鴨汁そばとボジョレーヌーヴォー
パリの写真をご紹介する予定でしたが、ちょっと予定変更・・・
先日ご紹介しました、「厳選した素材で作る、ボジョレーヌーヴォーとの相性が抜群な鴨汁そば 」、
ブログで告知しただけにも関わらず、たくさんのお客様が鴨汁そばのためにわざわざ足を運んでくださり、とても嬉しい2日間になりました。
だいぶ時間が経ってしまいましたが、お越し頂いた皆様、本当にどうもありがとうございました。
「ワイン屋でそば?」
皆様おそらく、なんとなくそんな気持ちを持ちながらも足を運んで頂いたかと思うのですが・・・・
実は私も試作品を食べさせてもらってみてビックリ。
なんと、予想以上だったのでした(笑)
鴨のだしと、鴨から出る良質な油分が溶け出した熱々のつゆに、冷たいおそばをつけて食べると、ちょうどよくじゅわ~っと鴨の油とだしが絡んで、・・・おいしい!
それを洗うような感じでヌーボーを口に含むと、ふわっとぶどうのフレッシュな香りが引きたって、ほんとだ、すごい!
もう、その後はぐびぐび。ヌーヴォー止まりませんでした。
この鴨汁そばを食べるまで実は、、「ワインとそば、けっこう合うんだよね。」程度にしか思っていなかった私ですが、、料理とワインを合わせるってこういう事なんだって改めて、身の引き締まる思いがしました。
ボジョレーヌーヴォーに鴨汁そばを合わせたのは理由があったようです。
ヌーヴォーはもともと、あっさりしたお肉との相性はいいとされていて、鴨肉に合うと一般的には言われています。しかしうちのシェフは「お肉そのものよりは、間接的にお肉の味がするもののほうが、軽くて繊細なヌーヴォーには合うと思う」という考えのようです。
そこで考えたのが、鴨汁そばでした。
鴨汁そばは、冷たい日本そばを熱々の鴨汁に付けて食べるそばです。
告知で少し触れていた「ショーフロア」というのが、熱い(ショウ)ものと冷たい(フロア)ものを合わせるというフランス料理の手法で、久しぶりにきちんとショウフロアを表現したかったというのがあったようです。
手法と言っても、ただ単に温かいものと冷たいものを合わせて食べればいいというものではなく、それを「あ、これはおいしい」と思わせるものにまでもっていくには、それなりの技術が必要だという事くらいは、私もちょっとは勉強して知っていたのですが・・・。
今回初めてその極意に触れたような気がしました。
鴨汁がちゃんと熱々で、そばが冷たくないと鴨の油がちゃんと絡まないし、つゆの濃さもこれ以上でもこれ以下でもそばの味がぼやけてしまう。
鴨肉を選ぶのにすごく時間がかかっていた事も、肉の処理やつゆのだしをとっている時に話しかけると軽く無視された(笑)事も、鴨汁を入れる器の温め方が甘くて「もう一回温めて」と返された事も、あぁ、なるほど、そっかぁと、一連の作業の流れを納得させてくれる味がしました。
今回鴨汁そばを召し上がって頂いた方は、これを読んでなんとなく腑に落ちて頂けるのではないでしょうか。
そう確信できる一品でした。
専門料理というものに触れると、時々こういう感動がありますね。
これからももっともっとおいしいものにたくさん出会っていきたいと思いました。
「ノリでそば打とうと思ったのかと思った」と言うと、
「違うよ!」
と言われました。てへ。