ライオンミドリ la cantine du lionmidori

気の利いたつまみ、おいしいナチュラルワイン、ちょっと珍しいお酒、幸せなチーズ、明日も頑張れる気持ちになるデザート。

ミドリさんのブログ 8

2016-01-16 22:56:46 | ミドリさんのブログ
毎年この時期はフランスに行っていた私たち。
パリの写真を見ていたらたまらなくなってしまい、投稿します。

私が最後に行ったフランス、2014年は「シードル」にハマりました。
ライオンミドリではおなじみ、りんごの発泡酒です。
この年はワインよりもおいしく感じて、行く先々で飲みまくっていました。


「カフェ ロスタン」での一杯。
これをかわきりに、ミドリさんのシードル週間がはじまりました。


ほら、もう顔がおかしな事になっています。


これはロスタンの帰り道にたまらずホテルの近くのワイン屋さんで買ったシードル。
確かりんごの皮も使って作られていて、ほんのりピンクのシードルです。
渋みがほどよく効いておいしかった!


そしてこれはバスツアーで一人、あの「モンサンミッシェル」へ行った時、お昼ご飯と一緒に出てきたシードル。
詳しくはまた後ほど・・・
王道の味、飲みやすくって飲みすぎたやつです。


これはなんと「洋なしのシードル」!!
もう、フランスを満喫!という感じ。
洋なしのこってりとした感じと、シードルのさわやかさが同居。
目を閉じて、味を思い出して、泣きそうになるやつです。


これも、洋なしのシードルと一緒に、モンサンミッシェル近くのスーパーで買いました。
ジャケ買いでしたが、さすがハズレなし、りんごの味がしっかりしていていい意味で雑味もあり、まるごとを頂いているような、そんな一本でした。


これは有名なガレット屋さんでの一杯。
そうそう、こんな器で、フランスで飲むのがあこがれでした。
詳しくはまた別の機会に・・・



そしてこれは、よさそうなシードルがなかったのでほんのり甘いビール、とフレンチフライ。
チェリーテイストで、確か「モナコ」というビールだったと思います。
期待していなかったのですが、品のある味わいでびっくり。おいしかったです!


こんなに飲んでいますが、
もうすでにこの時おなかの中には息子が・・・
全然知らずにこんな始末です。


この年のパリは目に入る風景がやけにキラキラして見えて、川沿いを歩いていても
「セーヌ川ってなんてきれいなんだろう、こんな幸せって!」
という気持ちになり、初めて見る景色でもないのに、何なんだろう今回は、、
「もしかして帰りの飛行機落ちるんじゃ・・・」
なんて事を考えていたりしていたのですが、後で思うと妊娠中特有のホルモンバランスだったのかもしれませんね。

ワインよりもシードルだったのも、
「母ちゃん、せめてシードルにして!」
息子のお願いだったのかもしれません。
(シードルのアルコール度数は5%程度、ビールと同じくらいです。)

私をご存知の方は驚くかもしれませんが、もう2年もお酒を飲んでいません(笑)
妊娠中や授乳中は自然と飲みたくなくなると言いますが、あれはウソです。


遅くなってしまいましたが、
皆様、明けましておめでとうございます。
年の始めにフランスの風景を、と思っておりましたが、私の心の叫びになってしまいました。
今年も少しずつ、ミドリの声をお届けできたらと思っております。
昨年も本当に大変お世話になりました。
本年もライオンミドリをどうぞよろしくお願いいたします。







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ミドリさんのブログ 7

2015-09-15 23:10:33 | ミドリさんのブログ
去年パリを訪れた時、サンジェルマンデプレにある「カフェ・ドゥ・マゴ」にハマり、結局滞在中に4度も通ってしまいました。

私は20年来、作家のよしもとばななさんのファンなのですが、ここ何年かは新刊が出ても普段読む時間がなく、パリに発つ前に成田の本屋さんで買ってホテルでじっくり読む、という事をやっていました。

去年一緒にパリに発ったのは『スナックちどり』という小説で、その中に
「週末にサンジェルマンデプレでお茶しようよって、その約束だけでもかっこよくない?」
「カフェ・ドゥ・マゴにも行きたい。」
というくだりがあり、主人に話すと行ってみようかという事になり、主人は約10年ぶり、私は初の訪問となりました。

何でしょう…
とにかく居心地がよくて、ここは一体何なんだろうという感じでした。
ドゥ・マゴは1885年創業の老舗カフェ、ピカソやヘミングウェイが常連客であった事で知られ、すっかり観光地となっているあまりにも有名なカフェです。
130年前からやってるカフェって!

当初は特に期待しておらず、「前はよく通るのに行った事ないな、でもせっかくばなな様も言っているし(別に何にも言ってないし!)。」くらいの気持ちだったのですが、、
すっかりやられてしまいました。

もう、どうやって説明したらいいんでしょう…

回転ドアを抜けると暖房の効いたあたたかい空気の向こうに、なんだか夢のような風景が。
赤いレザーの長椅子に、ピカピカのテーブル。
店内にふんわり香るコーヒーの香り。
様々な人種の人々が談笑していて、なぜだか皆幸せそうに見える。
なんだか胸をしめつけられるような切ない気持ちになるくらいの、素敵な風景。

何がこんなにいいんだろう、何が違うんだろう。
答えが出るのにそんなに時間は要りませんでした。

制服をピシッとまとって店に立つ、ギャルソン達です。

フランスでは日本よりもずっと地位が確立されているギャルソンのお仕事。
ましてやカフェ・ドゥ・マゴのギャルソンというのはなりたくてなれるものではなく、日本でいうと歌舞伎の世界に入る?相撲部屋の親方株を取得する?くらいのしがらみをかきわけて得られる地位だそうです。
決して「いらっしゃいませ、こちらのお席へどうぞ、何かございましたら何なりと」という感じではなく、「あ、来たね。あの辺空いてるからどうぞ。」という感じなのですが、日本のサービスではなかなか見られない堂々とした美しい立ち居振る舞い、そこには何とも言えない品があります。

彼らは自国の文化を愛し、店や自身の生き方に誇りを持って店に立っているのでしょう。
もしかしたらそれは少し古くさくて偏ったものかもしれません。
でもそれを国を超えてお客様がちゃんといいように受け取っているんですね。
だからあれほど様々な人種の人々がいて、家族連れや団体客も多いのに、皆が何となく行儀よくしてしまう。
その感じが何とも心地いいのです。
人と人とがいい具合にエネルギーを出し合っている。そして思い思いの時間を過ごしている。
ここまでくるのに、どれだけの時間を重ねたんだろう。
フランスが誇るカフェ文化の根源が、ここにあるような気がしました。
あぁ、いいものを見た。

ご挨拶が遅くなりました。
大変ご無沙汰しております、ミドリでございます。
私事ではございますが、昨年出産を経まして、しばらく育休を頂く事になりました。
プラザハウスの頃からいらして下さったお客様、牧志に来て初めていらして下さったお客様、ライオンミドリに来て下さって本当にありがとうございます。
お会いできなくてとても残念ですが、いつも主人から皆様のお話を聞いて大変嬉しく思っております。

育児でヨレヨレでもミドリさんのブログを書かなくては、と思ったきっかけは6月にたまたま観たNHKの「SWITCH INTERBEW」のよしもとばななさんとアートディレクターの森本千恵さんの対談でした。
出産を控えた森本さんに「出産ってどうでしたか、何か変わりましたか?」と質問され、
「私が出産の頃にちょうどテツ&トモが流行っていて、あの踊りが本当によかったです(体に)。」
と、相変わらずキレのある受け答えをしていたばなな様。

ありがとうございました。
フランスでまた一つ、大好きな場所が増えました。


主人を撮るフリをして・・・


ミドリさん、ニヤニヤしすぎ!



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ミドリさんのブログ 6

2013-06-22 20:24:47 | ミドリさんのブログ

先日、久しぶりに東京に行きました。

3年半ぶりになるでしょうか。


東京には、今の私があるのに欠かせない大切な友達がいます。

高校の同級生で、東京で服飾関係のデザイナーをしている友人です。


私は大学生だったころ、とにかく東京が好きでした。

お金と時間を見つけては東京に遊びに行っていたのです。

彼女の家に泊まらせてもらい、その頃既に働いていた彼女が仕事に行っている間、ひたすら一人で街を歩き回ったものです。


ある日二人で恵比寿で映画を観た後、晩ご飯は家で何か適当に作って食べようという事になり、彼女は「酒買ってかえろう、酒。」と言ってさらっとワイン屋さんに入りました。

さらに彼女は「隣のパン屋のいちじくのパンも買ってかえろう。」と言って高そうなショーケースが並ぶパン屋さんに入って行きました。

あの当時(ひぃ、なんともう15年前)沖縄で、さらっとワイン屋に入る大学生は一人もいませんでした(たぶん)。

メロンパンとかソーセージパンとか全く置いていないパン屋さんで「いちじくのパン、適当にカットしてもらってもいいですか?」と言ってパンを買う大学生も一回も見たことありませんでした(ないない)。

ただ黙って後ろをついて行った私。


「い、いちじくのパンって、何パン?」と思いながら食べたそれは、私の「おいしいもの」の概念をがらりと変えてくれるようなものでした。

今となれば、小麦粉の味がしっかりしている、いちじくの自然な甘さが絶妙、などと感想を並べる事もできるのでしょうが、当時ただただ感じたのは、「いいものってほんとにいいんだ」という素直な感覚。

すいすい口に運んでしまう。まさに体が歓迎しているという感覚でした。とにかくおいしかった!


その感動はその後の私の人生に静かに息づいています。

雑誌などで「ここのパンは食べてみるべし!」と書いてあるのを見て行っても、こうはならなかったと思います。

東京で必死で頑張っている同級生が、「腹へった、早くかえろう」とちょっとだるそうに言いながら買ってくれて、ワインを開けてくれて、トマトを切って出してくれて、お肉も焼いてくれて、「あ、そうそうこれも」と言って出してくれたものだったからこそ。彼女の部屋の優しいオレンジ色の光と共に、あの感動は生きています。


東京で久しぶりに彼女に会いました。

この話をすると、「あれ、ロブションだったんだよ。」と一言。

な、なにーーー!!

ロブションと言えばあの、ジョエル・ロブション。恵比寿に最高峰のレストランを構える、フランスで有数の三ツ星レストランのシェフ。今の私にとっては、神のような人です。

そういえば地下に降りていったような・・・あのお城のようなレストラン、地下にパンやケーキも売っているはず・・・


私が生涯初めて食べたいちじくのパンは、ジョエル・ロブションのパンでした。

そりゃおいしいはずだわ。

なんだかわからないけどとても幸せな気分になり、とにかく彼女に感謝、感謝。

「ありがとう~!かんぱーい!!」

例のごとく、二人で飲んだくれたのでした。

Photo
写真は無関係ですが、パリで通るたびに立ち止まってしまう、素敵な路地。

ちょうど仲のよさそうな素敵なお二人が。

皆幸せな帰る家がありますようにと思わず祈りたくなる、そんな風景です。


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ミドリさんのブログ 5

2013-03-11 23:50:16 | ミドリさんのブログ

今日で東日本大震災から2年になります。

震災の発生直後、誰もが思ったことだと思います。

「自分に何かできる事はないか」

私達ライオンミドリも、こんな時に通常通りの生活を平然と続けていいものか、いつものように店を開けて、いつものように片付けをして電気を消してお店を閉めて、そんな風にしていていいものか、揺さぶられました。

シェフは「本当は今すぐにでも現地に行って炊き出しの手伝いがしたい」と話していました。

色々な思いがありましたが、私達は私達の仕事をし、それで得たものを被災地の方々に還元していくことを考えていこう。

そう二人で話しました。


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フランスに訪れる際、必ず数回は足を運ぶ場所があります。

パリのノートルダム寺院です。

ここで東日本大震災の直後、2011年3月13日に犠牲者に対する追悼のミサが行われました。

パリ市民や在仏日本人の方々約3000人が参加したそうです。

ここにみんなが集まったんだ。3000人がぎゅうぎゅうになって、遠い日本へ向けて、東北の人々のために、みんなが祈ったんだ。寺院の中に立ってそう思うと、なんとも表現し難い気持ちになりました。

「とにかく教会に行って祈るんだ」

いてもたってもいられず教会にかけこんだパリの人々の思いを、今でも寺院がちゃんと包んでくれているようなあたたかいものを確かに感じ、涙が止まりませんでした。

震災直後、電話や携帯電話が不通になりました。

関東地方への通話も何時間も不通になり、何度も何度もダイヤルを押して電話を掛け続けました。

どうしても安否を確かめたい人がいたからです。

この時必死でダイヤルを押しながらも、日本中が大事な人の事を思って電話を掛けているんだという事に胸が締め付けられるような感覚がありました。

家に帰ってからも、ずっとテレビで東北の状況を見守っていました。

日本中が、そうだったのではないでしょうか。

人が人を思い、その力に日本中が包まれました。

あの夜を、私達は忘れてはいけないと思います。

2年が経ちましたが、恐縮ながら私達にできることはやはり変わらないのではないかと考えています。

誰かのために、お客様のために目の前の仕事を一日一日精進していくこと、おいしいものを作っていくこと、

その事が廻りまわってという形でかもしれませんが、被災地の方々の一歩につながっていくと信じて、いつものようにお店に立っていこうと思っています。


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ミドリさんのブログ 4

2012-12-21 08:52:36 | ミドリさんのブログ

鴨汁そばとボジョレーヌーヴォー

Photo

パリの写真をご紹介する予定でしたが、ちょっと予定変更・・・

先日ご紹介しました、「厳選した素材で作る、

ボジョレーヌーヴォーとの相性が抜群な鴨汁そば 」、

ブログで告知しただけにも関わらず、たくさんのお客様が鴨汁そばのためにわざわざ足を運んでくださり、とても嬉しい2日間になりました。

だいぶ時間が経ってしまいましたが、お越し頂いた皆様、本当にどうもありがとうございました。

「ワイン屋でそば?」

皆様おそらく、なんとなくそんな気持ちを持ちながらも足を運んで頂いたかと思うのですが・・・・

実は私も試作品を食べさせてもらってみてビックリ。

なんと、予想以上だったのでした(笑)

鴨のだしと、鴨から出る良質な油分が溶け出した熱々のつゆに、冷たいおそばをつけて食べると、

ちょうどよくじゅわ~っと鴨の油とだしが絡んで、・・・おいしい!

それを洗うような感じでヌーボーを口に含むと、ふわっとぶどうのフレッシュな香りが引きたって、ほんとだ、すごい!

もう、その後はぐびぐび。ヌーヴォー止まりませんでした。

この鴨汁そばを食べるまで実は、、「ワインとそば、けっこう合うんだよね。」程度にしか思っていなかった私ですが、、料理とワインを合わせるってこういう事なんだって改めて、身の引き締まる思いがしました。

ボジョレーヌーヴォーに鴨汁そばを合わせたのは理由があったようです。

ヌーヴォーはもともと、あっさりしたお肉との相性はいいとされていて、鴨肉に合うと一般的には言われています。しかしうちのシェフは

「お肉そのものよりは、間接的にお肉の味がするもののほうが、軽くて繊細なヌーヴォーには合うと思う」という考えのようです。

そこで考えたのが、鴨汁そばでした。

鴨汁そばは、冷たい日本そばを熱々の鴨汁に付けて食べるそばです。

告知で少し触れていた「ショーフロア」というのが、熱い(ショウ)ものと冷たい(フロア)ものを合わせるというフランス料理の手法で、久しぶりにきちんとショウフロアを表現したかったというのがあったようです。

手法と言っても、ただ単に温かいものと冷たいものを合わせて食べればいいというものではなく、それを

「あ、これはおいしい」と思わせるものにまでもっていくには、それなりの技術が必要だという事くらいは、私もちょっとは勉強して知っていたのですが・・・。

今回初めてその極意に触れたような気がしました。

鴨汁がちゃんと熱々で、そばが冷たくないと鴨の油がちゃんと絡まないし、つゆの濃さもこれ以上でもこれ以下でもそばの味がぼやけてしまう。

鴨肉を選ぶのにすごく時間がかかっていた事も、肉の処理やつゆのだしをとっている時に話しかけると軽く無視された(笑)事も、鴨汁を入れる器の温め方が甘くて「もう一回温めて」と返された事も、あぁ、なるほど、そっかぁと、一連の作業の流れを納得させてくれる味がしました。

今回鴨汁そばを召し上がって頂いた方は、これを読んでなんとなく腑に落ちて頂けるのではないでしょうか。

そう確信できる一品でした。

専門料理というものに触れると、時々こういう感動がありますね。

これからももっともっとおいしいものにたくさん出会っていきたいと思いました。

「ノリでそば打とうと思ったのかと思った」と言うと、

「違うよ!」

と言われました。てへ。


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