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iPhone 7「分解の儀」 職人の技を見た

2016年09月24日 | 企業研究
iPhone 7「分解の儀」職人の技を見た
2016/9/24 3:30 日経

 iPhone 7/7 Plusが発売された2016年9月16日、我々は東京都内某所に集結していた。我々といっても実は、記者は見学のために同席させてもらっただけである。主役は米iFixit(アイフィックスイット)のメンバーだ。

 iFixitはスマートフォンの修理ツールや修理部品などを販売している米国のベンチャー企業。iPhoneの新機種が出ると必ず分解してその様子を公開することでも知られている。日本では、彼らの本拠地である米国カリフォルニアよりも、時差の関係で16時間早くiPhoneを入手できる。だれよりも早くiPhone新機種を入手・分解するために日本にやってきた。

 それに協力したのが、日経テクノロジーオンライン/日経エレクトロニクス編集。彼ら自身も独自の分析のためにiPhoneを分解する。そこでiFixitの分も含めて新製品を購入して、スタジオを提供することになったのだ。記者はそれを見学しにいったのだった。

 アップルストアで購入したiPhone 7/7 Plus、そしてApple Watchがスタジオに到着したのは午前9時すぎ。今回、iFixitの「分解職人」は2人来日していたため、さっそくiPhone 7 PlusとApple Watchに分かれて分解が始まった(Apple Watchの分解の様子は別記事でお届けする予定)。iPhone 7 Plusを担当するのは「イージー・ライター」というユニークな肩書を付けているジェフ・ソヴァネン氏だ。



■分解・修理用に独自のツールを用意

 分解に使うのがiFixit独自のツールキット。64種類のドライバーなどが含まれていて69.95米ドルで販売している。もう一つ、特にスマートフォンの分解に威力を発揮するのがiSclackというツール(24.95米ドル)。吸盤をスマートフォンの両側に貼り付けて、傷をつけずに剥がすのだ。ちなみに、きょう体をこじ開けるのに使うツールも、傷を付けないようにプラスチック製になっている。





 ジェフは、さすがに手慣れたもので、特に試行錯誤することもなく、きょう体を開けていく。「今買ったばかりの最新機種をこんなにしてもったいない」と、素人の記者は思ってしまったのだが、もちろんそんな感慨もなく、淡々と作業は進行する。

 作業は手早いが、それだけでなく丁寧だ。例えば、外したねじは、ボードの上にどこから外したかを記録して置いていく。彼らが着ているTシャツの背中には「テアダウン(tear down=破壊)」と書いてあるが、彼らの目的は、修理のための情報を得ること。「今日は調べるのが目的なので、後から組み立て直すことはしないが、本来は分解したら、組み立て直せる」(「ガイドキーパー」のサマンサ・ライオンハート氏)という。



 そして、作業が一つ進むごとに、写真を撮っていく。部品をどこから外したか分かるように、外したものを再びきょう体に入れて撮る。分解そのものよりも、撮影の方が時間がかかるくらいじっくりと時間をかける。カメラはLANケーブルでMacBookに接続されており、1枚写すごとにサマンサが写真を細かくチェックする。ピントが全体にあっているか、写したい部分がちゃんとよく見えているか……。ちょっとでも良くないところがあれば撮り直しだ。「これくらい撮れていれば十分じゃないの」と思うレベルの写真がほとんどだが、サマンサは容赦しない。







 そして、OKが出た写真はリアルタイムで彼らのサイトにアップされていく。どんどんコメントも書き込まれ、臨場感あるやり取りが交わされる。

■バッテリー容量は6 Plusに近い2900mAh

 実際に分解する様子を紹介しよう。

 まずは、底面のねじをはずし、ディスプレーと本体との間のわずかなすきまに器具をねじ込んでいく。iSclackを使って両面をひっぱりながら、少しずつ隙間を広げていく。











 ついにiPhone 7 Plusの中身がお目見えだ。右側がディスプレー、左側が本体である。本体の中央に広がるアップルマークが付いた大きな板がバッテリーだ。容積や重さにバッテリーが大きな要素を占めるのがよく分かる。また、上端に白いゴムのようなものがちょっと見えるのが分かるだろうか。これが今回防水のために加えられたシールドと思われる。下の方にある黒い線状のものも同じだ。本体の縁、全周にこのようなシールドらしきものが付いていた。

 その下にあるのがタプティック・エンジンと呼ばれる部品。iPhone 6s/6s Plusから採用されたもので、「3D Touch」の機能で画面を押したときに、実際には動いていないのに押し込んだような感触を与えるのに使われている。これ自体が振動する一種のモーターだそうだ。iPhone 6s/6s Plusは、これを入れたことで、バッテリーの容量が少し減ったというが、なるほど、バッテリーの1割くらいの結構なサイズである。

 バッテリーには容量が2900mAhと書いてある。iPhone 6 Plusのバッテリー容量は2915mAh、同6s Plusは2750mAhだったので、今回は6 Plusに近づいた。おそらくイヤホン・ジャックがなくなった分タプティック・エンジンを下に配置できるようになり、バッテリーの面積が広くなったのだろう。

 この後、バッテリーをはずすのだが、これが意外と面倒。チューインガムのような、よく伸びる接着剤できょう体に留められているのだ。バッテリーを折り曲げずに取り外すには、この接着剤を地道に引っ張ってはずしていくしかない。特別な技術や道具が要るわけではないが、手間がかかる作業だ。



■iPhoneの心臓部、ロジックボード

 バッテリーの横に配置されているのがロジックボード。iPhone 7 PlusのCPUであるA10プロセッサーなどがあるiPhoneの心臓部だ。黒い布のようなものが表面を覆っているので、これも丹念にはずしていく。




 本体側の一番下にあるのはLightningコネクターとスピーカー。スピーカーはLightningコネクターの左右2カ所から音が出るが、これはステレオではなく、下側のスピーカーは一つしかない。iPhone 7/7 Plusはステレオ・スピーカーに対応しているが、もう一つのスピーカーは、通常通話に使う、上部にあるものだ。iPhoneを横置きしたときに、左右から音が出る形になる。



■デュアル・カメラをこじ開ける

 本体の右上にはカメラのモジュールがある。iPhone 7 Plusの目玉ともいえる、デュアル・カメラがここに入っている。



 カメラは難物で、金属ケースの中に入っており、これはピンセットなどでこじ開けるしかないようだった。出てきたカメラをさらに分解していくと、レンズとイメージ・センサーに分かれる。望遠ではない方のレンズには、マグネットが付いていて、すぐにとなりとくっついてしまう。マグネットは光学式の手ぶれ防止に使っているようだ。


カメラをさらに分解する

 カメラの横には、もう一つ今回の目玉であるFeliCaに対応するためのNFCのアンテナと思われる部品があった。



■ディスプレー側にはスピーカーやホームボタンなど

 次に、ディスプレー側を見ていこう。とはいえ、こちらはほとんどが液晶に覆われているので、上と下に少しずつ部品があるくらいだ。

 上にはフロント・カメラとスピーカーがある。前述のように、スピーカーは通話のときだけでなく、ステレオ音楽再生にも使用する。フロント・カメラはメーンのカメラと比べるとかなり簡素な作りだ。




 ディスプレーの下にはホームボタンがある。ホームボタンは今回大きく変わったところで、メカニカルなボタンから接触式になった。ボタンを押したように感じさせるのは、前述のタプティック・エンジンを使う。これも防水に寄与しているはずだ。



■防水・防じんでさまざまな工夫

 最後に、はずした主な部品を並べて、iPhone 7 Plusの分解は完了した。午前9時過ぎから約6時間の作業だった。もともと「1機種5時間くらいかかる」と聞いていたので、ほぼ予定通りと言っていいだろう。おそらく、ただ分解するだけなら2時間くらいでできたと思う。分解しては撮影、の繰り返しだから大変である。さすがのジェフも最後は疲れ切った表情だった。



 iPhone 7 Plusの中身は、おおむねこれまでと同じだそうだが、防水・防じんを実現するために、スイッチ類などすべてにシールドが付いていたのが大きな違いだという。デュアル・カメラやホームボタンも様変わりした部品だ。



 iFixitでは分解の後、分析班が搭載している部品の判別などの作業に取りかかる。今回は分解職人の技を、堪能させてもらった。

(デジタル編集センター 松原敦)

長期金利0% 手探り マイナス0.055%に低下、上昇観測乏しく 

2016年09月24日 | 金融
長期金利0% 手探り
マイナス0.055%に低下、上昇観測乏しく 日銀、当面は静観
2016/9/24 3:30 日経朝刊

 日銀が新しい金融緩和の枠組みを導入したことを受け、金融市場では日銀の姿勢を試す取引が広がった。長期金利をゼロ%程度に誘導することを決めたが、市場は「多少のマイナスは容認する」とみて長期金利が低下。先進国では異例の長期金利の誘導策を巡り、日銀と市場の手探りの対応が当面続きそうだ。(関連記事を経済面に)



 日銀は黒田東彦総裁の下で異次元緩和(総合2面きょうのことば)と呼ばれる大胆な金融緩和を進めてきた。これまで市場に流す資金の量を増やす政策が柱だったが、新しい枠組みでは長短の金利を調節する政策(イールドカーブ・コントロール)に転換。新たに長期金利をゼロ%に誘導する方針を打ち出した。

 23日の債券市場では長期金利の指標になる新発10年物国債利回りがマイナス0.055%まで低下(価格は上昇)。21日に日銀がゼロ%誘導を決めた直後には一時、約半年ぶりにプラスに浮上したが、その後は金利が低下する展開になった。背景には「ゼロ%に近いマイナスなら日銀が容認する」(メリルリンチ日本証券の大崎秀一氏)との見立てがある。

 日銀は目標を量から金利に変えたが、国債を年80兆円ずつ買い増す方針は当面続ける。野村証券の美和卓氏は「緩和縮小を連想させる国債減額には動けず、金利は低下しやすい」とみる。

 日銀は長期金利の低下について、当面は市場の動向を注視する。これまでの国債の大量購入で発行残高の4割超を保有しており、長期金利への影響力が強い。ただ今後も下げ止まらなければ、市場からの1回あたりの国債購入額を減らしたり、購入する国債の利回りに下限を設けたりして金利低下を抑える考えだ。

 長期金利をゼロ%に近づける切り札も用意している。特定の利回りを指定して国債を買う「指し値オペ」だ。だが市場機能を軽視した制度に取られかねず、市場では「あくまで金利が急変動した場合の緊急策」(国内証券)とみている。

 一方、海外投資家の影響が大きい為替市場では長期金利の誘導策が国債購入の減額をにらんだ動きとの見方も浮上した。「ステルス・テーパリング(隠れた国債購入の削減)への第一歩」。ゴールドマン・サックス証券はリポートでこう指摘。23日の東京市場では緩和縮小の思惑から金融政策決定会合前よりも円高の1ドル=100円台を中心に取引されるなど円高圧力が収まっていない。

 21日に米連邦準備理事会(FRB)が利上げを緩やかなペースで進める姿勢を示したことも円高要因になっている。米大統領選を巡る不透明感もあり、市場では「今後は円が買われやすい」(みずほ銀行の唐鎌大輔氏)との見方が多い。

 26日には黒田総裁が大阪市内で講演する。具体的な長期金利の誘導策の進め方が見えてくるのはこれからで、日銀は物価2%目標の達成に向けて長期戦の構えを示す。市場が「日銀の姿勢を見極めるまでは積極的に取引しづらい」と受け止めていることも債券・為替相場の不透明感を高める一因になっている。