⭐️⭐️浅野まことのここだけの話⭐️⭐️

浅野まことがここだだけの話をブログで大公開!!

三度やったらおしまいだ シャープ改革

2016年11月11日 | 企業研究
3度目やったら終わりだ シャープ 戴改革の行方(ルポ迫真)
2016/11/11 3:30 日経

 「この先どうなるのか不安」「全員が福山に移れるのか。結果的に人を減らすためでは」――。2日、電子部品を生産するシャープの三原工場(広島県三原市)で複数の男性社員が険しい表情で語った。その前日の1日、社長の戴正呉(65)が三原工場の閉鎖と、福山工場(広島県福山市)への集約を検討していると明言したからだ。

 シャープは経営危機が続いても主力工場を閉鎖していない。従業員が約300人の三原工場は長年の懸案。台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入り、具体化に向け動きだした。戴は国内拠点の閉鎖・縮小の検討対象を「全部ですね」と話す。

 鴻海の戦略は明確だ。シャープは商品の開発や販売に経営資源を集中させ、鴻海が生産・調達で支援する。液晶テレビやスマートフォン(スマホ)などで共同開発や生産委託が検討され、シャープの国内工場で生産する必要性は薄れていく。

 戴はシャープ買収の決定後に世界で7000人規模の人員削減を示唆したが具体的な検討は進んでいない。戴はこう言う。「なんで日本では人員削減のことばかり聞かれるんだ。私は削減の話は一度もしてない。人員を最適にしたいだけ」「人件費はコストの10%もない。経営再建では残りの90%が大事だ」

 ただ、人材流出には歯止めがかからない。多くの幹部がシャープを去り、今秋には5人が日本電産に移った。執行役員級では液晶事業でトップも務めた和田正一(57)のほか通信事業の本部長として人工知能(AI)で対話できるスマホを広げた川口登史(54)が辞めた。

 残る3人は事業部長級。液晶パネル担当の杉本孝行(53)と液晶テレビの道川直幸(57)、成長の柱とする「IoT」に関わってきた辰巳剛司(48)だ。ある幹部はこう嘆く。「役員クラスならともかく、現場に近い事業部長クラスまで辞めている。次を担う世代がいなくなる」

 戴が掲げる「信賞必罰」の人事制度や工場再編に伴う配置転換などで、じわじわと人員整理が進むとの不安が社内で広がる。業績不振が続けば、戴の前の2人の社長、奥田隆司(63)と高橋興三(62)が3000人規模の希望退職を2度実施したような人員削減も否定できない。

 労働組合幹部は言う。「もし3度目の希望退職をやったら、会社は終わりだろうな」(敬称略)