4時起床
緩い右カーブを抜けた途端、対向車線に横倒しになっている軽トラックが目に入ってきた。
車のスピードを落とし、ゆっくり近付いてみると、恐らく70歳くらいだろうと思しきおっさんと若い兄ちゃんが立っていた。
「手伝おうか?」
と、声を掛けると、若いにいちゃんが、携帯電話を握りしめたまま、
「お願いします」
と、応えた。
車を、道路脇に寄せて、ふたりに近付いて行くと、じいさんの方の右肘の辺りに少し血が滲んでいた。
他の車と衝突した様子もないから単独事故なんだろう。
横倒しになった軽トラックは、どうやらこの、じいさんが運転していたらしい。
若い兄ちゃんは、ロー○ンの上着を着ていた。
コンビニのアルバイトかな。
仕事の帰りか、これから出勤するのか・・・、そんなことは今はどうでもいいことだな。
兄ちゃんはケータイで警察に事故を通報しているようだった。
「事故ったとこをみたの?」
「いえ、見た時にはもうひっくり返ってました」
「ふ~ん、そうなんだ。取り敢えず、この車起こそうよ」
いつもの癖だ。
もう、この場を仕切りだしてる。
「大丈夫だよ、これなら三人で押せば起こせるから」
それっ!
もうちょい。
そっれ~!!
ドスン! ガシャン!!
軽トラックは軽くバウンドして元に戻った。
ガシャン!!と云う音は、横転したときに割れたんだろう。右側の窓ガラスの破片が路上のアスファルトの上に落ちた音だった。
軽トラックを押して、道路わきに寄せた。
「怪我は大した事なさそうだし、俺は仕事があるから、もう行くからな」
若い兄ちゃんは、警察が到着するまで付き合うらしい。
他の車は、事故車を迷惑そうに眺めて通り過ぎるだけなのに、この兄ちゃんは随分親切な若者だな。
等と、感心しつつ、その場を後にした。
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