いますし、時間はかかりますが順を追って確認していこうと思います。

そしてまたこの映画『満洲人』も、ジャッキー・チェンが関与した映画と思っています(笑)。

この話はジョン・ウー自らがインタビュー本で語っていますし、ジャッキーの自伝に書かれていたエピソード、つまりハーベストのスタジオの撮影現場に現れたパオ監督から仕事の依頼を受けたのがおそらくこの『満洲人』ではないかと思うのです。

威靈公司という会社を古い書籍などで目にしたことがあるかと思いますが、この実在する会社の名前がどうして出てくるんでしょうね??

推測ではありますが、この時期(72~73年頃)にパオ監督と関連のある映画にジャッキーが関わったということになると想像できます。実際に威靈公司作品に関与した事実は見つかっていませんが、この『満洲人』だけがジャッキーとパオ監督を結ぶ唯一の作品と思われ、上記のような推論になりました。

(参考)インタビュー本での記述(byグーグル先生) 

http://books.google.co.jp/books?id=_krI0_M3hCUC&pg=PA21&lpg=PA21&dq=john+woo+manturian&source=bl&ots=a3-NiCa3W2&sig=soVTR6qEYy7Sp4hEgPc6jexVqps&hl=ja&sa=X&ei=lKFkT9OyCMTkmAXPoYCtCA&ved=0CFYQ6AEwBg#v=onepage&
q&f=false

この記述のようにジョン・ウーが昔の出来事を覚えていて、しっかりタイトルも具体的に挙げていたのも以前から目を付けていたジャッキーと初めてコラボするようになったりとか、まだ駆け出しの頃のジャッキーが同じ映画で協力していたのをあとで思い出し、印象強く残っていた・・という可能性もあるかも知れませんね。 

あと面白いのが、次の「カラテ愚連隊」につながる部分を感じることができるからですね。(ストーリー設定も少し似ている部分があります)

実際の映画の方はどんなものなのでしょうか。 

まず「ザ・カラテ2」などで知られる韓国の金振八が主演しています。 
画像
彼はカイファ・グループの羅馬監督によってグループの看板として起用され、最初の映画『大除害』に主演して得意の合気道を見せていました。
当時、同じグループで武術指導をしていたジャッキーとは当然つながりがあったはずで、この頃からの知り合いだったのでしょうね。
辮髪で満州人を意識?

その彼が主人公で物語は進行します。
清朝末、麻薬密売組織と対決する一人の男。売春婦との恋。その周囲の人間たちの数奇な運命を描いています。

この映画の最大の魅力はもちろん彼ですね!。『大除害』に続く香港映画への出演ですが、彼の繰り出す蹴りはとてもなめらかでいつみても素晴らしく感動してしまいますね。

『満洲人』でも当然ながら得意技の豪快なキックを披露して、表情も豊かで一番冴えていたように思います。 

ジャッキーと金振八との交流も興味のあるところですが、劉家榮ら他の龍虎武師たちとの交流はどうだったのでしょうか。気になるところです。

途中、こんなシーンが出てきます。
金振八は布にパンチして穴を開けます(笑)。

このシーンあまり見た事がないですが、ジャッキーが「蛇鶴八拳」でも見せていましたね。

「蛇鶴八拳」

マフィアのボスを演じるのはチャン・ナンです。 
 
同じ様なボス役が多いのであまり区別できませんが(汗、この時期は引っ張りダコですね(笑。

その手下に扮したジョン・ウーは、あまり目立ちませんが、ちょこちょこ顔を出します。

 (右)ジョン・ウー

副監督のクレジットにはジョン・ウー含め3人の名が連なっています。 
その一人にワン・カイイーがいます。 
  呉字森、黄祥勤、王凱怡

彼はこの『満洲人』のあと、「カラテ愚連隊」でジョン・ウーと共同で監督することになります。  ジョン・ウーもこの映画に出演しながら、友人のワンと次の映画「カラテ愚連隊」を夢見ていたのでしょう。


売春婦役にはシャーリー・ファン(黄莎莉)。


「カラテ愚連隊へ続くこの二人、
チェン・レイ
敵とも味方とも分からない不思議なキャラクターが彼。

フォン・ハクオン。よく出てます(笑  
 
ここでは馮源という珍しい名前を使っています。 殺し屋役の馮源は赤い蝶ネクタイで登場。ピストルを乱射します。。

赤いネクタイと言えば・・・
こんな作品も。

 ちょっと、おまけ。『元甲』より

主要なキャストはこんなところでしょうか。

ジャッキーは残念ながらクレジットも何もありませんでしたが、僅かながらの参加。
そして、次の仕事(ジョン・ウーに本格的に仕事をもらった「カラテ愚連隊」)につながっていったことは想像に難くないところだと思います。

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『死党』についての考察(最終回)

2012-03-07 00:00:00 | 成龍的電影

ついに、というかやっとですが何とかこの謎を解明して記事にすることが出来るまでになりました。長い間悩み続けた疑問とその答え、私なりの考えがどのような話であるのか早速、書いておきたいと思います。

『死党』についての私の結論は、映画のタイトルではないということです。

(参考)中国語で死党とは?(こちらをクリック)

 

要するにジャッキー・チェンが”死党”と思う人物(=チャールズ・チン)を指しているということになります。

そもそも『死党』というのは80年代初頭、日本の書籍に72年の大地公司作品として載っていた情報でした。 どんな映画なんだろうと思うようになってからというもの、この不確定な情報を掲載した“一冊の本”に悩まされることになって、長い間、この記述は一体何を書いているのだろうという不安と混乱が避けられなかった・・・という話なんです。

こちらは前回書きました記事です。

その後、『山東老大』を見てみたのですが、率直なところどうも腑に落ちなかったんですね。簡単に言いますと、ここに来て直感的に『死党』=『山東老大』説が崩れ出し、私の中では有り得ないという実感が急に高まったのです。

そして「もう一度、他のを見てみよう」と思い、昆仲公司の『大密探』(1973)をチェックすることに・・・。

再度『大密探』を見てみると、ふと気付いたのです。この『大密探』はオープニングにもあるように銀色鼠隊の映画だったのです。

 

ここで流れるのはウィークエンダーでおなじみのアレ。「鬼警部アイアンサイド」より


銀色鼠隊メンバー
前列左がチャールズ・チン

以前、検証した『小偸鬥大賊』(こちら)ではこの銀色鼠隊の関係から出演できたとの結論だったのですが、この映画には肝心のチャールズ・チンがいなかったのです。

では、その『小偸鬥大賊』の前にもう1本あったとしたらどうでしょう。
つまり『女警察』の後、チャールズ主演の『大密探』に出演し、その流れでアラン・タンの『小偸鬥大賊』出演につながった・・・。いかがでしょうか。これならすんなり話が通って一気に真実味を帯びてくるではありませんか。

このつながりには説得力があり、ジャッキーの言う通りになるので、やはり『山東老大』ではなくこっちではないかとその時思ったのです。

前回書きましたように主役とはいえ、俳優のチャールズとしてはプロデューサー(陳浩)に紹介してスタントを少々のお手伝い程度だったと思われます。

実際の『大密探』では武術指導こそ劉家榮と陳全という当時ジャッキーとはライバルグループに相当しますが、多人数でのバトルは非常に少ない展開で進行します。
ここにジャッキーが入り込む隙があったのでしょうか!?

えっへん!(笑)。では、実際の本編では、どんな場面になっていたのでしょうか。

チャールズがバーで酒を飲み、酔って帰るところに車に乗ってやってきた四人組に駐車場でからまれるというシーンがあります。
車の前の座席には高遠と任世官、うしろに赤い服の男とGジャンに白いシャツのジャッキーらしき人物が乗っています。

左:Gジャンの男 右:チャールズ 
横顔の一部が一瞬見えますが、誰であるかハッキリ確認はできません。
しかし、可能性は十分あると思います。

そのGジャンの人物はチャールズに膝蹴りを入れた後、パンチで殴り倒します。(このパンチは別のカットに編集されており、白いシャツの袖ではない人物(たぶん高遠)に変わっています。)

このGジャンに白いシャツというのが『女警察』のときの服装と似通っているんですね。(偶然にしては出来すぎではないかと思うのですが。)
『女警察』より

ジャッキーがチャールズに呼ばれたことを公言しているのは、『女警察』の出演後、少々のお手伝い程度で、そのタイトルも、どこの会社かも覚えてなくても、チャールズ・チン御大に呼ばれた事がうれしかったからだと思うのです。
だから、ジャッキーは嘘など言っていないですし、(呼ばれたことは真実なのですから。)実際にもう1本あったのです。
但し、あくまでジャッキー1人が呼ばれた形であり(いつものユン・ケイらは不在)、結果はどうであれ共に同じ映画に出演したことになるのだと思います。それが『大密探』という探偵映画なのですから『死党』なんてタイトルの映画、いくら探したってある訳はなかったという事になるのです。


余談ですが、そのほか気になった点を挙げておきます。

その1:共演者に『女警察』との共通点が多い。

チャールズ・チンをはじめ、チャン・ナン、ウォン・サムなどのベテラン勢(これが結構あやしい・・・)。

武術指導はクレジットによれば劉家榮と陳全であることが確定(陳全はバイクに乗ってチラっと登場してます) ですが、気になるのはしっかり出演していた黄培基の方。彼は72~74年頃の作品(例えば『満洲人』や『黒人物』、『逃獄犯』『五大漢』など)で武術指導と、邵氏出身ですがジャッキーとも限りなく近いポジションにいた様なので何らかのつながりがあった可能性も少なからずあったのかも知れません。


ちなみに『女警察』こと「ヤングタイガー」ですが、米を除いたヨーロッパなど海外のプリントならジャッキーブレイク後のリバイバル版ではないオリジナル73年版のクレジットを見ることが出来ます。

 林秀と陳元龍。国内版だとそうはいきません(苦笑。


『女警察』いま見るとジャッキーが若い頃の飛んだり跳ねたりするアクションも見れるし、割と新鮮かも知れませんね。(ファンには忘れられない1本です。)
ほーら、「ヤングタイガー」見たくなって来たでしょう(笑)。

その2:ロゴのデザインが似すぎてます。(爆)
 ただそれだけー。

内容もそうですが、『大密探』という映画は明らかに『女警察』からの流れでしょうね。


ということで、『死党』の最終考察、昆仲公司の創業作『大密探』について書いてみました。(配給はあの協利だったようです。)そういえば大地公司は『頂天立地』『女警察』の2本だけしか作られなかったのですから、単純に大地の3本目なんてあり得なかった・・で良かったんですね。
『女警察』の後、意気投合してチャールズに呼ばれ、チャールズ主演『大密探』に出演。そもそも陳浩の会社、昆仲公司も小さな会社でしょうからほぼ大地公司とほとんど扱いは変わらない物だったのではないでしょうか。

 

最後に、ここまで導き出すのには長い時間がかかりました。今回、解明できたのもずっと協力していただいたAceさんのおかげと思っています。(とても感謝しております。この場を借りてお礼を申し上げます。)

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龍蛇侠影

2012-02-23 00:00:00 | 成龍的電影

今から6年前、私は1枚のDVDを手にしました。
と言うのは、イギリスの某有名人が仕掛けたレーベルからリリースされた『龍蛇侠影』(以下、『龍蛇』)のDVDです。
このDVDのパッケージの裏には覆面の刺客としてジャッキー自身が出演しているから探してみて…的な記載がありました。

顔を隠している・・・!?私は一瞬、ある映画を連想しました。。

何の映画だか分かりますかね?(苦笑)

ジャッキーが覆面で顔を隠す。「まさかそんなことってあるのかな?こりゃありえない。」と思い、「必殺鉄指拳」同様、全く信じずにいました。

実際にDVDを見てみると、まずその予告編には意味ありげの映像(下記参照)がありました。
 予告より

実際の本編では序盤、問題の“白装束の男”が現れて、これは時間にすると3分程度のシーンになります。

 白装束の男

随分と派手なアクションですが、たぶんこれがそうなんだろうなと。

ちょうどその頃、私は羅維影業の『劍・花・煙雨江南』が作られた時期などを調べていましたが、ジャッキーが『劍~』の後、『龍蛇』に出ることはスケジュール的に十分可能であるとの結論でした。

そして、もう一度よく見てみたらうっすらと顔、表情も見えたではありませんか。

 どうですか?(目が笑ってますよね。)

拡大

 ポーズしているところ。

これもそれっぽい感じ。

実際に動いているところを見ると、やっぱり本人かも知れないなぁと思い始めていたのです。ただ、このDVDの発売時にどうしてこんなスクープを得られたのかというのが疑問が残りましたが。

倒れているところ 左:龍蛇 右:成龍拳

では、なぜ白いマスクがジャッキーなのか。どうして顔を隠す必要があったのか。

この作品の監督は陳誌華。日本では蛇鶴や天中拳の監督としても有名ですね。
説明不要ですが、76年に彼は羅維影業の「少林寺木人拳」を撮っていて、これはジャッキーとの最初の作品になった訳ですからここから始まったんですね。

 陳誌華(左)。木人拳にチラッと出演。

そもそも陳誌華の次回作は『龍蛇』であり、ジャッキーがゲスト出演する予定だったのです。しかし、御存知の通りジャッキーは羅維のところで専属契約をしていたので他プロダクション作品への出演は叶わず、羅維影業作品ではない次回作にゲスト出演という形での出演は無理で実現に至らなかったようです。(「蛇拳」の経緯については本筋から外れるので割愛します。)

つまり、“顔”と名前は出せなかったと。だからあの様な、顔を隠した覆面姿の白装束での登場、かつノンクレジットという苦肉の策が生まれたのではないでしょうか。(パッケージ裏についても、マスターの権利元から得られた周知の事実だったのかも知れませんね。そうならそれも納得できます。(そういえば『龍蛇』と同じ製作会社の『人在江湖』リリースはどうなったのかな??)

また、ジャッキーと当時噂のあった徐杰(シー・フォンの妹)が出演しているのですが、もしかしたらこの頃から知り合っていたのではないでしょうか。この映画を通じて・・。彼女がこの映画に出ていなければ噂も出るようなことはなかったと推察できます。

ということで、ジャッキーが関与していたと思われる理由を改めて整理してみると、

・ジャッキーが刺客で登場するという謳い文句のDVDがなぜか突如発売された
・陳誌華が監督をしていた
・ジャッキーはゲスト出演する予定だった
・ジャッキーは顔を出せない(顔を隠しての出演、ノンクレジットなら許可なくとも可能)
・徐杰が出演(ここが重要!(爆。)

と、ここまでが私の考察になります。

先日、なるこうさんのHPで『龍蛇』が取りあげられていました。
そこでは興味深い内容が展開されています。 (とても参考になります。ブックマークの”成こ家班”からどうぞ。)
私は知らなかったのですが、武術指導には何維雄という人物が当たっているそうです。
その何維雄は実際に出演していたのですが、どこに出ていたかと言うと、いきなり冒頭に登場します。彼がマスクの下の素顔の持ち主かどうか分かりませんが、ユニークな内容と思います。

 これがその何。いきなり登場します。

さて、今回の龍蛇についてですが、
ジャッキー・チェンが覆面姿で出演と噂される、そんなDVDがあった。
そう言われてみればそうかも知れない。
でも本当は誰だかわからない。それを決定的に証明するものが無いから・・・。

一般的にはこんな話になるでしょう。
でも、これだけ周辺の状況証拠が揃えば本人の証言なくとも出演を証明しているようなものだと思います。

最後に、面白い実験をしてみました。

 成龍拳より

これが、マスクすると・・・こうなります(笑。

 

最初の白装束の男の画像と見比べてみてください。動きはもちろん重要なんですが、やはり顔。顔に違和感があるようではダメですからね。

コメント (7)
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