利休にたずねよ山本 兼一PHP研究所このアイテムの詳細を見る |
作者は、利休を美の探求者として捉え、ものを見る目の確かさと人の心を読み取る術を讃えています。
人の言動からその人の内面を汲み取り、それに対する回答を言葉ではなく、茶の湯の道具や所作表現等を用いて、相手に気づかせると云う明晰な頭脳と機知に富んだ答を用意できる利休なのですが、自分の事になると頑固一徹を貫き通し、死をも甘んじて受け入れてしまうところが、なんとも人の業を感じさせられました。
人は人、自分は自分なんで自分の価値観を大事にすれば良いと思うんですが、それでも人に引きずられてしまう人もいる。
その引きずられてしまう人を認めるのも認めないのも、それぞれなんですが、それを認められない人もいる。
ということで、面白い本でした。
この本、やたら難しい漢字が出て来る。
始めて登場してくる漢字には、ルビが振ってあるんですが、二度目以降のものには無いので前に戻って読み返さなければ解らないと云う厄介な漢字が多数登場なさいますよ。
躙口(にじりぐち)、丹(に)、乾坤(けんこん)、蘇芳(すおう)、短檠(たんけい)、偈頌(げしゅ)、はなだ色、等の茶の湯の用語や他にも意味の解らない漢字・語句も大勢様いらっしゃいまして、広辞苑が手放せませんでしたな。
躙口(にじりぐち)茶室に入る小さい入口のことですね。言葉と意味は知っていたけど読めませんでした。
丹(に)赤土、赤土色。これが色を表しているとは知りませんでした。
乾坤(けんこん)天地・陰陽・乾(いぬい北西)未申(ひつじさる南西)など二つで一組をなすものの順序を表す語。乾坤一擲(けんこんいってき)等に使うんですね。漢字は書けません。(^_^;)
蘇芳(すおう)マメ科(クロンキスト体系の分類ではジャケツイバラ科)の小高木。インド、マレー諸島原産。赤色の原料植物。蘇芳色:黒みを帯びた赤色。赤い花は見たことがあるな。
短檠(たんけい)扁平丸形の反射板を取り付けた昔の丈の低い灯火台。
偈頌(げしゅ)七言絶句や五言絶句などを詩的に用いて、仏の教えや仏・菩薩の徳や行いをたたえ、教理をまとめたもの。
はなだ色:明度が高い薄青色。露草の色。
全く字も意味も解らない漢字に四苦八苦させられましたが、物語は面白かったです。