#266 エアロスミス「Never Loved A Girl」(Honkin' On Bobo/Columbia)
エアロスミス、2004年のアルバムより。スティーブン・タイラー、ジョー・ペリー、ジャック・ダグラスによるプロデュース。
タイトルは「Never Loved A Girl」となっているが、一聴してすぐわかるだろう。これはアレサ・フランクリンの67年のヒット曲「I Never Loved A Man(The Way I Love You)」の歌詞を変えたカバーバージョンなんである。
作曲はソングライターのロニー・シャノン。当時フランクリンの夫だったテッド・ホワイトに依頼されて書いた曲である。
邦題は「貴方だけを愛して」。その通り、貴方ほど愛したひとはいない、というディープなラブソングである。原題の前半だけで判断すると、違う意味に誤解しやすいのでご注意を。
R&Bチャートで1位、総合チャートでも9位と大ヒットしたこの曲を、エアロはどのようにカバーしているのか、まずは聴いてみよう。
タイラーの息を吸い込むような叫び声から始まるこの曲、のっけから激しいシャウトの連続だ。バラードにしちゃリキ入れ過ぎちゃいますか、ともいいたくなるけど、いいのだ、これがエアロ流。
オリジナルのバンドメンバー5名に加えて、バックにはわざわざご本家のメンフィス・ホーンまで招んでいる。やはり、オリジナルのあの響きを再現するには彼らしかない、とエアロ側は判断したんだろうね。
ふだんはバリバリのハードロック・スタイルで弾きまくるペリーとウィットフォードも、ここではやけにシブく、ブルーズィなギターを奏でている。あまり目立たないけど、後ろのほうで聴けるピアノはタイラーが弾いていたりする。これもいいアクセントだ。
嘘つきでどうしようもない女だけど、お前ほど愛した女もいない、という切ない気持ちを、カッコつけることなく、ここまで直球一本勝負で聴かせてくれる白人シンガーも、そういないだろう。そう、タイラーも、また稀代のソウル・マンなのだ。
しゃがれた声でわめきまくる彼の歌は、決してキレイなものとはいい難い。ソフィスティケイトされたサウンドを好む人々には、絶対受け入れられないだろう。でも、万人向きの耳ざわりのいい音楽にはない、魂をゆさぶる何かが、このダーティな歌声の中にある。
そう、タイラーの声は、赤子の泣き声にも似た「本能の叫び」なのだな。あたりをはばかることなく、泣きちらすのだ。ゆえに、ある者はこれに怯え避けようとするが、他のある者はその声に自分の本当の情動を見出して、喝采を叫ぶのだ。
いささか乱調でアレサ・フランクリンの歌声のような端正さはないが、リスナーの心をわしづかみにするスティーブン・タイラーのソウル。聴くっきゃないっしょ。
エアロスミス、2004年のアルバムより。スティーブン・タイラー、ジョー・ペリー、ジャック・ダグラスによるプロデュース。
タイトルは「Never Loved A Girl」となっているが、一聴してすぐわかるだろう。これはアレサ・フランクリンの67年のヒット曲「I Never Loved A Man(The Way I Love You)」の歌詞を変えたカバーバージョンなんである。
作曲はソングライターのロニー・シャノン。当時フランクリンの夫だったテッド・ホワイトに依頼されて書いた曲である。
邦題は「貴方だけを愛して」。その通り、貴方ほど愛したひとはいない、というディープなラブソングである。原題の前半だけで判断すると、違う意味に誤解しやすいのでご注意を。
R&Bチャートで1位、総合チャートでも9位と大ヒットしたこの曲を、エアロはどのようにカバーしているのか、まずは聴いてみよう。
タイラーの息を吸い込むような叫び声から始まるこの曲、のっけから激しいシャウトの連続だ。バラードにしちゃリキ入れ過ぎちゃいますか、ともいいたくなるけど、いいのだ、これがエアロ流。
オリジナルのバンドメンバー5名に加えて、バックにはわざわざご本家のメンフィス・ホーンまで招んでいる。やはり、オリジナルのあの響きを再現するには彼らしかない、とエアロ側は判断したんだろうね。
ふだんはバリバリのハードロック・スタイルで弾きまくるペリーとウィットフォードも、ここではやけにシブく、ブルーズィなギターを奏でている。あまり目立たないけど、後ろのほうで聴けるピアノはタイラーが弾いていたりする。これもいいアクセントだ。
嘘つきでどうしようもない女だけど、お前ほど愛した女もいない、という切ない気持ちを、カッコつけることなく、ここまで直球一本勝負で聴かせてくれる白人シンガーも、そういないだろう。そう、タイラーも、また稀代のソウル・マンなのだ。
しゃがれた声でわめきまくる彼の歌は、決してキレイなものとはいい難い。ソフィスティケイトされたサウンドを好む人々には、絶対受け入れられないだろう。でも、万人向きの耳ざわりのいい音楽にはない、魂をゆさぶる何かが、このダーティな歌声の中にある。
そう、タイラーの声は、赤子の泣き声にも似た「本能の叫び」なのだな。あたりをはばかることなく、泣きちらすのだ。ゆえに、ある者はこれに怯え避けようとするが、他のある者はその声に自分の本当の情動を見出して、喝采を叫ぶのだ。
いささか乱調でアレサ・フランクリンの歌声のような端正さはないが、リスナーの心をわしづかみにするスティーブン・タイラーのソウル。聴くっきゃないっしょ。
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