最近、子供が『田辺聖子の古典まんだら(上)・(下)』(新潮社)をプレゼントしてくれました。私が時々この著者のエッセーを読んでいるのでこの本を選んだのでしょう。
本書は2000年4月~2002年3月まで大阪リーガーロイヤルホテルで行った「古典まんだら」「古典の楽しみ」という連続講演がもとになっているようです。
『古事記』『万葉集』から西鶴・芭蕉の江戸文学まで、わが国の古典中の古典ともいうべき21の作品が古い方から順に解りやすく解説されていますが、以前読んだ同じ著者の『文庫日記』と似ている様な気もします(同じ著者の古典解説なので当然といえば当然ですが)。
私に古典を読み解く力は無く、本書のような入門編で読むしかないのですが、どの著者のであっても入門編ゆえか、同じ様な作品が取り上げられ、またその中の同じ場面が解説してあるように思います。
本書でも『大鏡』の項目の話題の一つに、村上天皇と中宮安子のやり取りが取り上げられています。今までに私が読んだ古典入門書にもよくこの場面が出てきて、これは素人受けする話題なんだと面白く思う反面、その昔の高貴な人々も現代の私達と同じ情緒をもった人間なんだな~という嬉しい思いになります。
『百人一首』の項目の最後に著者が“その通り”だと紹介している藤原清輔の歌、
「長らへばまたこの頃やしのばれむ
憂しと見し世ぞ今は恋しき」
には私もその通りだと思います。この歌には人生の真実が含まれているんでしょうね~、多分...。
以前小倉にいた時、小倉リーガーロイヤルホテルで田辺聖子さんの「久女とわたし」という講演を聞いた事があります。目の前の田辺さんはとても小柄で、オシャレな細い杖を軽くつきながら登場されました。服装は和服地で仕立てたクリーム色のロングドレスだった様に思います。お話になる言葉は関西弁ではなく標準語でした。高い澄んだきれいなお声で話されたのですが、自信に満ちた話し振りで、自由闊達なお人柄にお見受けしました。
本書も講演をもとに本にしたとあるので、その時の田辺さんの様子を思い出しながら読みました。
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