食品メーカー勤務の晃一は、会社のリストラ策の影響で地方支店へと転勤になる。娘の梓美は学校でいじめの対象にされ、弟の智也は喘息持ち、認知症の始まった祖母澄代をかかえ、不満だらけの妻史子。
こんな一家が、晃一の憧れだった古民家で暮らすことになる。
妻の機嫌を取りながら、新しい職場でも懸命に働き成績を上げようとする晃一。
田舎暮らしに不満を感じていた妻や、子供たちもやがて土地の人々との関わりの中で徐々に田舎暮らしと、この古民家に馴染んでゆく。
そして、家族の絆を深めるきっかけを作るのが、この古民家に住み着いていると地元の人々が云う、座敷ぼっこ、座敷わらしである。
この物語の中では、隣家の米子ばあさんの姉はるさん(97歳)のはなしとして、座敷わらしは間引きされた子供の魂だと語られている。
現代でも、間引きが行われていて、時々子供や幼児の死体・遺骸が発見されたと云うニュースなどが報道される。
また、駐車場の車の中に子供が置き去りにされて熱中症でなくなったとかいうのも、私は現代の間引きではないかと常日頃思っている。
この家族の中で、自分のことばかり考えていた人々が、相手のことを思いやる気持ちになった時に、事態が好転して行きます。
相手の役に立ちたい。相手に心配させたくない。相手を大事にしたい。
こんな相手を思いやる心が、家族の絆を強くしてゆく。
智也と勝っちゃん、梓美とガンコ達、澄代と米子さん、史子と聡子さん。
それぞれの人々の出会いと別れが、それぞれの思いと心の成長を生み、新たな出発を促している。
私も出会いを大切にし、別れを悲しまず新たな出発と捉えよう。
心に余裕を持っていれば人への思いやりも生まれるかも、等と思う今日此の頃、皆様如何お過ごしでしょうか。