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製薬×ICT 夢の治療追求

2016年03月27日 | 医薬
【医 出づる国】明日を拓く(3)飲めば服薬記録
製薬×ICT 夢の治療追求
日本経済新聞 朝刊 1面 (1ページ)
2016/3/27 3:30

 薬は飲む時間や量が決まっているが、守らない患者もいる。もし薬が「飲まれた」ことを認識し、医師に知らせることができれば、飲み忘れや飲み残しは減るに違いない。そんな夢のような話が現実になる日が近づいている。



 大塚製薬は米ベンチャーと組み、統合失調症治療の錠剤「エビリファイ」に1ミリ四方の微小なセンサーを埋め込んだ。薬が胃の中で溶けると、センサーが胃酸と反応。患者の体に貼ったパッチが記録し、データを自動で送る。患者がどこにいても、服用状況が分かる仕組みだ。センサーは便とともに排せつされるので、体には影響がない。

 昨年9月、米食品医薬品局(FDA)に製造・販売を申請しており、来月の承認を見込む。日本でのスケジュールは決まっていないが、大塚製薬医薬品事業企画部の伴真紀子さんは「ほかにも応用できる」と期待を寄せる。

「新薬以外」探る
 薬や医療機器の進歩は著しい。治らなかった病気が治療できるようになり、寿命もどんどん延びた。だが、進化すればするほど、次のハードルは高くなり、新薬の開発には今や「10年以上、約2800億円かかる」ともいわれる。

 こうした中、メーカー側はこぞってICT(情報通信技術)分野との連携に乗り出した。薬の効果ではなく、機能を追求することにその狙いがある。

 「血糖値を測りデータを送るコンタクトレンズ」「服薬状況をスマートフォンに送信する慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療薬の吸入器」。世界では、こうした機器の開発も進む。

再生医療、身近に新たなアプローチはほかにもある。生きた細胞を使う再生医療。これは日本に有利かもしれない。

 東京都在住の平岡麗美さん(23)は心臓が正しく働かない心筋症を患い「近くのスーパーに買い物に行くのがやっとだった」。薬での回復は望めなかったが、特殊なシートを心臓に移植したところ、症状が改善し「日常生活に支障がなくなった」と喜ぶ。

 このシートは大阪大の澤芳樹教授が再生医療で生み出した。患者の太ももから採った筋肉細胞を培養してシート状にした。シートの細胞が出す物質が作用し、血管が新しくできるのを促したり、硬くなった心筋を軟らかくしたりして、心機能を改善する仕組みだ。

 国は再生医療で世界に先行しようと、医薬品医療機器法を14年11月に施行し、早期実用化を後押しする。従来は申請から承認まで3年程度かかっていたが、条件や期限をつけることで、1年程度に短縮した。

 澤教授のシートは7例の臨床試験(治験)で安全性を確認。「今後も有効性のデータを集める」との条件付きで発売が許可された。医療機器大手テルモが今年春、発売する予定で、新宅祐太郎社長は「5~10年後に10億~20億円規模の事業に育てたい」と話す。

 科学や技術を生かし、次はどのような薬や医療機器が誕生するのか。国民は期待し、患者は待っている。