#147 ルース・ブラウン「Mambo Baby」(The Platinum Collection/Rhino)
ルース・ブラウン 、54年のヒット。マッコイ=シングルトンの作品。
ルース・ブラウンといえば、「R&Bの女王」と呼ばれることが多いが、事実、その名にふさわしい、輝かしい実績をもったシンガーだ。
28年、ルース・アルストン・ウェストンとしてバージニア州ポーツマスに生まれる。最初は教会の聖歌隊でゴスペルを歌っていたが、10代半ばでクラブなどで歌うプロ歌手になる。45年、故郷を離れてトランペット奏者ジミー・ブラウンと結婚、ブラウン姓に。ワシントンDCで活動していたラッキー・ミランダ楽団を経て、キャブ・キャロウェイのもとで才能を認められる。
アトランティック・レコードの創始者、アーメット・アーティガンと契約をかわし、49年「So Long」でデビュ-、これがたちまちヒットとなる。翌年、「Teardrops From My Eyes」も連続ヒット。これにより、ルース・ブラウンは人気歌手としての地位を確たるものとした。
以来、55年までに16曲がチャートイン、5曲は1位をゲット。アトランティックの稼ぎ頭として、もっとも勢いのあった時期である。同社のビルは「ルース御殿」と呼ばれていたくらい、彼女の人気は絶大だった。
きょうの「Mambo Baby」は、まさにその頃の代表作。タイトル通り、軽快なマンボのリズムにのせて、ルースの歯切れのいい歌声が、聴き手の耳を心地よく刺激するナンバーだ。
ルース自身、もともとジャズ畑の歌手といえるし、影響を受けたのもサラ・ヴォーン、ビリー・ホリデイ、ダイナ・ワシントンといったジャズ色の強い歌手たちだ。
そのためか、リズム&ブルースといっても、リキんだシャウトはあまり使わず、わりと抑えめで歌詞も聴き取りやすい歌いかたをしており、これが一般リスナーに受けたんじゃないかな。
ブルースの濃い原液を少し希釈したかたちで提供、ポップ・ミュージックとして聴きやすいものにしているのだ。
彼女以後、さまざまなR&B系女性シンガーが登場してくるが、ルースは多くの後輩たちのお手本的存在となった。たとえば、「ソウルの女王」と呼ばれることになるアレサ・フランクリンをはじめ、カーラ・トーマス、シャーリー・ブラウン、アン・ピーブルスらだ。
いわば、今日に続く女性R&Bシンガーの系譜の、開祖的な存在。
人種音楽であったブルースが、人種の壁を超えた人気音楽、R&Bにリニューアルしていく過程において、彼女のジャズ、あるいはポップ的センスが非常に重要なはたらきをしたのだ。
その、のびやかな中音域をフルに生かした歌声は、いま聴いてもとても魅力的だと思う。
まずはちょっと体でも動かしつつ、「ミス・リズム(ルースの呼び名のひとつ)」の世界を楽しんでみてちょ。
ルース・ブラウン 、54年のヒット。マッコイ=シングルトンの作品。
ルース・ブラウンといえば、「R&Bの女王」と呼ばれることが多いが、事実、その名にふさわしい、輝かしい実績をもったシンガーだ。
28年、ルース・アルストン・ウェストンとしてバージニア州ポーツマスに生まれる。最初は教会の聖歌隊でゴスペルを歌っていたが、10代半ばでクラブなどで歌うプロ歌手になる。45年、故郷を離れてトランペット奏者ジミー・ブラウンと結婚、ブラウン姓に。ワシントンDCで活動していたラッキー・ミランダ楽団を経て、キャブ・キャロウェイのもとで才能を認められる。
アトランティック・レコードの創始者、アーメット・アーティガンと契約をかわし、49年「So Long」でデビュ-、これがたちまちヒットとなる。翌年、「Teardrops From My Eyes」も連続ヒット。これにより、ルース・ブラウンは人気歌手としての地位を確たるものとした。
以来、55年までに16曲がチャートイン、5曲は1位をゲット。アトランティックの稼ぎ頭として、もっとも勢いのあった時期である。同社のビルは「ルース御殿」と呼ばれていたくらい、彼女の人気は絶大だった。
きょうの「Mambo Baby」は、まさにその頃の代表作。タイトル通り、軽快なマンボのリズムにのせて、ルースの歯切れのいい歌声が、聴き手の耳を心地よく刺激するナンバーだ。
ルース自身、もともとジャズ畑の歌手といえるし、影響を受けたのもサラ・ヴォーン、ビリー・ホリデイ、ダイナ・ワシントンといったジャズ色の強い歌手たちだ。
そのためか、リズム&ブルースといっても、リキんだシャウトはあまり使わず、わりと抑えめで歌詞も聴き取りやすい歌いかたをしており、これが一般リスナーに受けたんじゃないかな。
ブルースの濃い原液を少し希釈したかたちで提供、ポップ・ミュージックとして聴きやすいものにしているのだ。
彼女以後、さまざまなR&B系女性シンガーが登場してくるが、ルースは多くの後輩たちのお手本的存在となった。たとえば、「ソウルの女王」と呼ばれることになるアレサ・フランクリンをはじめ、カーラ・トーマス、シャーリー・ブラウン、アン・ピーブルスらだ。
いわば、今日に続く女性R&Bシンガーの系譜の、開祖的な存在。
人種音楽であったブルースが、人種の壁を超えた人気音楽、R&Bにリニューアルしていく過程において、彼女のジャズ、あるいはポップ的センスが非常に重要なはたらきをしたのだ。
その、のびやかな中音域をフルに生かした歌声は、いま聴いてもとても魅力的だと思う。
まずはちょっと体でも動かしつつ、「ミス・リズム(ルースの呼び名のひとつ)」の世界を楽しんでみてちょ。