電影フリークス ~映画のブログ~

電影とは、映画のこと。その映画を一緒に楽しみましょう。

心蘭的故事

2007-10-20 10:20:32 | 嘉禾電影
72年の文芸作品(撮影は72年8月頃)。前回の「黒夜怪客」と同様、この映画では苗可秀が柯俊雄と共演しています。
台湾映画ですが、【嘉禾】が発行(配給)して73年に香港でも公開されています。製作したのは鴻達公司という柯俊雄の会社のようです。

苗可秀が出演したのは「ドラゴンへの道」が終わった頃だと思いますが、この映画で功夫片では見られない演技をこなしていたと思います。例えば歌手として歌うシーン。子を持つ母親役などは女優としての力量を試された演技でしょう。
また文芸なので武術指導はないと思っていましたら周新貴という人が当たっていました。(アクション場面は冒頭のからみや、ボクシングの試合など。)
いえいえ、この周新貴という人、どうも龍飛の別名のようですが・・・。

タイトルにある心蘭はナイトクラブの人気歌手を演じる苗可秀の役名・呉心蘭のことで彼女のお話です。柯俊雄は学生でボクサーのチー(役名・羅起鵬)を演じています。

そのチーは毎日ケンカばかり。裕福な家庭の息子(つまりボンボン)でバイクを乗り回している。心蘭はケンカで道に倒れていたチーを偶然見つけ、家に運んで看病する。それがきっかけとなり二人は付き合い始める。

チーの父親(常楓)は厳しい人で、母も元歌手だったからと心蘭との結婚に反対する。チーが卒業すると父親の反対を押し切って結婚するが、喧嘩っ早いチーは仕事がうまくいかない。チーは叔父の漁船に乗ってやっと定職に就いた。やがて女児が生まれ、赤ん坊を抱えてチーの帰りを迎える心蘭であった。(やはりチーは白のTシャツ姿です。)幸福な暮らし送っていたが、2人目の男児が生まれた日、チーは海へ出たまま行方不明になってしまう。

そして…それから6年が経過した。医者のホー(武家麒)は、豆乳を売っている子供の屋台に車をぶつけてしまう。なぜ子供が商売をと思い子供に訊くと母親が病気であることを知った。その後、学校を休み、ホーからお金をもらったことで子を叱る心蘭だったが、チーがいなくなり貧しい生活で自分の為に働いたと知ると2人の子を抱き寄せた。(健気な子供たちの姿は涙を誘う場面です。)

心蘭は心労で病気になってしまっていた。その心蘭を医者として放っておけず助けたホーはお金は要らないと言う。親切な医者であった。頼りがないところでの親切心から少しずつホーに惹かれていく心蘭。チーが帰らないままだが叔母(王莱)の勧めもあり心蘭はホーと結婚してしまう。

1年後、足が不自由になったチーが港の家に戻ってきた。心蘭は子供を連れて出て行ったと叔母は告げるが心蘭を探し求めて街を歩き回るチー。新聞に捜索の広告を載せても心蘭は気がつかない。チーは酒に溺れる毎日を送るが金もなくなり、バーの店員に殴られ追い出されてしまう。

怪我を負った彼は病院へ運ばれる。そこはホーの病院だった。夫を手伝おうと治療しているところへ心蘭は近づいた。チーの目には心蘭の顔が確かに映っていた。心蘭を遂に見つけたのだ。奇跡的な再会に抱き合うふたり。しかし、心蘭には医者の夫がいる。激しく動揺し、その場に倒れる心蘭を2人の男が心蘭の腕を支えている。すると、チーが口を開いた。「君は残るんだ。俺が出て行こう…。」寝ている子供を一目見たチーは外へ出て行くのだった。

この映画は自らが背負った運命に苦悩する男女を描いた悲劇のドラマでした。
結婚し歌手をやめてからの苗可秀が、ごく普通の平凡な女性を演じていたせいかそれが新鮮に感じました。そういった面では彼女の違った一面が見れました。



コメント
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