Potential of aromatherapy

aromatherapy and golf and movie

夏の思い出

2005年07月22日 | 雑記
昨日、美味しい珈琲豆を買いました。
兼ねてより行ってみようと思っていた、豆屋さんです。
車どおりの激しい道路沿いにあり、躊躇していましたが、やっと行きました。

何故、思い出したのかと言うと・・・・時は数年前に遡ります。

暑い夏は越せそうもないと、Nさんは言われていました。
戦争後だったか、リウマチに侵され(男性なのに)、徐々に進行し、寝たきりとなっていました。

神楽坂の花柳界の家に生まれ、華やかな中で育ったと聞いていました。
都内で喫茶店を開き、Nさんの作るオムレツは、フライパンの上でぷりぷりに焼き上がったそうです。

ところが、いよいよフライパンを持つことができなくなり、店をたたみ、別宅として使用していた
M市の家に引っ越して来ました。

私はNさんの入浴介助や、環境整備のために訪問看護をしていました。
いつも優しく、奥様も素敵で、美味しい珈琲を入れて下さいました。さすが入れ方も違います。

Nさんは80歳を超えていましたし、奥様も近い年齢でした。
子供がいないため、二人っきりです。

教養もあり、Nさんは絵を描き、奥様は歌を詠んでいました。
その頃から月に興味があったので、私をかぐや姫にしたてた歌を詠んでくださった事もありました。

長く厳しい介護生活も、そろそろ終盤を迎え、病院に入ることになりました。
このような方々にとって、月日は残酷ですね。

Nさんが入院中は、奥様を訪問していました。血圧の管理でした。
話しているうちに、夫の最期は家でという話になりました。
当然のことでしょうけれども、入院生活は快適とは言い難く、是非ということでした。
私にも会いたいと言っているという、嬉しい言葉も頂きました。

さて、帰宅後笑顔も見られ、楽しいひと時を過ごし、奥様の介護の限界に達したとき、
眠るように亡くなりました。暑い夏、体だけが冷たくなりました。

奥様が、その後私に1枚の絵を下さいました。

今も奥様はひとりで暮らしています。
今でも静かに暮らす二人の姿が、思い出されます。
病気が進行すること、老いることの悲しさや、切なさをかみ締めましたが、二人の深い愛情も感じました。

珈琲は絶品でした。
「私のブレンドがあるから、お店で聞いて御覧なさい・・・・・」
そう、それを買いましたよ。